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学研CAIスクール
中村橋教室

[2015年11月4日]

最高の自分を目指して頑張るんだ!! 

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先月半ばの日曜日の夜、卒塾生が顔を見せに来てくれました。
公立中学から女子校の私立高校に進み、それから3年間は無沙汰をしていましたが、入学して半年の先月、大学入学の報告に来てくれたのです。

彼女は、単に大学入学の報告だけではなく、ある大きな決意を語ってくれました。
実は彼女、トランスジェンダーです。
つまり、性同一性障害の一つで、身体の性と心の性が一致しません。しかし、外科的手術までは望んでいません。
高校の頃は、かなり苦しみ、相当辛かったそうです。ここで、言葉では到底言い表すことのできない境遇でした。
自死も頭をかすめたとのこと。


今の環境は180度転換し、自分を寛容に受け入れてくれて理解者も多く、とても生きやすいとのこと。
それは、大学に受かったことよりも、彼女にとって最高の幸せです。
そして、 「最高の自分を目指して頑張るんだ」 と言葉少なに語ってくれました。
胸を打つ言葉です。


さて、最近 “LGBT” という言葉を新聞や雑誌等で目にします。
“ダイバーシティ” の語とともに、語られることが多いようです。
“LGBT” は、4つの言葉の頭文字を連ねたもので、 “L” (レズビアン) は女性同性愛者、 “G” (ゲイ) は男性同性愛者、 “B” (バイセクシュアル) は両性愛者、 “T” (トランスジェンダー)は心と体の性の不一致。
つまり、生物的・社会的性にとらわれない生き方をする人のことを表しています。
一方、 “ダイバーシティ” は、そもそもは人種・性別・宗教等の多様性の尊重、差別のない社会を表す言葉ですが、現在は “LGBT” で表される性的なマイノリティ・少数派を受け入れることも表します。

これらの言葉が話題となってきた契機の一つは、東京五輪の誘致でしょう。
2012年の英国・ロンドン五輪はLGBTを積極的に支援し、高く評価されました。一方で、2014年のロシア・ソチ冬季五輪では、前年にロシアが制定した同性愛宣伝禁止法への批判が噴出しました。
そして、2014年暮の国際オリンピック委員会総会は、性的志向による差別禁止を謳いました。

来る東京オリンピックで、我が国はどのような対応をするのでしょうか。
これは、国立競技場建設以上に大きなテーマだと思います。


思えば私が中学生のころ、トランスジェンダーの同級生の男の子がいました。
彼は、そんな自分を臆面もなくさらけ出し、周りも自然に受け入れていました。
若干のからかいはありましたが、いじめからは程遠い好意的なコミュニケーションの一つだったことを記憶しています。
当時はみんなが極めて寛容でした。


LGBTだけでなく、ヘイトスピーチの問題もしかり、マタニティマークやマタハラの問題もしかり、国レベルでは難民の問題もしかり・・・
えらそうなことを言いながらも、冒頭の彼女に会って恥ずかしくなりました。
自分の心に巣食っている、はっきりしたアイデンティティしか受け入れようとしない排他的な精神をまずは改めていかなければならないと、深く自省の念に駆られます。