[2014年10月1日]
「うちの子は話しかけても “うん” とか “別に” とか “知らねえ” ばかり。 いったい何を考えているのやら・・・」 そんな嘆き節があちらこちらから聞こえてきます。
夏休み明け、高校受験生の三者面談を行う前のお母さん方のボヤキです。特に男の子の親御さんです。
この時期、まだ志望校がはっきり定まらない中3生は、高校に行く意義や目的が今ひとつ見出すことができていません。積極的に高校も見学に行きませんから、なおさら高校というところがわからず、先が見えなくなります。
ところが、実は全く考えていないわけではなく、本音を言わない (言えない) だけなのです。
いずれにしても、そんな状態で “どうするんだ” と問うても一向に埒があかず、親の方がだんだん目が三角になってきてしまいます。
そんな訳で、三者面談の前半は、高校の話や成績の話は一切やめて、コミュニケーションタイムに敢えてしました。
メインは親子、私はほとんど聞き役です。
最初は、何を聞いても親の前では無言だったり、 “わかんね” とそっけない返答を繰り返していたりした男の子が、堰を切ったように話し出したのは、進路の話から趣味の楽しい話に変えてからでした。
そこからは、和やかな雰囲気になり、本人の口からお母さんが知らなかったことが次から次へと出てきて、驚きの連続でした。そして、なんと自分から将来のことについて思いを吐露し始めました。
この変化には、とても単純な原則があります。
まずは、 「親が聞きたいことを聞くのではなく、子どもが話したいことを聞くこと」 に尽きます。
思春期の子どもでも、話すことが楽しいと感じれば、言葉数も自然と多くなります。
ですから、何かを聞こう、問い正そうと構えてしまうのではなく、会話をしよう、何でも聞こうとするスタンスになることです。
親は、何かを意図して質問したり、誘導したりするようなことは絶対しない、ということを守って、話がどんな方向に進んでもよしとすることです。
その結果予想もしなかった言葉が出てきたり、子どもの意外な一面が見えたりする場合も少なくありません。
普段のご家庭では、 「勉強は進んでるの?」 「高校は真剣に考えているの?」 「今度の定期試験は大丈夫?」 と、質問というよりも詰問風や尋問風になってしまい、 “うざい” の一言しか返ってきません。
その質問には、親の言いたいことがたっぷりと込められていて、それが子どもに存分に伝わっています。
結局は、遠回しに命令したり責めたりしているのと同じなので、既に対等ではなくなってしまい会話は進まなくなります。
つまり、会話をしようとするときは、正論を振りかざしたり、説教を交えたり、責めたりするような質問や口調は厳禁だということです。
「こんなことを言ったら叱られる」 と警戒心を持ち、口をつぐんでしまうからです。
反対に、何を言っても否定せずに話を聞いてくれるとわかれば、安心感を持って本音を口にするようになるものです。
先の中3の男の子から、先日高校のことで質問を受けました。
くすぶっていたものが、ようやくじわじわ出て来たようです。
少々照れながらも、目は真剣でした。
よかった、よかった。