パソコン版を見る

Andante (アンダンテ) 
音 羽 教 室 1:1個別指導専科

[2021年3月26日]

12号:放課後の豆知識;12…「起承転結」と「記述」

絶句二首 其二
  江碧鳥逾白…江は碧にして 鳥はいよいよ白く
  山青花欲燃…山は青くして 花は燃えんと欲す
  今春看又過…今春 みすみす又過ぐ
  何日是歸年…何れの日か 是れ帰る年ぞ

李白の「詩仙」に対して、「詩聖」と称される杜甫の有名な、しかし「無題」の、五言絶句です。
【絶句】には5文字の五言絶句と7文字の七言絶句があり、共に起承転結の構成を持ちます。
確かに、一句目・二句目に対して、三句目では視点が変わっています。そしてコレが当初の
【起承転結】の姿です。定家調の和歌にも【転】的な効果を活かした作風は確認出来ます。

しかし、この手法を長文や説明文に拡大適用させると、並みの能力では破綻をきたします。
私見に過ぎませんが、普通に説明的な文章を書くのに【転】は寧ろ不要です。定められた字数
与えられた規定時間内に、課題文を仕上げるなら、起承結或いは【結承締】が無難です。

課題文は、与えられたテーマに関して、出題者側に対して、意見の提示や説明を目的とする
文章を作成するのですから、【転】を用いて論点がブレたりズレたりする方が本末転倒です。
課題文の良い回答の…第一条件は、わかり易い事…ではないでしょうか。

採点系のスポーツには2つの潮流があると聞きます。1つは技の難易度を追求する。
2つ目は技の出来栄え点を狙う。入試や検定にとっての有効な選択はどちらでしょう。

作文系の課題は採点方式に減点法を採用している例が多い様です。減点法のイメージは、
体操の得点の様に、満点の状態から技の実施状況に応じて点数が引かれて行く方式です。
しかし体操と異なり、模試・入試の作文では技そのものへの加点を期待する事は無謀です。
作文系課題には、体操競技と違い、明瞭な難易度や加点の基準を設定できないからです。

そこで、作文系課題への対応は、1にも2にも減点回避とならざるを得ないワケです。
改行、句読点、誤字脱字などが代表例です。また、課題(テーマ)に対しての準拠度も大切な
項目です。文章の所作や作法が正統的でも、出題に対して全く見当違いの内容や展開では
評価対象にできません。主旨や主題の把握度での最大級の減点を受ける事になります。

【主旨の把握】=【読解力】です。読解に関しては別稿に譲るとして、これまで見て来た様に
『国語のペーパーテスト』も『作文系のテスト』も、そこで求められる技能や知識には大差が
無い…と言えると思います。相違点としては受動的な『ペーパー』に対して、『作文系』では
能動的な対応にも余地がある…辺りでしょうか。

最後に、作文系の課題で留意したいのは『二者択一』系のテーマを与えられるケースです。
ABのどちらを支持するか?…と問われると、二択のいずれかに依拠した展開に終始して
しまいがちです。しかし、本当に二者択一を出題者側が求めているなら、作文系の課題で
選択を迫るそもそもの必然性が見えて来ない?とは感じませんか。

極論になりますが、二者択一であっても、作文系の課題であるのなら、AもBも共にOKとか…
両方×的な回答や文章展開でも支障はありません。寧ろ、その種の選択を出題者サイドが
期待していたと推測される様な事例が過去にあった事も付記しておきたいと思います。