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学研CAIスクール
中村橋教室

[2011年11月6日]

オートマチック


“オートマチック”という言葉から何を連想しますか?
車の「オートマチックトランスミッション」略して「オートマ」
十数年前に大ヒットした宇多田ヒカルの「Automatic」・・・ ちょっと古いですが
文字通り「自動」
「世の中」と答える人も多いことでしょう。



この「世の中」がどうもオートマチック化が進み過ぎて便利になり過ぎているようです。

結果だけを短絡的に求めてしまう。
それまでの過程が面白いのに、楽しいのに、そしてそこがとても大事なのに・・・
勉強も、旅行も、恋愛も、そして人生も・・・

だから、ちょっと思い通りにならないと、マイナス思考になったり、自己中心的な発想になったりする。



家庭でも学校でも、あれやっちゃだめ、これやっちゃだめ、こうしなさい、ああしなさい
危ないからここで遊んじゃダメ、ケンカしちゃダメ・・・
禁止、否定、指示が多すぎる気がする。

だから、本当の痛さや危険を知らないから、相手の痛みもわかるはずがない。

だから、本当の優しさや思いやりの心も育まれない。

だから、素直な気持ちになったり、自然な感情表現ができなくなったりしてくる。

だから、主体性がなくなり、どんどん受身になっていく。

だから、何かに乗っかっていこうとする。



何かをしたいとき、簡単で少ないアクションで何かができたり結果が得られたりする。
そして、とても楽に。

物事の本質、核心、真実、誠、面白い部分・・・全てがブラックボックスになってしまっている

だから、物事の本当の面白さが発見できない。
上っ面の面白さで終わってしまっている。

だから、本当の苦労や難しさもわからない。



先日、母校の高校にOBとして出向きました。
進路に関する講演のためです。生徒からの相談も10人以上受けました。

そこで、先のことを強く感じたわけです。
例えようのない無力感にも襲われました。

彼らは、成績はそこそこ、頭も決して悪くはない。
でも何か決定的なものに欠けている。

オリジナリティーがない。
主体性がない。
自分の力で、思う通りに自分を操作して、自分を変えていこうとする気概がない。
自分の進路というものを、とても軽く考えている。

マニュアル化、システム化されたものに上手に乗っかって、用意されている選択肢の中から、できるだけ楽なものを選ぼうとする。



こちらの話を一応はわかってくれたようだが、本質的には理解していないだろう、と感じた。
響いてくれたな、と実感できた生徒は1割いただろうか。

でもふと思った。
子どもたちは責められないと。
大人がそうだから、子どもたちもそうなるんだと。

実は、猛反省した一日だった。