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学研CAIスクール
中村橋教室

[2010年9月13日]

家出少年との10年ぶりの再会 その2

すっかり無沙汰をしてしまいました。
さて、前回家出少年の話をいたしましたが、先日ついに10年ぶりの再会を果たしました。

待ち合わせ場所は飯田橋のホーム。10年前に出会った場所です。
異常なまでに気分は高揚していました。
旧友でもなければ教え子でもなく、はたまた恋人でもなく、かつて数十分しか同じ時間を共有していないのに・・・・・
会うなり、両手で固い握手を交わしました。彼は私以上に感激し、言葉が全く出てきません。
すぐに目が真っ赤になってしまいました。

現在は浜松で新聞販売店の配達員をしています。一見普通の青年ですが、こんなにも芯のしっかりした若者には会ったことはありません。
過去の様々な試練が彼を強くしたことは言うまでもありません。
就職するまでの紆余曲折の生きざまは、私とは比べもにならないほどの苦労を経験し、想像を絶する修羅場をくぐり抜けてきました。

小学校5年生のときの家出から始まり、両親の離婚、転校、いじめ、不登校、非行、児童養護施設での生活、脱走、数日間の路上生活、そしてようやく更生して新聞配達員になったのが昨年の春。
将来の夢は、歯科技工士になることだそうです。来春から学校に通うための学費を今一生懸命貯めているのです。

21にしてまさに逆境を乗り越えてきた男です。
彼のすばらしさは、今までの境涯に素直にそして謙虚に生き、決して卑屈にならなかったこと。
そこに、彼のとてつもない強さと正しさと聡明さを感じずにはいられませんでした。

ところで、その晩に一献酌み交わした祝い酒は、桜の花を形どった金箔入りの美酒でした。「喜金」というお酒で、中国の古事から引用したそうです。