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学研CAIスクール
中村橋教室

自ら勉強するようになるには?

この「自ら勉強するようになるには?」 では、次のようなお子さん (小学校高学年と中学生) を対象にしたお話をしたいと思います。

◇ いやいやながらも、言えば机に向うようになってきた。
◇ すぐに集中できなくなってしまうが、多少なりともやらないといけないと思えるよ
  うになった。
◇ 時間的には短いが、徐々に自分から勉強するようになった。
◇ 促すことによって、少しずつ前向きに取り組めるようになった。
◇ 言われなくても、ある程度自分の意志で勉強に取りかかれるようになった。

などなど

このように程度の差こそあれ、少しずつ勉強の目的や目当てがわかってきて、勉強に対して前向きになってきたら、それを萎ませないようにするには、そしてさらに意欲を沸かせるにはどうしたらいいのか、という次のステップの話になります。

今度は、子どもと一緒になって汗をかくのではなく、あくまでも側面的なフォローです。自我が目覚めてくる時期ですから、付かず離れず寄り添って、いかにうまくバックアップするか、ということが大きなポイントとなります。
上手に自立心を育みながら、適切にリードしていくことが肝要となります。

では、具体的な方法をご説明いたしましょう。



レベル
目的
対象小学生・中学生
科目全教科
期間
授業形態
実施曜日
実施時間
クラス編成
教材

学習習慣の作り方

▽△ 勉強を特別なものにしない

家庭学習を日々の生活の中で特別なものではなく、当たり前にしなければならないこととして位置づけることが、とても大事です。
そのためには、ご家族全員の協力が必要です。

一日の生活サイクルの中に当然のように学習を組み込むことです。食事をしたり、手伝いをしたりするのと同等に自然にできるようにして欲しいと思います。

また、週末の過ごし方もきちんと計画することがとても効果的でしょう。
家族でどこかに出かけても、部活の練習や試合があっても、夕食を食べずに、あるいはお風呂にも入らずに就寝しないのと同様に、多少時間は短くても学習もその日にやらなければならない 「営み」 として当たり前に行えるようにしていくことです。

「こういう時は、勉強はやらなくていい」 という例外を極力作らないことです。
勉強を特別視しないことです。

▽△ ご家庭に知的な場を作ってください

そのためには、同じ時間にできれば家族全員が知的生産の場を共有することが最良の方法です。
ですから、各自が自室にこもってしまうのではなく、食卓やリビングで勉強することを大いにお勧めします。

小学生までは、一緒に同じ学習ををやりました。今度は各々異なる勉強を一緒 (同じ場所で、同じ時間) にするのです。
つまり、こうすることによって、 「みんなはくつろいでいるのになぜ僕だけ (私だけ) が勉強しなければならないのだろう」 、というネガティブな感覚にさせないようにすることなのです。

そして、学習自体は孤独な作業ですが、同じ時間と場を共有することによって、みんなも当たり前にやっているんだという安心感が、学習に対する意義を高めるのだと思います。

▽△ 勉強は時間よりも量

保護者の方々から、 「家庭学習の時間はどの程度がいいのでしょうか」 、と聞かれることがしばしばあります。
巷では、 「○○分×学年」 とよく言われますが、一応のメドとしては参考になります。
「15分×学年」 (中1の学年は7、中2は8、中3は9として計算) が一般的のようです。
ですが、そもそも 「学習は時間云々ではない」 ということを申し上げたいのです。
例えば、 「3時間やったから十分だ、よくやった。」 ではないのです。

例えば、算数や数学であれば、 「その日、何問やったか」 なのです。つまり 「量」 が問題なのです。
( 「質」 も当然ながら大事な問題となってきますが、これについては、次のステップでお話いたします。)
なぜならば、学習に対するモチベーションを上げるには、一つに「達成感」が必要だからです。ささやかでいいのです。
「今日、5問やった。1枚やった。3ページこなした。」 というように、自分がこなした量が具体的に分かる形で学習することが大切です。

▽△ 時間にこだわると学習効率は低下し、意識が後ろ向きになりやすい

仮に2時間勉強しても、はかどらなかったり集中できなかったりすると、達成感どころか、逆に自己嫌悪すら覚えてしまいかねません。

机に向かっていれば、傍目にはやっているように見えても、中身が伴っていなければ、周りの評価と実際はかなりの開きが生じてしまいます。
「うちの子、毎日机に向かっているのにどうして?」 という嘆きもよくお聞きしますが、恐らくは時間だけ費やしてしまっているのでしょう。

ですから、時間を軸にしてしまうと、おかしなクセが身についてしまいます。極端に言うと、2時間ぼーっとして机に向かっていても、勉強した、といことになってしまいます。
さらに、 「せめて机にだけは向ったからいいじゃないか」 、と自分を慰めるような後ろ向きな発想になってしまうと、なかなか意識の改善は難しくなってきてしまいます。

そうではなくて、目に見える 「量」 を決めて進めることが肝心なのです。
だから、いったん量を決めたらそれが終わるまでは終了できない、逆に予定のものが終わったらかかった時間に関係なく終わりにしていい、という決め事でやればいいのです。
目前の目標がはっきりしていますので、自分を鼓舞しやすいのです。

