はじめに
◆□◆ 数学は難しい分、できると本当にうれしい
恐らく、主要5教科の中でも特に数学ができるようになってくると、正直一番うれしいのではないでしょうか。
数学がわかってくると、きっと勉強そのものに対してもかなり自信がついてきますし、他の教科も頑張ろうという前向きな気持ちも生まれてくることでしょう。
ですから、中学生には数学の力をぐんぐん伸ばして欲しいと心底思うのです。
◆□◆ 数学は勉強方法が明確でわかりやすい
そして、数学のいいところは、いったんできるようになってくると、どんどん伸ばすことが他の教科よりも容易であることが挙げられます。
学習の仕方が明確だからです。
問題の分野、難易度、考え方、解き方、練習の仕方などなど全て明確だから、学習しやすいのです。
従って、セオリーがわかってくると、ちょっとつまずいても自力で解決する方法が見えてきます。
◆□◆ まずは数学に対する誤解を解きましょう
今回は、大原則として数学に取り組むに当たっての 「本質的な姿勢」 について述べていきます。
数学とどう向き合っていくか、ということです。
もしかしたら、数学に対して、 「思い違い、勘違い、誤解など」 があるかもしれません。
つまり、「何だ、そういうことだったのか」 「こんなわかり易い考え方があったのか」 「こうやれば楽にできるぞ」 などの気付きを期待しています。
これは、数学の得手不得手にかかわらずです。
数学に苦手意識を持ってしまっている人は、自ら必要以上に難しい教科にしてしまっていることが多いようです。
はたから見ていると、かわいそうなくらい、誤解によって苦しんでいます。
◆□◆ 目からうろこの8つのポイント
1. 数学が苦手になってしまう根本原因はこれです
2. 『算数』 の “これだけ” マスターすればOK
3. 道具としての 「計算」 を自在に操れるようになると楽しくなる
4. 「用語」 がしっかり正確に理解できるとその単元は必ず攻略できる
5. 「図」 を書いて思考を整理するクセをつけると頭の回転が速くなる
6. 繰り返し練習すると、本当に身になる
7. 図形はスポーツの試合と同じだ
8. 数学は将来絶対に役に立つ!
1.苦手意識を軽くするには
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◆□◆ 学力ではなく、意識の問題です
まずは、 「できるようになるには」 の前に、嫌いになってしまったり、苦手になってしまったり、つまずいてしまったりするちょっとネガティブな側面を覗いて、その原因を探ってみましょう。
これらのきっかけとなる点は、人それぞれ千差万別ですが、実は根本原因はほぼ共通しています。
それは、個々の分野や単元の理解度の問題ではなく、数学という教科に対する 「取り組み方」 の問題なのです。
代表的なものは次の通りです。
●数学は 「やり方」 や 「公式」 さえ覚えておけば、それに当てはめるだけだ、と考えている !?
だから、解き方のパターンを覚えることが数学の勉強だと思っている。
●用語や定理は暗記するものだと思っている !?
(きちんと説明できなくても、取り敢えず言葉を知っていればいいのではないかと軽く考えている。)
●小学校の時できなかった算数の単元があっても、何とかなると思っている !?
●できなかった問題は、一度解説を見ただけで 「理解した」 と思い込んでいる !?
●やり方がいったんわかれば、練習をしなくても大丈夫だと思っている !?
●計算の途中式を書かなくても間違えないと思っている !?
●答えを導くまでの考え方が何となく曖昧でも、答えさえ合っていればいいと思っている !?
●数学はつまらない教科だと思っている !?
●数学なんて将来必要ないと思っている !?
