このシリーズの第1弾で 「“悪いノート”の見極め方」 を、第2弾で、 「“伸びるノート”の作り方<心得編>」 をご紹介してきました。
そして、いよいよ 第3弾 <実践編> です。
ノートの作り方は、全ての学年で一律ではありません。
当然ながら、学年によって学習内容も学習の難易度も違います。
そして、学習への取り組ませ方も学年が上がっていくにつれて変わってきますので、必然的にノートの目的も異なってきます。
また、ノート作りは、学力ではない年齢相応の技能的な能力も必要としますので、いっしょくたにはできません。
そこで、以下の大きく3つの学年に分類し、それぞれのノート作成方法・注意点・活用法法などについてご説明をいたします。
? 小学校2年生〜4年生(低学年・中学年)
? 小学校5年生〜6年生(高学年)
? 中学生
レベル | - |
---|---|
目的 | - |
対象 | 小学生・中学生 |
科目 | 全教科 |
期間 | |
授業形態 | - |
実施曜日 | |
実施時間 | - |
クラス編成 | |
教材 |
><><><>< 書く習慣作り ><><><><
どんな教科でも、頭の中だけで考えるのではなく、とにかく手を動かして考える、書きながら考える、という “クセ” をつけることがとても大事です。
書いた内容が正しいか正しくないか、という点は次の段階の問題です。
考える前にもう手が動いている、くらいの状態を作ることができるか、ということがまず最初の注力すべき点です。
><><><>< 四感をフル活用 ><><><><
嗅覚以外の四感、つまり目、耳、舌 (口) 、皮膚 (手) を使って、頭をフル回転させます。
問題文を見て声に出して読んで、それを自分の耳で聞いて、手を使って書きます。
可能な限り感覚器官を駆使して、まさに全身で考えるような状況を作ってあげます。
すると、頭の中だけで考えるのと比べ、明らかに頭の回転が格段に速くなることがわかります。
考えることに集中することができ、ひらめきも速くなります。
ご家庭では、ぜひ声を出してやってみてください。
><><><>< 算数パズルや迷路が打ってつけ ><><><><
自然に手が動いてしまうような 「迷路」 や 「パズル」 などを利用して、書くことを苦にしない意識を根付かせることがとても大切です。
学習とは異なり、楽しみながら自然と集中できてしまうことが、効果を一層高めます。
ああでもない、こうでもない、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、書いてはぐちゃぐちゃになって消して、また書いて、という具合に試行錯誤を繰り返すことをさせてください。
><><><>< きたなくなっても、とがめない ><><><><
とにかく手を動かすことが最大の目的ですから、文字が下手でも、線がはみ出そうが、紙が鉛筆で真っ黒になろうが、一向に構いません。
手を動かして書くことができたことを誉めてあげてください。
><><><>< 授業ノート ><><><><
学校の授業で誰もが使うノートで、最も一般的なノートです。
小学校のうちは、ノートの使い分けや書き方について、担任の先生の細かな指示がある場合も多いでしょう。
><><><>< 演習ノート ><><><><
家庭学習で、特に算数の問題を解く時に使うノートです。
学校の宿題や塾の宿題、家庭独自で進めている問題集などの問題を解くときに使います。
宿題のプリント等は、提出が必要となるため、プリントに書き込むことがほとんどですが、できれば、セットで提出する宿題用のノートを用意することが望ましいでしょう。
「必ずプリントに書き込んで提出」という学校の先生の特別な指示がなければ、申し出てみてもいいかと思います。
問題集については、必ず専用の演習ノートを用意します。
><><><>< 知識ノート ><><><><
理科や社会などの学習で、大事な項目、覚えなければいけないこと、などを整理して書きとめておくもので、 “独自の参考書” となるものです。
><><><>< 言葉ノート ><><><><
読めなかったり、書けなかったり、意味や使い方のわからなかったりした言葉に出くわしたときに、辞書で調べて書きとめておくものです。
国語の学習の場面だけにとどまりません。
教科特有の用語については、各教科の知識ノートに書きますが、日常的な会話やテレビのニュース、本や新聞などで出てきたわからない言葉も、さっと書きとめておくノートです。
><><><>< 最も重要なノートだという意識 ><><><><
学習に対する取り組み姿勢が一番表れるのが、この 「授業ノート」 です。
中学生になると、それは顕著になります。
高学年と言えども、まだまだ先生の指示でノートに書く場面が多いと思います。
そうなると、どうしても受身で書くことになり、「書け、と言われたから書いたノート」 となってしまいかねません。