▽△ まずは自力でできる内容で習慣をつけること

それには、ある程度自力でできる比較的易しい問題を与えることが必要です。
苦手な問題ができるように、と本人が難しいと感じている問題を、悶々とした気持ちでやらせて時間を費やしたところで、あまり身にならないばかりか、やる気も潰しかねません。

基本的には、苦手な分野を自力でやって克服するには、相当意識が高くないと無理です。
嫌いな食べ物を、栄養があるから、体にいいから、と言って無理に食べさせようとしても、食欲が出るはずもなく、逆に気持ちが悪くなることもあるのと同じです。

セルフコントロールが可能になってくる

▽△ 「量」を意識させると、逆に時間的観念がついてくる

家庭学習は、時間ではなく量だ、と申し上げました。
つまり、何時間机に向かったではなく、その時間の中での密度の問題なのです。
この感覚がわかり、家庭学習の習慣が身についてくると、おもしろいことに、今度は時間に対しての意識が逆に高まってきます。

どういうことかというと、 「今日は算数を1時間やろう」 ではなく 「今日はこのプリント2枚を1時間以内でやろう」 という意識に変わってきます。
学習効率を気にするようになってくるので、学習の密度もどんどん高くなってきます。

▽△ 時間的観念が精神面の成長を促します

時間を大切にする、という感覚が生まれてくると、学習に対する取り組み姿勢だけでなく、様々なことにその効用が見られてきます。
例えば、集中できるようになってくる、学習の工夫をするようになる、物事 (学習だけでなく) の段取りを考えるようになる、時間を守るようになる、などです。
このように、 「自己管理能力」 が少しずつ目覚めて、生活態度全般において効用が見られてくるのです。つまり、“しっかり” してくるのです。

子どもの自己判断の能力が高まることは、学力向上に極めて大きな影響を与えます。
「学ぶのは自分である。自分のためなのだ。自分のために頑張ろう」 という自己肯定意識へとつながるからです。

何をどのように褒めてあげればいいか

▽△ 結果よりも、まず頑張ったことを評価してあげること

今まで一貫して述べてきましたように、 「学習意欲」 があって初めて 「学力向上」 があり得ます。

学習意欲の伴わない学力は一時的なものであり、よほどの精神力をもってしても順調に上げて行くことは難しいと言えるでしょう。 
ですから、結果としての学力を評価することよりも、それまでの過程・姿勢・取り組みの仕方・努力・気力などを認めてあげるような褒め方が意欲を喚起する引き金となります。

前回の 『自ら勉強するようになるには?』  では、学習結果から得られる二次的な期待値にスポットを当ててきました。ある程度成果を出せることが前提だったからです。
ですから、褒められる対象も、自ずと過程よりも結果的なものに焦点を当てました。

しかし、学年が上がっていくに従って、頑張ってもできなかったり、満足のいく結果がでなかったりすることが、現実的に多くなってくるでしょう。
ですから、問題の正誤、テストの点数や順位あるいは偏差値など目に見える数値だけで評価する成果主義ではなく、過程 (やり方や努力したこと) を評価することの方が何より大切でしょう。

頑張ること、努力することがいかに価値があるのか、ということを実感させていかなければなりません。

▽△ 程度の差こそあれ誰でも「向上心」はある。そして、それを認めてあげること。

大人でも少なからずそうであるように、子どもたちは、ひとたびくじけてしまうと、簡単にあきらめてしまう傾向が少なからずあります。自分を過小評価してしまいます。
自尊感情や自己肯定感を極端に低く持ってまうことが多いようです。

そんなとき、 「そんなことでどうするの?」 「みんながんばっているのよ、しっかりしなさい」 と言ってしまったら、どうなるでしょうか。恐らく、よほど気丈でない限り、ポジティブにはなれないでしょう。
さらに落ち込んでしまうか、あるいは反発して怒り出すかもしれません。

大人の物差しで精神力や意志の強さ、気力の度合を計ってしまっては、あまりにもかわいそうです
。そもそも、人間はどんな状態にあっても、向上したい、より良くなりたい、という欲求が潜在しています。それが表にストレートに表れるか否かはその強さとは別だと思います。

その沈んだ気持ちの根底に潜んでいる 「本当は僕だって頑張りたいんだ」 という “向上心” を読み取り、本心を汲んであげて認めてあげることです。
その度合の大きさにかかわらず、です。

褒めることによって次に何を実感させるか

▽△ 子どもの反抗は向上心を親が認めていない証拠、そして認めて欲しいというSOS

向上心があるからこそ、失敗して、しくじって、できなくて落ち込むのです。
今の自分の気持ちを分かってくれていないと感じているから、わざと意思に反する行動を取ったり、反抗的な態度を取ったりするのです。
だから、今の状況を否定してしまうような 「がんばれ」 ではなく、肯定するような 「また、がんばろう」 の方が、どんなにうれしいか。本当のことをわかってくれているんだ、という安堵の胸をなでおろします。