思い当たることはありませんか。
もちろん、全て 「No」 です。
最大の問題点は、それに気がついていないか、勘違いをしている、ということです。
あるいは、後ろ向きな姿勢が、そう認識させてしまっている、ということです。
◆□◆ ちょっと後ろ向きの意識を断ち切ろう
上記の代表的な点は、一つひとつ別々の認識ではなく、根っこの部分は一つです。
そこから色々な形で表れている現象に過ぎません。
正直なところ、苦手だから、嫌いだから、考えるのが面倒くさいから・・・
だから、積極的になれない、といった気持ちが大半を占めているかもしれません。
この負の連鎖を断ち切るにはどうしたらいいか、ということだと思います。
では、このような意識にならないようになるための、以降にできるだけ実践的な方法論を説明したいと思います。
2.まずは 「算数」 をチェック
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◆□◆ 自信の源は算数の攻略です
言うまでもなく、数学は算数と直結しています。
算数が苦手だと、どうしても数学でつまずきやすくなってしまいます。
そして、算数に対する苦手意識が、数学に対する気後れを生んでしまいます。
算数に対する不安を少しでも減らして、数学に対する抵抗感も軽くしていきましょう。
押さえるべきポイントはいくつかに絞り込めます。
ここでは、小学校で学習した算数の項目で、最低限習得しておいて欲しい内容について、その項目と問題例を挙げてみました。
分野は、「計算」 「比」 「割合」 「単位量あたりの大きさ」 「速さ」 「図形」 です。
尚、「図形分野」 は項目のみ示しました。
<参考>
「中学生コースの 『中学生学力強化<α>コース(基礎力養成コース)』」 のコース案内の中の、「<数学>が苦手な生徒の学力傾向と指導指針」 で算数・数学の重要項目について説明していますので、そちらも合わせてご覧ください。
◆□◆ 分野別問題例
【計算分野 の問題例】
●ケタ数の多いかけ算・割り算
1. 『 3291×125 』 2. 『 21801÷39 』
●小数のかけ算・割り算
3. 『 0.175×3.49 』 4. 『 42.21÷9.2 』
●分数のかけ算・割り算
5. 『 7/6×14/5 』 6. 『 3/18÷9/2 』
※「7/6」は、「6分の7」 のことです。 以下同様の表記方法で記述いたします。
●四則混合計算
7. 『 {5/8+9/4×5/6−(8/3−7/4)}÷0.75×19/6 』
●数の性質(分数、約数、倍数、概数)
8. 『 3/4より大きくて4/5より小さく分母が40になる分数を求めなさい。 』
9. 『 36、90、126の最大公約数を求めなさい。 』
10. 『 24と18の最小公倍数を求めなさい。 』
11. 『 8で割って小数第一位を四捨五入すると、6となる整数のうち最も大きいものと最も小さいものを
それぞれ求めなさい。 』
【比の分野 の問題例】
12. 『 7/8 : 0.25 を簡単な整数の比で表しなさい。 』
13. 『 A君とB君の体重の比が8 : 7 でB君の体重が48.3kgのときA君の体重は何kgですか。 』
【割合の分野 の問題例】
14. 『 72メートルは288メートルの ( )%です。 』
15. 『 4割引の大安売りで、ある品物を3600円で買いました。この品物の定価はいくらですか。 』
16. 『 3分42秒 = ( )分 』
17. 『 4%の食塩水200gと6%の食塩水300gを混ぜると、何%の食塩水ができますか。 』
【単位量あたりの大きさの分野 の問題例】
18. 『 へいにペンキを塗ります。ペンキをへい1平方mあたり1.6㎗使うとき、4ℓのペンキではへいは
何平方m塗れますか。 』
【速さの分野 の問題例】
19. 『 時速75.6kmで走る自動車と、秒速22.5mで走る電車は、どちらが速いですか。 』
20. 『 歩いて家から公園まで往復することにしました。行きは分速60mの速さで24分かかりました。
帰りは分速80mの速さで歩くと何分かかりますか。 』
【図形の分野 の項目】
●面積
三角形、平行四辺形、台形、ひし形、円
長さや面積の単位
●角度
三角定規の角、三角形・四角形・多角形の角
●立体
展開図、角柱・円柱の体積
体積やかさの単位
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全20問の解答を確認されたい方は、当ホームページの『お問い合わせ』 より、ご連絡ください。
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◆□◆ 「割合」 がわかるようになると、とても楽になります
以上が、特に重要な分野と項目です。
この中でも、最重要単元は 「割合」 です。
さまざまな単元の考え方に影響してくる、算数・数学の基本的で重要な概念だからです。
少しでも引っかかっている人は、一日でも早くマスターして欲しいのです。
そして、大事なことは、問題に正解することが第一ではなく、意味がしっかり理解できることです。
つまり、 「もとにする量」 「比べられる量」 などの言葉を使って人に正確に説明できたらOKです。
「割合」 がわかってくると、肩の荷がすっと下りたような感覚になって数学の勉強がとても楽になってきます。
3.ワザあり計算でひと工夫
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道具としての「計算」を自在に操れるようになると楽しくなる
◆□◆ 楽に、速くできるようにするには 「工夫」 あるのみ
計算は遅いより、速くできた方がいいですよね。
よく間違えるより、間違えない方がいいですよね。
当たり前です。
では、 「計算が速い」 ってどういうことでしょうか? 「間違えない」 ってどういうことでしょうか?
