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学研CAIスクール
中村橋教室

[2020年1月2日]

再び 「あ」 じゃなくて 「お」

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暮れに読んだ本 (五木寛之さんのエッセイ 『ラジオ深夜一夜物語』 ) に、京都大学と東京工業大学が共同で行った 「あ」 と 「お」 に関するとても面白い調査結果を目にしました。
それは、日本人と猿の共通点を探るためのフィールドワークの結果をまとめたものでした。

それによると、
男性が電話を受けたり掛けたりするときの第一声は、チンパンジーなどがジャングルで仲間と出会ったとき最初に発する音のパターンと似ているということがわかったのだそうです。

どういうことかというと、日本人の男性が電話を受けたときは、 「あ、〇〇さんですか」 と対応し、後輩や部下からだと 「お、〇〇くんか」 となるそうです。

およそ150人の男子学生やサラリーマンの集団に、先輩と後輩、上司と部下それぞれに電話をかけてもらい相手が最初に発する音声を記録・分類した結果、電話を受けた人の9割が <あ> と <お> を使い分けていたといいます。

そして、チンパンジーも、密林で仲間に出会ったとき、相手が自分よりも力が強かったり長老だったりすると、 「あっ、あっ、あっ」 と口を広げて声を発し、相手が弱い場合は、 「おっ、おっ、おっ」 と口をとがらせて威嚇するそうです。

この内容を読んで、この <あ> と <お> の使い分けは、私も無意識にしているな、という気がします。
たった一音で、これだけの意味や相手に与えるインパクトが違うのです。

改めて、言葉の持つ影響力を考えてその言葉を使わないと、思った以上にマイナスの影響を与えてしまいかねないだろうと思います。
言葉は本来、発せられた音声や符号、またそこに込められた情報以上の力、あるいは言葉に見えない力が宿っている、ということを改めて気付かせてくれた調査結果でした。