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学研CAIスクール
中村橋教室

[2011年8月1日]

「びみょう・・・」「ふつう・・・」「マジ ヤバイ・・・」

−言葉を失った子どもたち−


少々硬い話になりますが・・・

今、東京都の猪瀬副知事が推進している“「言葉の力」再生プロジェクト(「活字離れ」対策検討チーム)” が熱気を帯びています。
また、そのプロジェクトの一環として23年度の新学習指導要領の実施に伴い、東京都教育委員会では、今年度から「言語能力向上推進事業」を開始し、公立学校65校を言語能力向上推進校に指定して本年4月より様々な取り組みを行っています。

この推進校に指定された練馬区の小学校では、授業公開が予定されています。
(中野区の小学校と練馬区・中野区の中学校は残念ながら推進校に指定された学校はありません。)
以下にご案内しますので是非お運びください。
私も時間が許す限り見学するつもりです。

豊玉南小学校  平成23年12月14日 午後  (社会科5年)
           平成24年1月19日 午後 (生活科、社会科)
南田中小学校  平成23年8月26日 14:20〜 (国語)
           平成24年2月9日 午後 (全学級の授業を公開)
大泉西小学校  平成23年9月21日 午前 (落語に学ぶ言葉の力 実演とワークショップ)

※都立高校も指定されています。詳しくは 「言語能力向上推進事業」 の概要説明をご覧ください。



このように、高等学校までにはある程度身につけなければならない 「言語能力」 の育成をプロジェクトとして教育委員会が主導でスタートさせたのではなく、最初に東京都の副知事がリーダーとなって推進するということは、裏を返せば大人の言語能力低下の問題でもあるということです。

東京都の職員(約1000人)を対象にしたアンケート結果によると、1ヶ月で本を1冊も読まなかった人は全体の20%、新聞を購読していいない人が全体の47%にも上ります。


大人の話はさておいて、小中学生の語彙力や言語力の低下は甚だしいと実感しています。
開校以来、特に国語に力を入れて指導をしていますが、とみにここ数年(5〜6年)はオーバーな表現ではなく、かなり危機的な状況にあると憂慮しています。

猪瀬副知事が推進しているのは “「言葉の力」再生プロジェクト” ですが、小中学生の場合は 「再生」 ではなく、 「新生」 する必要性を痛切に感じています。




「ところで、先週の運動会どうだった?」  
『ふつう・・・』

「暑くて大変だったでしょう」
『べつに・・・』

「さて、今日の試験どうだった?」
『びみょう・・・』

「そう言えば、あの映画面白かった?」
『マジ、ヤバイ・・・』


これらの返答は、決して機嫌が悪いわけではありません。
このように、文章ではなく極めて抽象的な言葉を返されると、「えっ、どういうこと?」 「何がどうだったの?」 などと聞き返すほかなく、そうしないと会話が続きません。

生徒と話をしようとしているこちら側としては、単にちょっとした雑談で会話を楽しもうとする最初の気持ちは徐々に失せてきて、何とか会話を続けよう、成立させようと質問を繰り返すだけの半ば機械的なやり取りとなってしまいます。

そのうち、会話がぎこちなくなってくると、しまいには質問が尋問や詰問に近い状態になってしまい、それにハッと気がついてそこで打ち切り、という場面も少なくありません。
会話によって和むどころか、どことなく険悪なムードになってしまいます。

これは、子どもたちのコミュニケーションスキル以前の、語彙力(ボキャブラリー)の問題が根本にあります。




『国語力UP法』 で国語の指導について既にいろいろと述べさせていただいておりますが、また新たな考え方や取り組みについて、これからこの「塾長日記」のなかで触れていきたいと思っています。

ご注目いただければ幸いです。