頭の中にソロバンがあるわけではありません。
それは、「工夫」 があるだけです。
つまり、楽に、効率よく、正確に計算する 「ひと工夫」 が速く間違えずにさせるのです。
◆□◆ 計算例 その1 <45×16=、862×5=>
例えば、45×16 や 862×5 という計算をみなさんはどうやりますか。
小3でできる問題なので、バカにしているのか、と思われてしまいそうです。
まず数学ができるようになってくるコツは、 “何とか工夫して楽に簡単に計算できないかな” という発想がとても大事です。
そろばんのできる人の頭の使い方ではなく、どうやったらすっきりとした数字にできるのか、ということ。
つまり、暗算が楽にできるような、式の変形を考えるのです。
では、そのような観点で、もう一度この2つの計算を考えてみてください。
・・・・・・・・・・
ひらめきましたか?
では解説しましょう。
45×16 は 16 を 2×8 に分解します。
すると、45×2×8 となるわけです。
もうわかりましたね。
90×8 となって、暗算で簡単にできるわけです。
862×5 は、5 を 10÷2 とします。
すると、862×10÷2 となります。
もう暗算でできますね。
8620÷2 という計算式に変形できるわけです。
もう簡単に暗算でできますね。
常に、このような発想や視点で計算ができるか、ということがとても大事なのです。
見方を変えると、ちょっとパズル感覚で面白いと思いませんか?
◆□◆ 計算例 その2 <円周率がらみの計算>
もう一つ例を挙げましょう。
小5の円の面積や円周の問題で、図が重なり合ったちょっと複雑な問題を見たことがあるかと思います。
例えば、半円の中にもう一つ小さな半円が書かれていて、重なっていない部分の面積を求めるような問題です。
この問題で、大きい方の半円の半径を6cm、小さい方の半円の半径を4cmとすると、
式は、 6×6×3.14÷2−4×4×3.14÷2 となります。
小数の計算は好きですか? 小数点の位置を間違えやすいからちょっと嫌ですよね。
ですから、円周率の 3.14 が出てくると、あまり嬉しくなかったと思います。
こんな気持ちで計算をしてしまうので、計算ミスも少なくありません。
本人としても今ひとつ自信がないこともあるでしょう。
こんな、些細なことで自分でどんどん算数嫌いにもなってしまいかねません。
では、上の式はどう料理すればいいのでしょうか。
小5(平成23年度からの新指導要領では小4)で「計算の関係」 というものを学習します。
それを使うのです。
つまり、 ○×■−△×■ =(○−△)×■ を利用するのです。
(中3の因数分解で改めて学習します)
では、細かく途中式を書いていきましょう。
6×6×3.14÷2−4×4×3.14÷2
=6×6÷2×3.14−4×4÷2×3.14 ※より楽に計算するために「÷2」 を前に持ってきます
=36÷2×3.14−16÷2×3.14 ※整数の計算だけ先にやってしまいます。
=18×3.14−8×3.14 ※ ○×■−△×■ の形になりました。
=(18−8)×3.14 ※(○−△)×■ の形に変形します。
=10×3.14 ※こんな簡単な式になりました!
=31.4
筆算をする必要がなくなりました。
小数のかけ算やわり算の計算が、こんなに簡単になります。
妙にうれしくなりませんか?
