[2011年8月26日]
『かっぱ』 という、谷川俊太郎の楽しい詩があります。
かっぱかっぱらった
かっぱらっぱかっぱらった
とってちってた
かっぱなっぱかった
かっぱなっぱいっぱかった
かってきってくった
この詩は、 『ことばのあそびうた』 という詩集の中の一編です。
久しぶりに読んでみて、何とも楽しく愉快な気分にさせてくれました。
「かっぱ」 という軽快で勢いのある音と、 「河童」 というユーモラスなイメージとが結びついた、とてもリズミカルで楽しげな詩です。
この詩は “味わう” というより “音とリズムを楽しむ” ことばあそび です。
是非、声に出してリズムを工夫しながら読んでみてください。
さて、次の詩はことばあそびではなく普通の自由詩ですが、 〔 〕 には、どのような言葉をあてはめたらよいか、考えてみてください。
ライオン
雲を見ながらライオンが
女房にいった
そろそろ めしにしようか
ライオンと女房は
れだってでかけ
〔 〕と縞馬を喰べた
詩の散歩道――工藤直子少年詩集「てつがくのライオン」より
これと同じ質問を、ある大学で学生160人にしたところ、1名の女子学生を除いて、 「ガブリと縞馬を喰べた」 と 「ハイエナと縞馬を喰べた」 のほとんど2通りの答えに分かれたそうです。
「ガブリ」 や 「ハイエナ」 は、あまりにリアルで、詩としてはことばに込められた深い意味は伝わってきません。
ところが、この1名の女子学生の答えは 「ごめんね」 だったそうです。
詩は最後の1行で、言葉の美と感動が伝わり、味わいが出てきます。
ちなみに、原作では 「しみじみ」 です。
これは、3年前の夏に開催された 「第35回 教育工学研修中央セミナー(IMETSフォーラム2008)」 において、筑波大学附属小学校の白石範孝先生の 「読解力を伸ばす」 というテーマの講演内容の一部です。
「詩」 は感動や驚きを言葉・音・リズムで相手に伝えるとても優れた表現方法の一つで、読解力や表現力を伸ばすためには 「詩」 は欠かすことはできない教材だということです。
早速、生徒に出題してみました。
やはり、 「ガブリ」 「ペロリ」 「ムシャムシャ」 「子どもたちと」 「みんな」 などでした。
でも6年生のある男の子は、 「そうっ」 でした。
“だって、すごくかわいそうじゃん!”
“仕方なく食べたんだよ!”