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Andante (アンダンテ) 
音 羽 教 室 1:1個別指導専科

[2022年8月13日]

100号:「水分」

地球の表面の約71%は水面とされますが、ヒトの身体も約60〜70%が水分と言われます。
新生児で約80%成人で60 〜70%前後で、高齢者では50 〜60%が凡その値となる様です。

仮に、或る成人男性の体内水分量を体重の60%とすると、体重に対する重量比での水分は、
40%強が細胞内組織液が約15%、血漿(血液)・リンパ液が約4.5%、残りが体腔液の様ですが、
脂肪組織は殆ど水を含まないので、女性では男性に比べて脂肪の割合が高い為、体重に対する
体液の比率は同年代の男性に比べると、8割程度になると言われています。

1日に排出される水の量は体重60 kgの成人男性で2500 mℓ=2.5ℓで、その排出量の内訳は
尿が1.4ℓ、糞0.1ℓ、汗0.5ℓ、肺からの呼気で0.5ℓ…とされていますので、必然的に1日に必要な
水分の摂取量も2.5ℓとなります。一般に、飲料水等から1.2ℓ食物等から1ℓ体外から摂取され、
残りは体内で行われた代謝の結果から生じた水分:0.3ℓを獲得しているとのデータがあります。

1日に必要とされる飲用水分量は、上記の様に、食品:約1ℓ+体内:0.3ℓの水が得られる為、
2.5ℓ−1.0ℓ−0.3ℓ=1.2ℓとなりますが、推奨される水分摂取量としては1.2〜1.5ℓとされます。

補水:水分補給のタイミングは喉が渇いた時…な訳ですが、最低でも1日に3回は不可欠な
タイミングがあると言われています。

1:起床直後
2:入浴の前後
3:就寝前


寝る前の水分補給は、夜中のトイレの心配や、翌朝の顔や四肢の浮腫みを気にして、避ける
傾向が少なくない様ですが、人体にとって飢餓/涸渇…どちらの負荷が大きいかと問われれば、
それは飢餓ではなく、涸渇である…と言われています。

例えば、飢餓に関してですが、人体に栄養が欠乏すると、先ず肝臓や筋肉中のグリコーゲンが
エネルギー源となり、次に使われるのは肝脂肪です。更に飢餓が進むと、体脂肪・皮下脂肪
などの脂肪が血流で肝臓に運ばれ、エネルギー源になります。理論上は水分補給があれば、
絶食状態でも約2ヶ月程度の生存が可能と言われ、これを越えると餓死に至ります。

涸渇の場合は数日〜1週間弱、上記の通り、体内に蓄えられた脂肪などをエネルギー化する
にも水分は不可欠となります。考えてみれば、体重の約6〜7割が水分…と言う事は、上記の
筋肉や脂肪は3〜4割以下の重量比で、この3〜4割の中には脂肪ばかりでなく、骨格や神経・
脳髄等も含まれています。一般にヒトの骨格重量は体重の15%前後とされるので、この数字を
観ただけでも、水分不足が人体に及ぼす深刻な影響を洞察することができそうです。

ヒトの身体には、過剰な場合はあっても、不要なものは無い…と言うのが現代の常識です。
重量比で水分60%と言うのは、最も必要な成分が水分であることの証左と言えそうです。
水分不足への軽視は、寿命は勿論、健康・美容の維持にも支障をきたしますが、それ以前に
無自覚・無症状の範囲でも、人体の機能低下を招き、能力劣化を助長することにもなる訳です。