ふさぎ込んだり、ふてくされたり、反抗したり、わざと嫌がることをしたり、つまりマイナスの言動を取るときは 「認めて欲しい」 「引き上げて欲しい」 というサインです。
自分では、どうしたらいいのかわからないから、助けを求める精一杯のアピールなのです。

向上したいとう自立心が芽生え、努力した結果うまくいかなかったことに対する苛立ちが、「反抗」 という形で表れているに過ぎないのです。
子どもは、自分の状況や複雑な気持ちを上手に言語化して表現することが難しい分、行動や態度でそれらを示そうとしているのだと思います。

▽△ 「自分は認められている」 「期待されている」 と認識したとき、“やる気” が芽生えます

子ども達がやる気を出すときはどんなときか、それは 「自分は認められている。そして、自分はできるようになると思われている」 つまり自分の存在価値や行ったことに意義が認められている、期待されていると感じたときに、とてつもなく嬉しくなって俄然やる気が出てくるのです。


  失敗を繰り返すと、子どもは自信を失います。

  否定されると、子どもは苦しみます。

  でも、励ましてあげれば、子どもは自信を持つようになります。

  認めてあげれば、子どもは自分が好きになります。

  見つめてあげれば、子どもは頑張り屋になります。

家庭学習以前にすべきこと

▽△ まずは学習に適した環境作りが必要です

今まで学習面に焦点を当て、いかに意欲を持たせてそれを育てていくか、という観点で述べてきました。

しかし、言うは易く行うは難しで、なかなか一筋縄にはうまくいかないのも事実ですが、今まで述べてきました内容は、実は既に同様のことを実戦している複数の理想的なご家庭を参考にさせていただき、実際私自身の二人の子どもで試行錯誤してみた結果 (一人しか期待通りにはいかなかったのですが) 、私自信強く確信したことなのです。
ですから、どのご家庭でも出来るか否かは取り組み次第だと思います。

現実的には子どもたちは育った環境も違えば、保護者の子育てや学習に対する考え方も異なりますので、述べた方法は決して普遍的なものではなく、実際はその時々に発生する、様々な障害や問題点によって阻まれたり、継続することが難しかったりするケースの方が多いのかもしれません。

そうならないようにするために、まずは学習に適した環境を作ることです。環境といっても広義の環境ではなく、勉強の時間はテレビを消すとか、勉強に必要のない物 (携帯電話やゲームなど) は遠ざけるとか、できれば家族全員が一斉に勉強するというような、その場ですぐ準備や実行のできることです。

それから何より大切なことは、勉強に対する価値観を共有することが一番大事ではないでしょうか。


▽△ 生活態度と学習意欲や学力との密接な関係

学習が滞っている生徒の指導をしていると、学習以前に生活面 (自分の身の回りのこと) ができているかどうか、という点に必ずたどり着いてしまいます。学習に必要な準備が十分でないために、学習を進めるに当たって支障が出てくるからです。

例えば、カバンの中が整理されているか、学校や塾からのお知らせは忘れずに渡しているか、ノートや筆記用具はしっかり整っているか、宿題や提出物は忘れていないか、プリント類はぐしゃぐしゃになっていないか・・・ などです。

これらを点検すると普段の生活態度の大体の様子が見えてきます。ご家庭での様子も目に浮かんできますし、学校生活の様子も大方察しがつきます。

結論としては、家庭学習以前にまずは身の回りのすべきことができないようでは、自主的な学習は難しいということです。
ですから、学習以前の問題として、自分の物を整理整頓したり何かの準備を支障ないようように行うことが出来るようにすることが非常に重要です。
さらにこのことは礼儀、作法や道徳的な躾にまでも言及されることだと思います。

▽△ 物理的なものが整理できなければ、頭の中も整理できるはずもない

つまり、教科別あるいは学習の種別毎にノートを揃えたり、後で見直しやすく整理して書きとめたり、辞書や参考書をする手に取れるように、目の前の物を整理できなければ、 「頭」 の中も整理できないし、そもそも意欲も沸きにくいという理屈です。

“しっかりしている (きちんとしている) 子” は若干の例外は認められるものの、学習状況はおしなべて良好ですが、いわゆる “だらしのない子” は総じて学習に難ありです。やはり、生活態度と学習面の相関関係は否定できないと思われます。

▽△ 日常的に自己点検をさせてください(小学生、中学生共通)

学習に対する適応性を点検する方法として、次に示す簡単なアンケートがありますので、一度チェックをしてみていただきたいと思います。そして、定期的 (1ヶ月に一度) に自己点検をさせて、前回と比較させてみてください。

※評価は4段階 (A:かなりよい B:よい C:よくない D:かなりよくない) で行ってください。
“普通(どちらでもない)” という選択肢は敢えて設けていません。


  ?テレビやゲームの時間を決めていますか

  ?夜更かしをしないようにしていますか

  ?家のお手伝いを進んで行っていますか

  ?毎日気持ちの良い挨拶をしていますか

  ?学校の授業の準備(教科書、ノートなど必要なもの)は自分でしっかりできていますか

  ?自室の整理整頓や掃除は自分でできていますか