指示されたこと以外にも、 「あっ、これ大事だ」 「これは忘れないようにしなくちゃ」 「今先生の言ったこと、いいな」 というような大事なことを自分で判断して書きとめる姿勢で、ノートを作ることが極めて大事です。
最初は受身の姿勢でも、 「ノートには、黒板に書かれたことや、先生に指示されたことだけでなく、自らの判断で重要なことは書きとめること」 という姿勢で授業に臨んでいかせれば、学習に対して徐々に前向きになってくることが期待できます。
><><><>< たまに、“授業の再現” をさせてみてください ><><><><
ノートに書かれた言葉や文章は、授業の内容の断片を切り取ったものです。
授業には流れがあるわけで、その流れがノートで改めて追えることができないと、あまりいいノートとは言えません。
つまり、結果的な事柄が書かれていて、その背景や道筋がブラックボックスとなっている場合がとても多く、一つひとつの事柄のつながりが見えてきません。
ですから、前にも述べたように、できるだけ先生の言ったことも書きとめる必要があるのです。
そこで、 “今日の授業はどんなことをやったの?” と問いかけ、ノートを見ながら説明をさせてみてください。
これ以上の効果的な復習方法はありません。
まず、本人自身が授業を理解しているかどうかが、明確に自覚できるからです。
良かったところも、反省すべき点も、くっきり浮かび上がってきます。
是非、実行してみてください。
><><><>< できる子は、ほとんど消しゴムを使わない ><><><><
まず、プリントや問題集には直接書き込みません。
図や式などを書くスペースが十分に確保できないからです。
さらに、繰り返し同じ問題を解くことができる、という大きな利点があります。
問題集には、できたのかできなかったのか、ということがわかるチェックをつけておくだけです。
教科全般に渡り、消しゴムの消費の少ない子ほど学力は高い傾向にあるようです。
特に、算数の学習の様子をじっくり観察していると、苦手な子は鉛筆で書くよりも、消しゴムで紙をこすっていることの方が多いくらいです。
ちょっと書いては、すぐ消し、また書いてはごしごし消しています。
そして、答えが間違っていると、式から筆算、答えまでも跡形もなく消し去ってしまいます。
どういう心理が働いているかというと、 「間違えた、という事実を認めたくない」 「間違えてしまった目障りなものは早く消したい」 という心の動きが読み取れます。
最初は少々抵抗感があるかもしれませんが、算数の場合、消しゴムを一切使わずに学習を進めてみてください。
><><><>< プロセスを全て残す ><><><><
意欲や学力がぐんと伸びるタイミングは、ある程度できる問題(類題)を練習したときではなく、自分にとって少々難しくてできなかった問題ができるようになったときです。
「よ〜し できた!、わかったぞ!、うれしいな」 と実感できたときです。
ですから、できなかった問題に対して、じっくり遡って検証することがとても重要です。
書いた図、式、筆算などを今一度見直して、どこで間違ったのかを探すのが勉強です。
自分が間違った跡を残すことは、自分がミスをしやすい箇所や、理解が不足している箇所を自覚するためです。
謙虚な気持ちで自分の誤りを見直す姿勢が、学力を伸ばします。
><><><>< テンポも大事 ><><><><
算数の場合、テンポの良いスピード感も大事です。
筆算を書くときに、丁寧に定規を使う子どもを見かけます。
いいペースでジョギングしているときに急に立ち止まってしまうようなものです。低学年のクセが抜けないのでしょう。
途中で計算を間違えたら、消さないでどんどん新しく書いていく。もちろん定規などを使わずに。
そうすることにより、テンポ良く問題を解いていくことができます。
決して急いだり焦ったりするのではありません。
軽快に鉛筆を動かすことによって、頭の回転もそれにつられてきます。
><><><>< 目的をはっきり認識させる ><><><><
この知識ノートを作ることが、最良の勉強だと勘違いしている子どもがとても多いようです。
小学生がこの知識ノートを作成する場面はあまり多くはないのですが、それだけに、作る場面になると、かなり意気込んでしまいます。
学習するというより、どうやって見た目キレイにまとめようかといろいろ苦心してしまいます。
自分のわからない箇所だけ、大事なところだけ、という観点に立って、なぜ書いておく必要があるのかを自覚させてから取りかかる必要があります。
そうしないと、単なる作業になってしまいます。
><><><>< 価値の高いオリジナルの参考書になります ><><><><
知識ノートは、教科書や参考書の単なる抜粋ではありません。
まとめる単位は、 「参考書の何ページから何ページ」 ということではなく、あくまでも一つ項目単位ですから、様々なものを参照して情報を集約させることが肝心です。
参考書、教科書、他のノート、プリント、辞書 など関連する資料を総動員させて作ってください。
※この知識ノートは、夏休みの自由研究をまとめるノートや、調べ学習のノートなどのように、自分のためだ
