[2021年6月12日]
昨年、洗足学園高校の女子高校生の皆さんが魚が食べないレジ袋を考案したと言う話題です。
環境問題化している【レジ袋】の素材に魚が嫌う成分を混ぜたところ、想定以上の効果が
得られたそうです。更に試行錯誤して特定できたのが【デナトニウム】と呼ばれる苦味成分です。
洗足学園高校の皆さんは大学や企業の協力を仰ぎ、様々な濃度のデナトニウムを混ぜて
実験した結果、デナトニウムを4%程度混ぜると、殆どの魚が吐き出す事実を確認しました。
このアイデアは高く評価され【高校生ビジネスプラングランプリ】で準グランプリに選ばれました。
或る企業ではこのレジ袋の商品化に乗り出しており、1〜2年後の実用化を目指している様です。
商品名:【エネルフィッシュ】。エネルフィッシュが分解されるまでに掛かる時間は1〜2年で、
その間に魚が食べても吐き出してくれれば、『環境にも魚にも優しいレジ袋になる』と
洗足学園高校の皆さんの考えた事が、環境問題解決の一助となるかもしれないそうです。
デナトニウム:denatoniumは芳香族化合物の1種で、ヒトにとっては非常に強い苦味物質です。
ギネスブックにも最も苦味の強い物質として記載されています。濃度が10ppbでも、その苦味を
感じ取れる事から、誤飲防止目的で殺虫剤・洗剤・不凍液・工業用アルコールなどに添加され、
幼児用玩具などの小型製品においても、誤飲などの防止を目的として表面に塗布される事が
あるので、日本では食品添加物:安息香酸デナトニウム等として認可されている様です。
比較的大きな分子量を持ちますが、通常では無色透明の固体状態で、融点も170℃と工業的な
利用にもストレスの少ない物質の様で、見事なマッチングとなりそうです。
洗足学園高校は学校法人洗足学園が運営する中高一貫校です。神奈川県川崎市高津区に
本部を置く学校法人です。1924年(大正13年)、前田若尾が旧平塚村(現在の東京都品川区)の
自宅に私塾を創設。その2年後、東京都目黒区洗足に洗足高等女学校を創設。
現校地への移転は戦後の1946年。1948年洗足学園幼稚園開園、1949年洗足学園小学校開校。
現在の洗足学園中学校・高等学校としての校名は2002年から。6年間の5教科必修体制の為、
高校3年まで数学が必修となっていると聞いた事があります。1授業時間は65分との事でした。
【洗足】の名称はキリストが弟子の足を洗った故事が由来とされています。
旧校地の目黒区洗足の地名の由来も、日蓮が足を洗った故事から来ているそうですが、
古くは洗足ではなく、千束…隣接する大田区の北千束・南千束の「千束」と同く、荏原郡千束郷
に由来しており、千束分の稲が貢祖から免ぜられていたので、千束の名が付けられたそうです。
地名の類例としては…近くは、文京区の千駄木です。雑木林で薪などを伐採し、数が千駄にも
及んだ事が由来の一つとされています。同じく、千駄木の団子坂は江戸期からの名所ですが、
江戸〜明治の団子坂上からは海が眺望でき、名所江戸百景の『千駄木團子坂花屋敷』からも
当時の様子を垣間見る事ができます。坂上にある文京区立森鴎外記念館はもともとは鴎外の
居宅で、『観潮楼』と呼ばれていました。当時、団子屋などがあっても不思議ではありません。
この団子坂を横切って交わる薮下通りの藪は藪蕎麦の藪と同じ由来とも言われています。
現在、洗足学園旧校地に校舎は残っておらず、団子坂には団子屋も藪蕎麦もありません。