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学研CAIスクール
中村橋教室

親の失敗 −5つの勘違い−

子どもの勉強に向かう姿勢や、学力が伸びない原因は、実は 「親にある」 と申し上げたら、少々反感を買うかもしれません。

しかし、学校の担任の先生でも塾の先生でもない親、特に家庭で一番長く接する母親の学習に対する考え方 (勉強はこうやってやらなければいけない、という “学習観” ) が大きく影響しているものです。

その学習観が、もし間違っていたら・・・、あるいは一般的に間違っていなくとも、お子さんには合わなかったら・・・ どうでしょうか?
ちょっとドキッとしませんか。




レベル
目的
対象小学生
科目全教科
期間
授業形態
実施曜日
実施時間
クラス編成
教材

まずは親の気づきから

■ こんな愚痴をポロッとこぼしていませんか

「どうしてわからないの?」 と口癖のように言っていませんか?
「ウチの子は何回教えてもできない!」 「どうして、こんな簡単な問題を間違えるの?」 「文章問題になると何でわからなくなるの?」 などなど愚痴や嘆き、ため息が聞こえてきそうです。

■ 何かがズレているかもしれません

なぜ、このような悩みは尽きないのでしょうか。
一つには、親が子どもの学習能力を正確に把握できていないからです。
つまり、親のモノサシ (基準軸) で判断してしまっているから子どもの状況が理解できなくて悩むのです。
お子さんの学習能力の何が足りないのか、何が欠けているのかを十分に押さえることができていないのです。

そして、二つ目に、親の持っているこうあるべきだと考えている 「学習観」 が、どうやらちょっと違う方向に向いているのかもしれません。
実は、お子さんの学習の悩みは、「親の認識不足」 が原因であることが少なくありません。

良かれ、と思って始めた健康法の効果が出ず、逆にやり方を誤ってしまってどこかを痛めてしまったり、偏った栄養の摂取となって弊害が生じたり支障をきたしたりしてしまうのと似ていると思います。

■ 学習を点検することは健康管理をすることと全く同じです

勉強は、程度の差こそあれ、誰しもつまずくタイミングがあります。
そこで、カッと熱くなるのではなく、冷静になることです。
そして、どこでつまずいているのかを見極めることから勉強は始まります。

体調を崩したり、病気になったときに、まず原因を探るのと同じです。
それには、親の学習に対する考え方を変えていくことによって、実は見えてきます。


次に、陥りやすい “親の失敗” について探っていきましょう。
大きく、 「5つの勘違い」 があります。それは、

? 点数・結果 ○○重視
? 学習量 ○○重視
? スピード ○○重視
? 読書 ○○重視
? 理想論 ○○重視

一見間違ってなさそうですが、それぞれ 「重視」 の前の○○に 「過剰」 が入ります。

子どもの学習のつまずきは親のつまずき

■ 子どもが学習でつまずいたり、伸び悩んだり、意欲がなくなったりしたとき、まずは親の 「学習の処方箋」 を謙虚に見直すことが大切です。

親が陥りやすい「こだわり」、「失敗」、「一見正しそうで、間違っていること」、「勘違い」などを探っていきましょう。

■ ? 結果にこだわりすぎていませんか? <点数・結果主義?>

正解を出すことを重視するあまり、間違えたりできないことを責めてしまいがちな結果主義は、学習意欲の芽を摘んでしまいかねません。


――――― テストで80点。 さて・・・ ―――――

例えば、テストの点数が80点だった場合、どうしますか。
普通、間違えたり、できなかったりした20点の方に目がいきます。
そして、 「どうして間違えたのだろう?」 と思うのがごく自然の意識の流れだと思います。
ですから、特段誤った判断ではありません。

ところが、答えがあっているかどうかだけが気になると、「いつもできているのに、何で間違えちゃうの!?」「きちんと考えれば、できるのに、何でできなかったの?」 という言葉がつい口をついて出てきてしまいます。

もちろん、それも子に対する愛情や期待感があってこその言い方なのですが、結果だけを見られて、いつも厳しい言葉をかけられたら、子どもは 「勉強って嫌だな」 とやる気はどんどん失せてしまいます。


