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学研CAIスクール
中村橋教室

[2015年5月30日]

大人の不寛容、小学校2年生の寛容

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とある病院内のATMで、もたついていたご婦人が、後ろで並んでいた男の人に 「さっさとやれよ!」 と怒鳴られているのを、目の当たりにしました。
同じ日、バスに乗っているとき、停留所で乗ってきた少し体の不自由そうなお年寄りに向かって、運転手がマイクで 「早く空いている席に座ってください。発車できません」 と語気を強めて言うのを聞きました。
いずれも、瞬間的に虫唾が走りました。
個人攻撃なので、ヘイトスピーチよりも強烈かもしれません。


「早くしろ」 のオーラを立ちのぼらせ、もたもたすることに不寛容な空気が、どうも世の中に濃いような気がします。
人だけでなく、機械もそうです。
ATMで振り込みの操作をしていると、確認の音声が多く、急かされているような気がします。
「言われなくてもわかってるよ」 とつぶやいている自分がそこにいます。
慣れない人は焦ってしまい、逆に誤操作をしてしまいかねないのではないでしょうか。


でも、暗い話だけではありません。
先日、ある学校を訪問した帰り、別件の用事である場所にそこから一駅なので徒歩で向かいました。
少し時間に余裕があったので、散歩がてら遠回りをしようと思ったのが運の尽き、完全に迷ってしまいました。
そこは、車も入れないような路地が入り組んでいて、人も全く歩いていませんでした。


と、そこに、二人連れ立って犬の散歩をしている、地元の人らしきおばあちゃんと小学校2年生くらいの女の子を見つけ、駆け寄って道を聞きました。
すると、この辺は目印がなくわかりにくいからと言って、私の目的地のそばまで連れて行ってくれたのです。


そこから300m〜400mくらいは歩いたでしょうか。結構な距離です。
その間、女の子は見ず知らずの私に、散歩に連れてきた犬のことを一生懸命話してくれました。
「いつも言うことを聞かないんだけど、とてもかわいいんだ」、とか、 「今日はお腹の調子が悪いみたいでかわいそうだ」 とか、 「ドッグフードは嫌いなんだけど、スープをかけるとよく食べる」 とか・・・ ずっとまくし立てていました。
その一生懸命に話す様子と優しさに、言いようのない感動がこみ上げてきました。
その子のおばあちゃんとおぼしき方も、今日初めて会ったとは思えないほど、とても気さくで親切な方でした。
最近こんな心温まる人情に触れていなかったな、とふと思ったのです。


心と時間のささやかな余裕を、いつも持って、それを周りの人に贈りたいものです。