けでなく人に説明したり紹介したりするためのものとは異なり、あくまでも自分の学習のためだけのもの
です。
><><><>< いつも手の届く場所に ><><><><
必ずしも学習の場面だけでなく、様々な場面で知らない言葉や意味のわからない言葉に遭遇したら、すぐに書きとめられるようにしておくことが大事です。
「あとで」、 と思っていると忘れてしまったり、つい面倒になってしまったりします。
その場で、さっと書けるような手軽さが大事でしょう。
><><><>< 同じ言葉を何度も書く ><><><><
一度書いた言葉でも、繰り返し書いてください。
言葉は、いったん覚えても、日頃よほど意識していなければすぐに忘れてしまうことの方が多いのです。ましてや、自分の言葉としてすんなり使えるようになるにはなかなかいかないものです。
様々な場面で、何度も同じ言葉に触れながら徐々に身についていくものです。
わからなかったその度に書きとめておきましょう。
書くことによって、少しずつ記憶にとどまっていきます。
><><><>< 授業ノート ><><><><
小学生同様、学校の授業で誰もが使うノートで、最も一般的なノートです。
小学校とは異なり、教科毎に先生が変わりますので授業の進め方も個々の先生の独自のスタイルで、ノートに対する考え方や活用の仕方も多様です。
><><><>< 演習ノート ><><><><
家庭学習で、全ての教科において問題を解く時に使うノートです。
学校の宿題や塾の宿題、家庭独自で進めている問題集などの問題を解くときに使います。
宿題のプリント等は、提出が必要となるため、プリントに書き込むことがほとんどですが、できれば、セットで提出する宿題用のノートを用意することが望ましいでしょう。
問題集やワークについては、必ず専用の演習ノートを用意します。
><><><>< 知識ノート ><><><><
理科や社会などの学習で、大事な項目、覚えなければいけないこと、などを整理して書きとめておくもので、 “オリジナルの参考書” となるものです。
><><><>< 言葉ノート ><><><><
読めなかったり、書けなかったり、意味や使い方のわからなかったりした言葉に出くわしたときに、辞書で調べて書きとめておくものです。
国語の学習の場面だけにとどまりません。
その教科特有の用語については、各教科の知識ノートに書きますが、日常的な会話やテレビのニュース、本や新聞などで出てきたわからない言葉も、さっと書きとめておくノートです。
><><><>< 英単語・連語ノート ><><><><
英単語・連語専用のノートです。文法や構文の知識ノートとは分けて作るととても有効的です。
英語の学習の時には必ず開いておいて、辞書で調べた単語や派生する単語・連語などを書きとめておくノートです。
単語練習用のノートではありません。
><><><>< きたなく(?)書く ><><><><
学力の高い子どもは、とにかくノートがきたないのです。
究極のノートの取り方は、手元を見ないで先生の言っていることを書きとめる、という取り方です。
手元を見ている暇がありません。ノートを見ることによる頭の上下運動すら時間のロスになってしまいます。
このようにして書くので、字は決して丁寧に書けませんし、一見してぐちゃぐちゃです。
さらに、あとで大事な事柄を書き加えることもありますので、びっしり字で埋め尽くされています。
ですから、他人が読める代物ではありません。
でも、自分が読めればそれで十分なのです。
自分にとって、教科書や参考書よりも何倍も大事な学習アイテムになります。
><><><>< “聞き逃すまい”、という集中力で ><><><><
定期考査に出題される問題は、当然ながら試験範囲の重要な単元、箇所になるわけですが、授業で力を入れたところは、やはり出題される確率は高いでしょう。
直接的に「ここ、試験にでるぞ!」 と言ってくれればわかりやすいのですが、必ずしもこの様には言ってくれません。
集中して授業を聞きながら、それをキャッチしてノートにマークしたり走り書きしたりしておくことが、定期考査を攻略する(点数を取る)最善の方法です。
><><><>< 何度も書く ><><><><
まず、プリントや問題集には直接書き込みません。
図や式などを書くスペースが十分に確保できないからです。
さらに、繰り返し同じ問題を解くことができる、という大きな利点があります。
問題集には、できたのかできなかったのか、ということがわかるチェックをつけておくだけです。
基本的に、小学生の演習ノートの作り方と全く同じです。
特に数学の場合は、間違えてもいちいち消しゴムで消さないことです。
間違えたら新たに書く、また間違えたらもう一度書き直す、ということを繰り返します。
><><><>< 考えたプロセスを全て残しておく ><><><><
数学の場合、間違えてしまった問題は、日を置いて3回は取り組むようにします。
初回は解答・解説を見てわかったつもりでも、もう一度やったらできない場合が少なくありません。
