苦手ってどういうこと?
★できない = 苦手 ではない!
全ての教科を楽々こなせる子などはいません。
どんな学習も完璧にできる必要はありません。
たとえ得意教科でも、苦手意識を持つ単元は誰にでも出てきます。
ですから、一言で 「苦手分野」 と一括りにはできないのが実情です。
そもそも 「苦手」 という概念は感覚的なものですので、偏差値等数値的な物差しで判定することはできず、自分自身の中での相対的な評価です。ですから、多分に意識 (自分の捉え方) の問題です。
わからない分野が何か、ということよりも、 「できない=苦手」 と短絡的に決めつけてしまうことよる危険性の方が重大な問題です。
本質を見極める目を持つ
★不得意のままでいい分野もある
極論を言うと、克服した方がいい分野もありますし、不得意のままでいい分野もあります。
その見極めがとても重要になります。
ですから、模試やテストなどで、できなかったり点数が低かったりしたとき、それらを 「苦手分野」 とか 「不得意分野」 と決めつけることはとても危険です。
さらには、不得意分野をなくさせたい、という親の心情が強く働き、 「克服した方が良いに決まっている、だから・・・」 という正論を振りかざしがちになります。
それはもっともなことなのですが、実は間違えた箇所をできるようにするよりも、他 (根本原因の箇所やそれよりも優先すべき箇所) をやった方がいい場合の方が多く、冷静になって必要な手立てを考えることが重要になります。
※この点については、別のアドバイスで詳細ご説明いたします。
苦手だと自分に思い込ませてしまう瞬間
★自分で烙印を押してしまうときとは
できるようになる、そして学力が上がる、というのは特に算数を考えた場合、当たり前ですが 「自分の力で問題が解けるようになること」 です。
初めてお目にかかる問題でも、できなかった問題でも、教えてもらった直後は知識や思考方法が頭に残っていて類題もサラッと解ける場合があります。
ところが、少し時間を置くと解けないことも少なくありません。
そこで、再度教わって “わかった” と思っても、数日経つとまた解けなくなります。
こうなると、親も本人も 「この問題は苦手だ」 という感覚に陥ってしまい、良からぬレッテルを自ら貼ってしまうことになります。
この瞬間が危険なのです。
子どもの本音
★ネガティブ意識が ”苦手だ” を言わせる
子どもが 「苦手だ」 と言葉を発する気持ちの奥には、ネガティブな意識しか潜んでいません。
逆に、どんなに難しくても、何度間違えても、何とかできるようにしようとする意識が強いと、子どもは 「苦手」 だとは言わず、自分でもそれを認めません。
また、親からの良くない問いかけの一例として、 「どうして間違えたの?*」 に対して、子どもが 「苦手なんだ」 と答えることが少なくありません。
これは、あまり真剣に取り組んでいないにもかかわらず、 「頑張ろうとしてもできないんだ」 という半ば逃避やあきらめと、これ以上責めないで欲しい、という子どもの意識の表れです。
(* 「どうして間違えたの?」 という親の問いかけの言葉には子どもは答えようがなく、 「間違えてはだめでしょ」 と聞こえますので、子どもにとってはとがめられている印象しか受けず、決して前向きにはなれません。
「練習すればできるようになるわよ、一緒にがんばりましょう」 という言い方を心掛けてください)
”苦手” を禁句にする
★親が絶対言ってはいけない言葉
この 「苦手」 という言葉は、とてもネガティブでマイナス思考の印象が強いため、軽々しく口にしないことです。
特に、親が 「あなたは○○が苦手ね」 と言ってしまうことはご法度です。
「あなたはできないわね」 という劣等感を与えるようなことを婉曲に言っているのと同じで、子どもは相当落ち込みます。
子どもにとっては、非難の類は遠回しに言われる方が耳が痛く、気が塞いでしまいます。
また、子ども自身が 「苦手なんだ」 という言葉を発したら、即座に否定してください。
「それは苦手なのではなく、練習していないからできないだけ。わかれば簡単よ」 と前向きな言葉で即座に切り返してください。
つまり、定着のための学習を怠っていることに対する注意を暗に促すのです。
根本的な解決方法
★定着させるためには練習が必須
数日経つと解けなくなる原因は、 「定着」 のための作業をしていないからです。
極論すれば、教わる回数ではなく、家で知識を定着させる作業をするかどうかが大きなカギなのです。
子どもに、 「ここ苦手、よくわからない」 と言われて、 「じゃあ、先生に聞いてきなさい」 と親が動いただけでは問題解決には至らず、中途半端に終わってしまいます。
そのあと子どもがしっかり家庭学習に取り組むよう仕向けることが肝要です。
少なくとも、先の 「よくわからない問題」 を教えてもらったら、もう一度今度はお母さんに説明をさせることです。
そこで、正確に説明することができれば、まずは定着の第一歩だと言えます。