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学研CAIスクール
中村橋教室

[2014年8月31日]

プロとは、記憶力と気配り力なり

過日、都内の私立中学校のベテランの先生と初めてお会いした時のことです。その学校とは何かとご縁があり、今まで何人かの生徒を送り出していました。
生徒たちの名前と顔を過去にさかのぼって思い出しながら、10年以上前に入学した第一号の女の子の名前を出すと、その先生は間髪いれずに、 「○○ちゃんですね、□□部に所属していた・・・ よく覚えています」 とおっしゃり、その子の性格や特性だけでなく、兄弟、自宅の最寄り駅や母親の職業まで正確に覚えていました。

これには驚愕しました。その女の子は、この10年間に指導してこられた数百人いや千人以上もの生徒のうちの一人になる訳です。
これぞプロ。脱帽です。


話は変わって、これもつい先日のことですが、分不相応にも私にとってはかなり敷居の高いお店 (料亭) で食事をする機会がありました。
十数人のある集まりでした。行く前から妙に緊張してしまい、どこか落ち着かず作法の本なんぞ目を通したりしている情けない自分がおかしくもありました。そんなことはどうでもいいのですが・・・

通されたのは、大きな池のある見事な庭に面した離れでした。玄関には初老の下足番の男性がいて、脱いだ靴を手際よく片付けていました。
食事の途中で、仙台から来ていた客の一人が早めに席を立ったので、玄関まで見送りに行ったところ、その人の靴だけがきちんと揃えて沓脱ぎ石の上に既に置いてありました。
「客の足下を数秒見ただけで、その客が履いてきた靴がわかるのですよ」 と、下足番の男性はこともなげに話してくれました。
一見の客であっても脱いだ時に確認しているのだそうです。
玄人とはこういう人のことを言うのだろうと、敬服しました。


そう言えば、もう一人これぞプロ、という人がいました。
江古田駅南口駅前にご夫婦で切り盛りしていた 「珍竹」 という中華料理店のご主人です。残念ながら、かれこれ10年前に閉店してしまいました。
10人も入れば満席になってしまうカウンターだけの小さなお店で、いつ行っても席はほとんど空いていませんでした。

ご主人一人で調理しています。このご主人は、注文と順番を絶対間違えないのです。5人〜6人がほぼ同時に注文しても一切メモを取りません。このお店は一品料理が多いので、一人で3品ぐらい頼む人も珍しくありません。

感心して観察していると、ビールや紹興酒を注文したお客さんには、料理を出すタイミングを微妙に調整しています。それがまた絶妙です。
お客さんが一瞬途切れると、熱いお茶やデミタスカップで私好みのコーヒーをさりげなく出してくれます。
料理も絶品、サービス全てがプロでした。


いずれのその道のプロは、卓越した記憶力と、気配りのプロです。
人間の厚みを感じます。