その時、必ず前回のノートを検証して振り返って考えます。
もう一度、自分の思考のプロセスを点検します。すると、改めて自分の誤った思考パターンを自覚することができます。
自分のミスをしやすい問題やそのパターンを客観視することによって、次から間違いは確実に減ってきます。
さらに、そうして回を重ねる毎に、解法スピードも速くなり計算も合理的にできるようになってきます。
><><><>< 作成自体は学習ではなく、あくまでも準備 ><><><><
定期考査前になると、この知識ノートを作る生徒が多いようです。
中学生の場合、認識を誤ると結果としてあまり役に立たないノートになるばかりか、学習に悪影響を及ぼしかねませんので、とても注意が必要です。
作るのであれば、最重要項目だけあるいはどうしても覚えられないものだけを精査して、書くことです。
ですから、ノートでもカードタイプのものでも、使い方によって工夫することが重要でしょう。
一つの 「学習ツール」 として、作ったあとどのように活用したらいいのか十分に考えることが大切です。
それなしに作ってしまうと、まとめることが目的となってしまい、労力や時間をかければかけるほど完成した時点での満足感が大きくなり、そこで学習は完全に終了してしまいます。
そうなると、十分に勉強したと勘違いして、自分自身を騙してしまう極めて危険な単なる “作業” と化してしまうでしょう。
><><><>< 英語力はこのノートの量に比例します ><><><><
英語は、教科書の英文や単語を学習しただけでは、学力はつきません。
どれだけ派生 (関連) した学習をし、さらに学習を発展させるかです。
単語がわからないと、まずは辞書で調べて意味を確認しただけで終わってしまうことがとても多いのですが、それでは知識は一向に増えていきません。
一つの単語から学べる様々なことをしっかり調べて書きとめておくのが、この英単語・連語ノートです。
発音、反意語、類語、品詞、意味、使い方 (例文とその意味) 、その単語を使った連語、語法・文法・・・ と得られる知識はとてもたくさんあります。
一つの単語を辞書で引いたとき、ここまで学習するか、しないかで、かなりの学力の差を生んでしまいます。
このように、英語は、調べれば明確にわかるので自主学習が進めやすく、数学と違ってノートの活用次第で学習の幅をうんと広げることができる教科です。
><><><>< つづり練習は紙か別のノートに ><><><><
英単語は、練習しないとつづりは覚えられません。
アルファベット4字くらいまでは指で机に書いて覚えられますが、 「temperature (温度・気温 )」 や 「immediately (直ちに) 」 のようにつづりの長い単語は、書かないと覚えられないでしょう。
とにかく声に出して発音しながら、書きなぐるのが一番です。
鉛筆やシャープペンだと、つい力が入ってしまうと芯がポキポキ折れてしまうので、ボールペンがお勧めです。
専用のノートを用意してもいいと思いますが、練習したものを残す必要が全くありませんので、裏が無地の広告の紙やいらないプリントの裏などで十分だと思います。
><><><>< ほとんどが生徒の創意工夫から生まれたものです ><><><
『 “ノート改善”で学力アップ シリーズ』 第1弾〜第3弾 は、当スクールで指導してきた中で、全て経験に基づくものです。
そして、生徒一人ひとり性格や学力に応じてそれらを指南しています。
実は、 “伸びるノート” の原型は生徒発案のものが多く、たくさんのヒントをもらいました。
それぞれ、独特の工夫があって、思わずうなってしまいます。
彼らのその工夫の裏には、「手間や無駄を省こう」 「もっと合理的に」 「もっと楽をしよう」 「もっと簡単に」 などの飽くなき追求があります。
さらに、共通していることは、発想がとても柔軟なことです。
><><><>< ノート作りは自立心を育みます ><><><><
ノート作りに基本や一定のルールはありますが、ノートをさらに価値あるものにしていくのは、子ども自身の力です。
そして、 “自分流” のノート作りができたとき、間違いなく大きく成長したことになるでしょう。
勉強本来の一番大切な 「学習の意義」が理解でき、 「自立した学習」ができることの証だと思います。
><><><>< 価値ある副産物を生み出します ><><><><
さらに、自分流に工夫して、どんどんいいノートを作っていく過程で、学習に欠かせない大事な学習技術を自らトレーニングすることができるのです。
これは、とても大きな副産物で、大人になっても大いに役に立つ財産だと思います。
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大変見にくい画面上で、最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
お礼申し上げます。
是非、できそうなところから実践していただけましたら幸いでございます。