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Andante (アンダンテ) 
音 羽 教 室 1:1個別指導専科

[2021年3月26日]

16号:放課後の豆知識;16…「算数/小」と「数学/中」

中学校の数学でのメインの課題は何でしょう?…との問いに、どう答えるでしょう。
過去の経験からすると、関数方程式とする答えが多数派でした。
他には、図形・立体・確立・整数…などの答えがありました。しかし、それらを解くにも
やはり代数系(方程式や関数)の技術は多くのケースで有効な作用をもたらします。

中学入試の算数では幾つもの特殊算を学びます。ですが、高校入試の数学では
特殊算を学ぶ事はあまりありません。語弊はあるかもしれませんが、極論すると、
方程式が使えないから特殊算を代替的に使っていると言えるのかもしれません。

この辺りの事もあり、『受験数学は教えられても、受験算数は無理』…などと言われて
しまうワケです。実情として、等積変形相似などの名称は知らなくても、それら技術を
使いこなす小学生は大勢おり、それはメネラウスチュバに延伸しても同様です。

反対(?)のケースとしては、方程式の計算や一次関数や二次関数のグラフ問題
OKなのに、それが文章題となるとなかなか得点に到らない様な事例がありました。
いや、現在進行形で『今もある』のかもしれませんが…多分、その原因は算数です。

820mの橋を全長80mの列車が渡るのに45秒かかりました。列車の速度は時速??です。
?を答えなさい…との設問の場合ですが、コレは特に文字式を使わなくても計算出来ます。
(820m+80m)÷45秒=900m÷45秒=20m/秒で、秒速20m…割合の考え方です。

1時間は3,600秒ですから、1秒間で20m移動するのなら1時間では20m×3,600秒なので、
72,000mが1時間で移動する距離です。また1?=1,000mなので、72,000m=72?です。
時速は72?/hとなりますが、勿論【代数?の方程式】を立式して、答えを得てもOKです。

四則や正負・小数・分数・方程式の計算が出来ても、【速度=移動距離÷経過時間】
の概念や、【秒:s⇔時間:h】また【1?=1000m】などの単位換算が出来なければ、
式は立てられません。体積/面積も濃度や確率に関してもソレは同様です。

ご存知の様に、算数には3年生まで4年生からでは相違点があります。
3年生までの算数は数えられる対象を計算しカウントする算数です。12本の鉛筆を
4人で分けると、1人当たりは3本…12本÷4人=3本…の様な数えられる計算です。
4年生からの算数は、本来は数えられない対象を数字化し計算する様になります。
1/4ℓの牛乳に2/4ℓの牛乳を加えると、全部で何ℓでしょう?…の様な量の計算です。

量の概念自体は4年次の初出ではありません。ですが、4年生未満のは導入的に
数え易いになっています。1㎗入りの牛乳瓶が10本あります。全部で何ℓでしょう。
1㎗×10本=10㎗=1ℓ…の様に、これは数えられるのパターンです。

3年生で小数・4年生で分数を習う事で、の概念が拡張され、それは単位に関しても
同類の効果を持ちます。更に四則計算を履修する事で、ソレらが1つの式上に同居する
四則混合の計算が可能になります。割合の概念を式化できる様にもなるワケです。

履修過程上で以降順次出て来る速度図形・立体確率なども、上記の例の様に、
分数/小数の計算・単位換算・四則混合計算、そして割合の概念を基礎的なスキルと
できていれば、各課程の消化も滞りません。算数での量的な概念の履修を終えれば、
6年生の理科では、テコ・滑車・電流…などの計算問題を解ける様にもなります。

また、逆説的な言い方をすれば、小学校での各課程の知識やスキルに欠損があると、
中学校でも得点には到りません。中学校の定期考査では×の間にがあったり、
部分点もあるかもしれませんが、入試で部分点を想定に入れるのはNGです。
受験で部分点を期待してもOKな代表例は国立大学の本試験(記述型)です。