――――― ではどうしたらいいか ⇒ いつもハッピーに ―――――

先ほどのネガティブな言葉は封印し、できなかった箇所はその場ですぐもう一度やらせてみて、できた時点で “できたね、よかったね” とちょっと沈んだ気持ちを一気に明るくさせてください。

勉強は 「ハッピーエンド」 が鉄則です。
勉強の最後は嬉しい気持ちにさせることが、勉強好きな子にする最大の秘訣です。


■ ? 親の安心感を半ば満たすために机に向かわせていませんか <物量主義?>

親の誰しもが、机に向けって頑張っているわが子の姿は、親の安心材料で嬉しいものです。だからといって、ついついそのために大量のドリルやプリント類を与えていませんか。


――――― 消化不良を起こしてしまう ―――――

素直に一所懸命やるお子さんほど、量をこなすことに精一杯となり、わからなかったことや、できなかったことがおろそかになってしまいます。

与えられたものをこなすことが最大の目的となってしまい、復習してやり直す余裕がなくなり、わからない問題が放置されてしまう危険性が高くなります。


―――― 学力は 「量」 よりまずは 「質」 と 「道筋」 を示すこと ―――

じっくり時間をかけて、“わかった” と納得して進める場合と、ある程度理解できてから定着させるために量をこなす場合とを、上手に見極めてドリルやプリントを与えることが大事です。

本当の学力をつけていくには、学年に関係なく親がうまく 「できるようになるまで、がんばろう」 という道筋を与え、前向きな姿勢にすることができるかどうかです。


■ ? 親の感覚で計算や解答のスピードを計っていませんか <スピード至上主義?>

「速く答えを出す」=「勉強ができる」 と思い込んでいませんか。
また 「計算はより速く」 と思っていませんか。
確かに、答えを出すのに遅いよりも速い方が、計算は遅いよりも速い方がいいでしょう。
しかし、そこに親のスピード第一主義が宿っているとしたら、極めて危険です。


―――― 計算問題重視の弊害 ――――

幼稚園や保育園で、足し算や引き算ができたり、小学校1年生で掛け算ができたりすると、周りから 「○○ちゃん、すごいわね!」 と褒められ、本人も気分がいいし、親もまんざらでもないはずです。
そこで、「もっとできるように」 と思うのが人情でしょう。

しかし、それが加熱しすぎてしまうと、とんでもないことが起きてしまいます。

一つには、速く答えを出すことだけに喜びを感じてしまい、文章問題のように意味を正確に解釈し順序立ててじっくり考えることができなくなってしまいます。

二つ目には、そもそも計算は単なる算数を考えるための道具に過ぎません。計算は深く考えることをあまり必要としないため、考えることを面倒くさがる体質を作ってしまいかねません。

三つ目に、速く答えを出すことにこだわると、遅かったり間違えてしまったりすると、親がイライラしてつい腹を立ててしまい、何で時間がかかったのか、間違えたのか、と子どもを追い詰めてしまい、結果としてやる気を削いでしまいます。


―――― 学習の本質は「考える」ということ ――――

当たり前ですが、学習の本質は 「深く思考する」 ことです。
つまり、例えば文章問題や複雑な問題に対し、論理的思考を展開させることができるかどうか、ということです。

「計算」 は、その解答を導き出すための「道具」に過ぎないことを改めて認識して欲しいと思います。


■ ? 無理やり本を読ませようとしていませんか <読書強要主義?>

国語が苦手だから、文章問題が苦手だからと言って、ならば読書が大事だと短絡的に考えて、毎日のように 「本を読みなさい!」 が口癖になっていませんか。

読書は、強要されればされるほど、読書の習慣づけが遅れてしまいます。
そもそも楽しいものであるはずのものが、無理に読ませようとすることで、読書が苦行になりかねません。
こんなもったいないことはありません。

美味しい食べ物を、体にいいから、美味しいからといって、無理やり食べさせて嫌いにさせるようなものです。

※尚、読書については、当ホームページのコース紹介の中の 『読書クラブ』 のご案内の中で、 「家庭でできる読書指導のすすめ」 を、◆国語力UP法◆の「『読書』 と 『心の成長』 と 『国語力』 」の中で、「読書好きにする方法」  について詳しくご説明していますので、そちらも是非合わせてご覧ください。


