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Andante (アンダンテ) 
音 羽 教 室 1:1個別指導専科

[2021年3月26日]

11号:放課後の豆知識;11…「太陽系」と「密度」

auと言う距離の単位があります。《1stronomical nit=1天文単位》です。
では、【1天文単位】とはどの程度の長さを指しているのかと言うと…それは
実際に天文単位を使って【太陽と地球の距離】を表す事が例示になります。
地球と太陽の距離は1年では凡そ0.983au〜1.017auの範囲で推移します。

地球が太陽を廻る公転軌道は真円ではなく ±0.017分だけ微妙に歪んだ楕円
なのですが、この様に【1au】は地球と太陽との平均距離に由来しています。

太陽からの距離をauを使って表すと、凡そですが…
  水星:0.4au、金星:0.7au、地球:1.0au、火星:1.5au、メインベルト:2〜4au、
      木星:5.2au、土星:9.6au、天王星:19.2au、海王星:30.0au。

太陽系の惑星の隙間は外側に向かう程に距離が拡張している事が解ります。
しかし、図表では紙面サイズの制約から上記の距離感を掴み難いのが実状です。

仮に、太陽と水星の距離を1cmで図化しても、海王星には77.6cmが必要です
(海王星:30.047au÷水星:0.3871au=77.62)。A4図表での見開きの対角線の
長さは51.4cmです。77.6cmをカバーするにはA4を4枚つなげる書式になります。

そうまでして太陽と8つの惑星をA4:4枚で図示しても、その紙面の大部分は
スカスカの空間を表示する事になってしまいます。木星の大きさは水星の29倍
にも達しますが、その木星ですら上記のA4:4枚図上では…ただの点です。

ひと昔前までは【アステロイドベルト=小惑星帯】で、火星〜木星の2〜4au間に
小天体により構成されている或る程度の軌道空間を指していました。それは今も
間違いではないのですが、太陽系外縁部にも小惑星の帯が確認された事から、
区別的に火星⇔木星間の小惑星帯をmain belt(メインベルト)と呼ぶ様になりました。

公表されているメインベルト天体の総質量は月(Moon)3%程度と推定されて
います。更に、メインベルト総質量の1/3準惑星ケレス(2.8au)が占めていると
言われているので、残りの質量は月の2%程度です。つまり、地球の公転軌道の
約3倍の距離の帯状の空間に、月の2%程度の質量が散在しているだけです。

パイオニア・ボイジャー・ガリレオ・ニューホライズンズ・ジュノー…などの探査機は
メインベルトの外側へ翔び出した訳ですが、小惑星帯での衝突事例はありません。

メインベルトに存在する天体の総数は数百万個と推定されていますが、探査機が
小惑星に接触するためには、ハヤブサの様に非常な精密さが要求される様です。
但し、イトカワリュウグウも共にアポロ群と呼ばれる地球近傍小惑星群
1つに分類される小惑星であって、メインベルト天体ではありません。

惑星認定の定義には【同軌道上から他の天体を排除している事】があります。
また、前記程度の密度でも、小惑星帯と呼ばれている事も反証になると想います。
SFで描かれる様な、土星環の様な密度のアステロイドベルトはまさにfictionです。
太陽系は海王星軌道内でも上記の様に広大ですが、空疎な空間でもある様です。