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学研CAIスクール
中村橋教室

[2011年4月10日]

友愛

数日前のことです。
   「先生! “ユウアイ” って知ってる?」
   「ユウアイ って “友を愛する” のユウアイ?」

瞬間的に、避難所での心温まる支援の話や、米軍の 「トモダチ作戦」 の話かなと思った。
それとも、どこぞの元首相がこの二文字を掲げてたっけ。

   「何かいいことがあったの?」
   「ちがうよ! ずいぶん前に、これ読んでみろ、って言われて勧められた本・・・」

相変わらず、何を言いたいのかわからない。

   「え? 何のこと? 本はしょっちゅう読め読め、って言ってるけど、いったいいつの話?」
   「随分前かな・・・」
   「それじゃわからん。じゃあ、どの本のこと?」
   「え〜と、『博士の愛した数学』」
   「“数学” ではなくて、“数式” だよ!」
   「あっ、そうだったっけ?」
   「で、それがどうした」
   「それをこないだ読んだら、数学に目覚めたんだ」
   「ほう、それはよかった」

この『博士の愛した数式』には、とても興味深い数学の話がたくさん出てくる。
その中の一つに「友愛数」というものがあるのを思い出した。
(『博士の愛した数式』 は2004年第1回本屋大賞を受賞した小川洋子の小説です。)

   「それで、友愛がどうした?」
   「『友愛数』というやつ、すげーよ、でも先生、もう本読んでるから知ってるよね」

こうして、お決まりの何が言いたいのかわからない会話が始まった。

   「何がすげーんだ?」
   「220と284は、え〜と、約数全部足すと逆になるんだ。すげー」

どういうことかというと、
「220」という数字は、自分自身を除いた約数は1、2、4、5、10、11、20、22、44、55、110で、足すと「284」。 
一方「284」の自分自身の除いた約数は、1、2、4、71、142で、足すと「220」となる。
つまり、異なる自然数の組で、自分自身を除いた約数の和が相互に等しくなる数の組のことを言う。
そして、この友愛数は無限にあるかどうかは証明されていない。

彼にとって、大いに興味・関心のツボを刺激してくれたようだ。
「すげー!」 で終わらせずに、数学が 「おもしれー!」 「もっと知りたい、勉強したい」 となって、どんどん積極的に取り組んで欲しいものである。



※写真は、昨日、石神井公園で撮った草花と桜です。


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