―――― 読書よりも大事なこと ⇒ 外遊び ――――

読書は「感じる心」がないと、読んでも感動しません。
感動する心=「感性」 は、友達との外遊びによって育まれます。

外遊びで、体と頭をフルに使って楽しむことが重要です。
また、どうしたら面白い遊びになるかを考えたり、新しい遊び方を考えたり、ルールを考えたりすることは、かなりの思考力を要し、脳を活性化させます。

また、どうしたらみんなが楽しめるのか、不公平にならないか、危なくないか、といった相手のことを考える、思いやる心が生まれます。

意見が合わない、うまく説明 (主張) できない、ケンカになる、ケガをする、泣く、悩む、痛みを知る、そしてみんなで遊ぶ楽しさを実感する・・・ などの様々な経験が子どもを大きく成長させ、まさに本当の生きる力になっていくのです。


■ ? 失敗や間違いは罪悪だと思っていませんか <理想論第一主義?>

もちろん、社会に出れば失敗や間違いは許されない、という厳格な姿勢は言うまでもなく正しいことですが、それと同じような価値観で子どもの勉強を見てしまっていませんか。

そして、それを事あるごとにもっともらしく 「正論」 として振りかざしてしまっていませんか。


――――― 失敗や間違いは当たり前 ―――――

勉強に限って、失敗したり間違えたりしてはいけない、なんて酷です。
親が自分自身のことを振り返ってみても、それは子どもに対して相当無謀な要求であることは改めて認識できるでしょう。

間違いを許さないような雰囲気で勉強をさせると、考え方がよくわからなくてもとにかく答えを出そうとしてしまいます。
答えさえ合っていればOKというような感覚は、学力を完全に低下させてしまいます。
なぜならば、勉強は 「答えを出すこと」 ではなく 「どうやって考えるか」 だからです。

親が 「失敗しても、間違ってもいい」 という気持ちでいることが、まず何よりも必要でしょう。
「間違って初めて気がついたね、よかったね」 くらいの大きい器で接して欲しいものです。


――――― 原因の追求より具体的な対策 ――――

解答を間違えたり、わからなかったりしたとき、 「なぜできないの?」 と突き詰めるのではなく、 「どうすればできるかな?」 というスタンスになることです。

反省させられたり責任を追求されたりするような、後ろ向きでネガティブな感覚にさせるのではなく、期待感を持たせるような前向きでポジティブな感覚にさせることです。

ただ、なぜできなかったのか、ということは親がしっかり把握しておかなければなりません。
その上で、一緒に対策を考えて、的確な方法でできるようにしていかなければなりません。

そもそも、子どもはそれを説明されたところで、納得できなかったりわからなかったりする場合の方が多いのです。



■ 思い当たることがいくつかありましたでしょうか。 耳の痛い話もあったかと思います。

親の抱いている学習に対する考え方 (学習観) 、価値観、理想論、正論、といったものは、大人の視点です。

「こんなことじゃ、これから通用しない」 、といった目線での論理は、子どもにとっては重すぎます。
勉強は精神鍛錬のための苦行ではないのです。


■ 最後に

『叱りつけてばかりいると、子どもは 「自分は悪い子なんだ」 と思ってしまう』

『励ましてあげれば、子どもは自信を持つようになる』

『誉めてあげれば、子どもは明るい子に育つ』

『見つめてあげれば、子どもは頑張り屋になる』


  (「子どもが育つ魔法の言葉」 ドロシー・ロー・ノルト/レイチャル・ハリス 石井千春(訳)より)


『プレッシャーをかけすぎると、子どもは疲れてしまう』

『厳しいルールを押しつければ、子どもはルールを破る方法を探す』

『失敗を繰り返すと、子どもは自信を失う』

『否定されると、子どもは苦しむ』


  (「10代の子どもが育つ魔法の言葉」 ドロシー・ロー・ノルト/レイチャル・ハリス 雨海弘美(訳)より)