[2013年9月23日]
「実は私、どうしようもないガキだったんですよ・・・」
先日、とある宴席で私立高校の校長先生の一言から、思いがけない話に・・・
「 『あんた、どうしてそんなにやる気がないん?』 という母親の嘆きが今も耳に残ってるんですね・・・ 勉強だけではなく、全てにおいて怠惰な少年で、恐らく母親の癇(かん)に相当障ったと思いますね。
そんな私が、今やる気のない生徒を見るにつけ、落胆したり、嘆いたり、そして叱ってしまったり・・・。
まったくもって、自分勝手なものです。 赤面の上に朱を重ねるほど、恥ずかしい」
「大人はどうしてあんなに “やる気のある子” が好きなんでしょうか。 もちろん私もご多分に洩れず・・・。 それはきっと、“発展” とか “成長” とかの言葉から連想されるイメージ、まっすぐに雄雄しく伸びていくイメージに繋がっていくからではないでしょうかね・・・」
「確かに、“やる気のある子” は、自分自身を成長させ、発展させる力を持っていますよ。
でも、それは “今” でなくてもいいはずなんです。
今は、その力を温存して、いつか発揮させればいいんです。 無理やりやる気にさせるなんて、大人の思い上がりも甚だしい」
この校長先生は、 “やる気” をいつか発揮できるように 様々な “仕掛け“ を、今 “やる気” の出せない生徒たちに仕込んでいます。
種を蒔いただけで、「自分で考えさせ、自分の判断で行動させること」 を徹底しているそうです。
徹底して面倒を見ないそうです。
すると、元々備わっている “力” が湧いてくるのだそうです。
学校生活を充実させようと自由闊達に明るくなり、何かを学ぼうと本気で考えるようになるのだそうです。
まだまだこのような変容の見られる生徒は多くはないとのことですが、どの子どもたちにも、とてつもない力が潜んでいることが実感できるそうです。
先生は、何でも指示して導いてくれる。
先生は、質問しなくても教えてくれる。 そして何度でも教えてくれる。
先生は、生徒の成績が悪ければ、補習授業に強制参加させる。
生徒は、言われた通り行動したり勉強したりする。
生徒は、課題がたくさんあるから何を勉強しようか悩む必要がない。
生徒は、先生の期待に応えるために頑張る。
「指示した通り真面目に勉強して、何も自分で判断することなく、名門大学を受験して合格したとしても、その子は果たして幸せになれるのでしょうか・・・」
大きな過ちを犯している、と自責の念で潰されそうになったそうです。