◆◇◆ 計算力を上げるためのもう一つのセオリー <途中式を書く>
本質的に計算力を上げるためには、「工夫」 より実はその前に重要なことがあります。
それは、先ほど示したように、「途中式」 をしっかり、はしょらずに、全部 書くということです。
途中式というのは、計算の途中経過です。
それを省略してブラックボックスにしてしまうと、自分の考えた軌跡が見えず、間違えたときあとで検証できなくなってしまいます。
途中式の書き方の鉄則をご説明します。
●数字はきれいに、丁寧に、大きく書く 当たり前ですが・・・
●決して、はしょらずに書く。(暗算でもできる簡単な計算式も全て書き表す)
●一つの式の中で、全ての計算を完結させる。
(式を分解してばらばらにして、あちこちに書いたりしない)
※このルール違反がとても多い
●式は 「=」 をタテに揃えて書いていく。(横につなげて書いていかない))
●計算の工夫を常に考える
(左から機械的にやるのではなく、簡単にできる方法を常に考える)
◆◇◆ 計算は “我流” に走ると、かなり危険
計算は、ちょっと複雑になったり、計算方法が間違ったりして、答えが間違ってしまうと、途中式を書き直して計算方法のミスや認識誤りを探すことがなぜかできなくなってしまうのです。
最悪の状態は、正しい答えから逆に辿って、オリジナルの計算方法を編み出し、無理やり当てはめてしまうのです。
こうなってしまうと重症で、全ての単元で同じような発想で数学の問題を解いてしまうような悪いクセがついてしまいます。
◆◇◆ なぜ “我流” になってしまうか
その原因は実は、たいしたことではありません、例えば小4で、「計算の順序」を学びますが、いわゆる
「×、÷は先に、+、−はあとにやる」 というルールです。
それから、
「小数のかけ算の小数点の位置」
「割り算と分数の関係 (2÷3 = 2/3)、小数→分数(0.25 = 1/4)への変換」
など、基本中の基本ができていないことがほとんどです。
自分では、それに気がつかない、何となく気がついていても、正確に解決できないことが多いので、「勝手な判断」 に走ってしまうのです。
このような基本ルールや基本的な計算は、正しく学習すれば、すぐにクリアできる内容です。
4.数学の 「ことば」 を知る
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「用語」がしっかり正確に理解できると、その単元は必ず攻略できる
◆◇◆ 「用語」 は数学を理解するための「共通言語」
初めて聞いた言葉・表現・用語に対しては、誰しもある種の抵抗感があると思います。
「用語」 をいい加減に扱うと、数学は徐々にわからなくなってきてしまいます。
問題文中に出てくる用語の意味が正確にわからないため、問題文そのものの意味がよく理解できなくなってしまった経験はありませんか。
そうなると、やる気もなくなってしまいますよね。
まずは、数学で使う 「ことば」 がわかると、スムーズに数学の世界に入れます。
◆◇◆ 例えば、中1の 「正負の数」 の問題を見てみましょう
『−6.7より大きく、+12.4より小さい数の中で、絶対値が5以上の自然数を求めなさい。』
という問題を考えるとき、「絶対値」 や 「自然数」 という用語の定義がしっかりできなければ、正解は出せないでしょう。
中1の計算分野で出てくる大事な用語だけでも、ざっと、
「自然数」 「原点」 「絶対値」 「平方」 「立方」 「逆数」 「累乗」 「指数」 「項」 「係数」 「等式」 「解」 「移行」 などがあります。
これらの項目の学習を既に終えている人は、全てについて、正確に定義(説明)できるかどうかチェックしてみてください。
もしもできなければ、ちょっと “赤信号” です。
正確に説明できれば、数学は必ずできるようになります!
◆◇◆ 「用語」 はかなり噛み砕いて理解するべし!
ここで大事なことは、しつこいようですが、 「用語」 はきちんと定義する、ということです。
「○○、△△ みたいなやつ」 ではなく 教科書に書かれている正確な意味をしっかり理解することです。
何となくわかっているのだけれども、うまく説明できないものは、恐らく誤って認識していることの方が多いでしょう。
例えば、先ほど出てきた 「自然数」。
「1、2、3・・・ みたいな・・・」 ではやはりだめです。
0は含むのですか、それとも含まないのでしょうか?
