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学研CAIスクール
中村橋教室

[2014年12月21日]

「ガンバレ!」 という言葉

    
中学受験の6年生と中3受験生は、入試まで約1ヶ月後と迫ってきました。
毎年、この時期になってくると、かける言葉をいったん飲み込んで不用意に発しないよう注意しています。
というよりも、生徒の顔を見ていると、はっとして自然とそうなるのです。

程度の差こそあれ、受験生は皆頑張っています。それが、ひしひしと伝わってきます。
そんな生徒に 「ガンバレ!」 という言葉はかけにくいのです。

この言葉は、私たちは日常的にかなり頻繁に、また何の疑問も持たないで使用していますが、その使い方には少々配慮が必要でしょう。
「ガンバレ!」 という言葉は、相手を励まし、元気づけをする際に、自然に口から出てくるものですが、この言葉は、場合や言い方によっては、 「今のあなたではダメ!」 「まだまだがんばりが足りないぞ!」 というメッセージとして相手に伝わることが多いのです。
そもそも、言う方も、敢えてその含みを持たせた一言だけ言うことさえあります。

これは、その人の現在を否定することと同じ意味を持ってしまうのです。
私たちは、受験生に対してだけでなくとも、相手に軽い励ましで言ったつもりが、それを受け取る相手には、予想以上に重い負担となる場合があることを十分に承知しておかなければならないと思います。

特に、難病や大ケガで入院している人たちや被災地の方々、また、うつ病と診断された人に対しても、「ガンバレ」 という言葉は禁句とされています。
「・・・自分はこんなにがんばっているのに・・・これ以上いったい何をがんばれと言うのだろうか・・・」 と受け止めてしまうからです。
元気づけどころか、攻撃でしかありません。

受験生もしかり、です。
指導する立場から見ると、この時期は歯がゆい思いがピークに達してきます。
そうなると、「ガンバレ」 ではなく「おいおい、もっとがんばらないと!」 と言いたくなります。
しかし、これは、自分として精一杯がんばっている人には、追い込んでしまうことになりかねません。

そこで、未来形ではなく、現在形か過去形で言うことが、とても効き目があります。
つまり、「ガンバレ!」 というこれからのことを言うのではなく、「がんばっているね」 「がんばったね」 という、今とこれまでのことを認めてあげることです。

これが何よりの励ましだと思います。