[2015年10月18日]
小池龍之介さんの著書 『考えない練習』 をご紹介します。
目から鱗が落ちました。
とても楽になり、気持ちが穏やかになりました。
と同時に、自分の 「五感」 の鈍感さに愕然としました。
ご家庭でも、子どもたちにも実践していただきたいと思いました。
などが、読後の印象です。
さて、私自身、いつも自己分析をして、「できなかったらどうしよう」 と考えてしまいます。
また、集中力が低下したり、イライラしたり、迷ったり・・・ どうも日常茶飯事です。
これらは著者の小池龍之介さんによると 「思考病」 というのだそうです。
現代人に今必要なのは 「五感」 を大切にする生活だと説いています。
それを可能にするためのコツがこの本に書かれています。
人は普段の生活の中で、 「考えること」 の刺激を求めていつもいつも考えてばかりいます。
思考をすることを通じて心に生じる刺激を、心はある種の快感と感じるため、考えることはストップしません。
ネガティブな思考ですら無意識には快感と錯覚してしまうので、何度も何度も繰り返してクセになる習性を、著者は 「思考病」 と呼んでいます。
テストで悪い点を取ってしまって 「ああ、親が嫌な顔をするだろうな」 と心配する。
あるいは、良い点を取って 「これで褒めてもらえる」 と期待する。
いずれも、自分がどう評価されるかを考えることにより、強い刺激が生まれます。
この 「自分は・・・・・自分は・・・・・」 という思考を繰り返す中で、私たちは思考の中毒症状に陥ると、著者は言っています。
そして、その先にある状態が 「思考停止」。
「思考停止」 とは、何も考えていない状態ではありません。
私たちが何も考えられなくなるのは、むしろ前述のように考えすぎてしまったせいで、心が混乱して建設的な判断ができなくなってきているときだということです。
勉強でも仕事でも 「できなかったらどうしよう (自分が否定される) 」 「間に合わなかったらどうしよう (自分の評価が下がってしまう) 」 と “考えること” をやめられない。
そんなときは、机に向かって何かに取り組んでいても、心は全く目の前のすべきことに集中できていない。
このようなストレスは思考から生まれる、と著者は言っています。
著書では、このような 「思考病」 から抜け出すために誰でも取り組める練習方法を、仏道の視点から紹介しています。
思考の空回りをストップするために、五感に集中することが効果的な方法であると、説いています。
「見る」 「聞く」 「触れる」 といった感覚に集中する練習をする。
すると、五感からのリアルな情報が増すことで、思考の空転が優勢になっている状態が緩和されます。
無数の情報にさらされている時代だからこそ、思考を鎮める環境を意識的に作り出す必要があるのでしょう。
例えば、食事中には、褒めたり叱ったり、という思考を刺激する会話を控え、静かによくかんで食べる。そして、食後に静かに家族でお茶の飲む・・・・・。
毎日の生活の中の小さなことから始められます。
「感じる時間」 を習慣づける中で、ストレスは軽減され、集中力や平常心が養われていきます。