少々怪しくなってきます。
自然数とは、「正の整数」のこと。「0は正でも負でもない」、とい定義がありますから、自然数に0は含まれない、ということになります。
ここまできっちり理解して説明できるようになっていなければなりません。
ちなみに、この「自然数」 は、中1の教科書(『新編 新しい数学』東京書籍)の第1章−正負の数 の3ページ目に登場します。
つまり、数学の学習をスタートして3ページ目にして、ずっこけてしまう危険性がないとも言えないのです。
5.「図」 は特効薬です!
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「図」 を書いて思考を整理するクセをつけると、頭の回転が速くなる
◆◇◆ なぜ「図」「表」を書くといいのか
文章問題の難しい問題を解くとき、何度も何度も問題文を読み返しては、頭の中で整理しようとしますが、混乱するばかりで一向に思考が展開しないことが多くありませんか。
一瞬ひらめいても、また途中でわからなくなってしまうこともしばしばです。
難しい問題や、複雑な条件設定の問題は、何も書かずに頭の中で整理して、順に解いていくことは難しいのです。
だから、頭の中にある「もやもやしたもの」 を目に見える形で紙に書き出して、整理整頓するのです。
「目に見える」 ということが大事なのです。
また、何かを書くことによって、それに連動して発想や思考もひらめいてきます。
逆に手が止まると、頭の回転も止まってきます。
手が動くと、頭が回転し始めます。
◆◇◆ 文章問題は、まずは「手を動かす」練習から
「図」や「表」を書きなさい、と言ってもきっと書き方がわからないでしょう。
問題の条件を箇条書きにして整理しなさい、と言っても最初のうちは手が止まってしまいます。
最初は書き方なんて、何でもいいのです。
こう書かなければいけない、という決まりはありません。
要は、問題の条件を文章ではなく、視覚的にイメージしやすい形に書き換えることが重要なのです。
つまり、いったん書いたら、問題文を見る必要がない図を書くことです。
図を書いても再度問題文を読んでいるようでは、書いた意味は全くありません。余計混乱してしまうだけです。
頭の中を整理することが最大の目的ですから。
6.同じ問題を3回解くと・・・
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◆◇◆ 1度目の 「わかった!」 は 2度目の 「やっぱりできない」
ちょっと想像してみてください、あるいは思い出してみてください。
数学の難しい問題をやったとしましょう。自力ではできなかったとします。
学校や塾であれば、先生が説明してくれます。家では、解答と解説を見ます。
さて、学校や塾でやった問題であれば、家に帰ってから、家でやった問題であれば、翌日にもう一度その問題をやってみたとしましょう。
難なくできる自信はありますか?
もちろん問題の難易度や、元々得意分野やかなり苦手な分野かで違ってきますが、結果としてできたとしても、また同じような考え方をしてしまい、同じように悩んでしまうことの方が圧倒的に多いと思います。
◆◇◆ できなかった問題は、3回目にしてようやく 「できる」 自信がつく
問題が難しく感じ、解けないというのは、解くための知識が足りなかったり、今まで考えたこともないやり方だったりするということです。
つまり自分の思考範囲を超えているのです。
ですから、1度教わってわかっても、その時は 「わかったつもり」 になっているだけです。ほとんどが。
では、本当にできるようになり、力をつけるには、同じ問題を3回は解くことが必要です。
思考パターンを植えつけるには、やはり練習が必要だということです。
3回目は、少し日数を置いてからやった方が定着します。
そして、そのとき確固たる自信が沸いてくることが実感でき、そこで本当の力がついてきます。
7.「図形」 はスポーツと同じ感覚!?
