[2012年7月17日]
海の日の昼過ぎ、郊外の往来の少ない道を車で走っていたときのことです。
遠方には、頂にわずかに雪が縞模様に残った富士山が見え隠れしていました。
ビューポイントを求めながら障害物のないところで車を止めようと思っているうちに建物で完全に遮ってしまい、ちょっとがっかりしていた時です。
70〜80メートルほど先に、小さな2人の子どもが道路脇に寄り添って立っているのが目に入りました。
そこは信号機のない横断歩道があるところでした。
きっと渡るのであろうと思い横断歩道の手間で止まりました。
恐らく、その子たちが大人だったら・・・ 止まらなかったかもしれません。たぶん。
よく見ると、小学校3年生くらいの男の子が幼稚園年長くらいの女の子の手を引いています。
兄と妹なのでしょう。
私の車が止まったのを確認すると、男の子はこちらに満面の笑顔を向けながら妹の手をしっかり握って妹の歩調に合わせてゆっくり渡り始めました。
この男の子の表情や妹を気遣うしぐさに、優しさがにじみ出ていました。
「妹はオレが守るぞ」、とでも言っているような振る舞いに微笑ましさというよりも、男の子の力強さとお兄ちゃんとしての頼もしさを感じました。
私も自然と笑みがこぼれ、 “転ぶなよ!” と心の中でつぶやきながら二人の様子を見守りました。
すると、渡り切る少し手前で、その男の子は改めて私の方に振り向き、“あ り が と う” と大きな声の 「口パク」 で礼を言って手を振ったのです。
私もすかさず 手を振り、“気 を つ け て !” と大きな声の 「口パク」 で返しました。
今日はこれから絶対いいことがあるぞ、と無性にうれしくなりました。
たったこれだけのことで、この上なく幸せな気持ちにしてくれた二人に心から感謝です。
そして、それからしばらく頬が緩みっぱなしでした。