[2016年8月21日]
いつも10分前には来る小6の女の子が授業開始時刻を過ぎても来ません。
連絡もありません。
自宅に電話しても留守です。
遅れるときは、必ず連絡してくるのですが・・・
事故でないといいけれど・・・ 不安がよぎります。
仕事先のお母さんの携帯に電話しようかどうしようか迷っていると、
「ごめんなさい!」 と言って、息を切らして教室に飛び込んできました。
「どうした?」 と聞くや否や、出来事を興奮ぎみに話し始めました。
学校からの帰路にある公園の隅の方で、一人でしゃがみこんで泣いている低学年の男の子の面倒を見ていた、とのことでした。
「一緒にいた友達は 『行こうよ』 って言ったけど・・・ だって、ほっとけなかったんだもん」
そして、一人でその男の子にしばらく寄り添っていたとのこと。
どこか痛いのか、何かをなくしたのか、友達とけんかしたのか、家はどこなのか・・・ などいろいろと聞くも、泣いている理由はわからず、聞けば聞くほど、益々しゃくりあげて泣いてしまう・・・ そんな男の子に、彼女はどうすることもできず、ただただ優しい言葉をかけながら落ち着くのを待っていたそうです。
しばらくして、その男の子の 「だいじょうぶ。帰れる」 という言葉を聞いて、後ろ髪を引かれる思いで、その場を後にしたとのことです。
その男の子は、泣いていた理由は何であれ、きっと彼女の優しさがうれしく、心丈夫になったのでしょう。
「塾がなかったらな・・・ まだそこに居たんだけど」
「でも、ちゃんとお家に帰れたかな? すっごく心配なんだけど・・・」
「でもさ、友達はさ、帰っちゃうんだよ、ひどくない?」
「ああいうとき、友達よりも泣いている子の方が大事でしょ。 見捨てるって絶対おかしいでしょ。 あんなときは、友達も一緒にいて欲しいんだけど・・・」
と、強い口調で訴えていました。
そして、今日の授業が終わると、
「先生、あの子、きっと無事に帰ったよね。 まだ明るいから、ちょっと公園寄ってみるね」
と言って、飛び出していきました。
泣かせます。
金メダル級です。