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◆◇◆ 何が同じなのか
“同じはずないじゃん!” と、あまり突っ込みを入れないでください。
もちろん、身体能力や体力は関係ありません。
何が同じ(似ている)かというと、
●攻め方は、複数ある。
●基本に忠実になること。
●多くの攻め方を身につければ、相手の守りに対してそれをかわす様々な攻撃ができる。
●その多くの攻め方を身につけるためには、ある程度の練習が必要となる。
●勝てると、ますますおもしろくなってくる
少々調子に乗ってしまったかもしれませんが、ざっとこのような点です。
◆◇◆ では、図形に置き換えると
●攻め方は、複数ある
図形の問題は、他の分野の問題と比べて、考え方や解法手順は複数あることが少なくありません。
複雑な問題になればなるほど、いろいろなアプローチがあります。
ただ、どのやり方が合理的か否か、単純明快か否か、速いか否か、という違いがあるだけで、正解を出す手順はいくつか存在します。
中3で学習する2次関数の発展的な問題では、図形とミックスしたような問題が出てきます。
1次関数や2次関数と合同、相似、三平方の定理などの複合的な問題です。
方程式を用いないと解けない問題も少なくありません。
難易度が高くなってくると、解き方のバリエーションも多彩になります。
●基本に忠実
どんな難しい問題でも、基本は無視できません。
つまり、基本的な定理や定義を全て覚え、それらをしっかり理解した上でないと、使いこなせません。
単に言葉だけで暗記しても役に立ちません。
●多くの攻め方を身につければ、相手の守りに対してそれをかわす様々な攻撃ができる
相手を知る、ということは 「図形」 であれば、その問題を解くのにどんな知識が必要なのか、ということです。
三角形の合同、平行線と角、平行四辺形の性質、面積・体積の求め方、相似、三平方の定理・・・
つまり、それぞれの知識がすぐに出せる状態であれば、まずは試行錯誤することが可能です。臨機応変に対応できます。
●その多くの攻め方を身につけるためには、ある程度の練習が必要となる
臨機応変に発想を転換したり、違う視点で考えたりするには、多くの練習によって、いろいろな種類の問題に触れて、柔軟な思考のできる頭を作っていく必要があります。
つまり、あれでもだめ、これでもだめと、とっ替え引き換え試すことができる柔軟性を作るには、練習がやはり必要です。
端的に言えば、 “問題慣れ” です。
少々、語弊がありますが、 “場数” を踏むことによって、こういう問題はこう考えればいいんだ、という “勘” も生まれてきます。
●勝てると、ますますおもしろくなってくる
言うまでもなく、わかればおもしろい。
また、図形は気付くか気付かないか、見えてくるか見えてこないか、というようなパズル的な要素がありますので、だんだん考えることが面白くなってきます。
ここまでくれば、もう言うことなしです。
8.数学を勉強すると・・・
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◆◇◆ 「人間は考える葦 (あし) である」
フランスの数学者でもあり、哲学者でもあるパスカルの言葉に 「人間は考える葦(あし)である」 というものがあります。
どういうことを言っているかというと、
『人は1本の葦にすぎません。宇宙の自然が人間をつぶそうとしたら、それは極めて簡単なことで訳のないことです。
人間はいつ葦のように折れ倒れるかわからない弱い存在です。
しかし、自ら考え、智恵をふりしぼり自分の力で生きていくことのできるのが人間です。
そしてそれが人間の “強さ” です。』
解説すると、こんな具合です。
◆◇◆ 数学はつまり、 「考える力」 をつけるため
「考える力」 をつけること。 もっとわかりやすく言うと、
ズバリ!、俗に言う 「頭を良くする」 ためです。
学校の勉強に限ったことではありません。
現実的なこととして、普段の学校生活の中で、いわゆる「考える場面」 は多いことでしょう。
委員会、部活動、行事などで、円滑に運営したり、学校全体のことを考えてプランを練ったり、成功させるための工夫をこらしたり・・・ と、様々な状況やいろいろな立場や学年のことを考慮して進めていくことが求められるでしょう。
つまり、何かを推し進めたり、創り出したりするときに、物事を多角的に考えて、様々な点を整理して、良し悪しを判断し、そして順序立てて考えていかなくてはならないのです。
「頭がいい」 とは、これらのことが 「あれこれ考えることができること」 だと思います。
そのために 「数学」 は思考力を鍛えるのに一役買っているのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今度はあなたが、 「あいつ(あの子)頭いいよね!」 と噂されるかも・・・