成績が下がる直接的な原因
● 基本的なところから点検してください
成績低下の原因は、単純ではありません。複雑な要因があります。まずは、その複雑な状態を学力面において分解し分析することから始めことが必要です。
例えば国語なら、テストでつまずいた問題が言語的な要素なのか、読解的な要素なのか、記述的なものなのか、など要因を分解して単純化することが必要です。
すると、家で一生懸命やっていると言っているわりには、肝となる得点源の漢字・語句ができていない、という事実が明らかになったりします。
読解問題においては、わかない言葉が多すぎて文脈をつかむ以前の問題だったり、テーマの知識不足が直接的な原因だったりします。
また、算数なら、四則演算のケアレスミスが多かったり、割合の概念理解が不十分だったり、図形の定義をしっかり覚えていなかったりすることが、原因として挙げられます。
● 基礎力不足がほとんどです
これらは基礎学力 (知識) 不足や、練習不足により定着していない状態で、問題の難易度が高かったからテストの点数が悪かったのではないことがほとんどです。
(一般的に、模試やテストにおいて、難度の高い応用問題の出題比率は全体の2割前後です)
模試や学力テストの本来の目的
● 結果 (得点や偏差値) だけ見て一喜一憂しない
模試やテストの目的は、順位や偏差値を確認することや志望校合否判定も大きな目的の一つですが、本来そうではありません。(少なくとも6年生の9月頃までは)
成績が上がれば、まずは安心。多少できなかった箇所があってもほとんど気にならない。
ところが、成績が下がると、できなかったことを憂いて、もっとがんばりなさいと、精神的な重圧を与えてしまう。
模試やテストはがんばり具合を調べるリトマス試験紙ではありません。
ましてや、親の安心を得るための材料ではありません。
結果で一喜一憂してしまうのは、このような観点で模試やテストを見てしまっているからです。
● 失敗に学ぶ
模試やテストは、結果を引き出すためのプロセスです。
そこから次のテストまでに何をすべきなのか、課題を見つけることが第一義です。
失敗に学ぶ、という姿勢です。
模試や学力テストの結果をどう見るか
● 80点でもダメなとき、40点でも良いときがある
仮に80点を取ったとしても、落とした20点の中に、基本的な問題だったり、正答率の高い問題が含まれていたりしたら、それらは決して見逃せない課題になるわけです。
80点取れたからよし、ではありません。
逆に、点数が低くても、今の段階で解答できなくてもいい問題がわからなくても、正解すべき問題がしっかり正解できていればいいわけです。
● できた問題を褒める → 次回頑張る原動力
さらに大事なことは、点数に係わらず、できた問題に着目して、「しっかりできるようになったね」 と今までの努力と力が付いてきたことを認めて褒めてあげることです。
これが、一番のご褒美です。次もがんばろうとする動機付けになります。
ケアレスミスの根本原因は大方精神面
● 集中力不足なのです
「こんな簡単な問題を何で?」 と思うようないわゆるケアレスミス、例えば、国語の書き抜く問題で写し間違える、知っている漢字を間違える、算数、簡単な計算を間違える、今までできていた問題を間違える、問題を読み間違える、などのいわゆる不注意によるミスの原因の根っこの部分は、精神的なものが占めています。
つまり、集中力が欠けてしまっているため、詰めが甘く細部にまで注意が払えなくなってしまった結果です。
子どもは上手に気持ちを修正できない
● 自分を客観視できない
子どもは、大人と違って精神的に不安定であっても、自分を冷静に客観視することができません。
学校でちょっと嫌なことがあっても、他に楽しいことがあると、煩わしいことを短時間のうちに忘れることができるのですが、無意識のうちにストレスとなって、心身に作用している場合があります。
自分ではほとんど自覚がないのに、落ち着かなかったり、頭が痛かったり、お腹の調子が良くなかったりという症状を訴える場合も見受けられます。
● 心身のバランスを保つには
また、6年生になると勉強時間をさらに確保しようとして、女の子であればピアノやバレー、男の子であれば野球やサッカーを、十分納得していない状態でやめたり中断したりします。
すると、途端に生活のリズムが狂い、勉強に集中するために辞めたことが逆に勉強に集中できなくさせてしまうこともあります。
今まで好きなことでエネルギーやストレスを発散していたのができなくなり、心身のバランスが保てなくなります。
※時間の許す限り自分の好きな習い事は継続した方が、時間の使い方を工夫するようになり、結果として両立することが多い傾向が見られます。
精神面の安定→ 集中力UP→ 成績UP
● 成績はメンタル面のバロメーター
前述したように、成績は精神面のバロメーターと言っても過言ではありません。
学校での悩み、家庭内のこと、身体的な悩みなど思春期初期の悩みや、受験に直結するような不安や憂鬱 (学習に対するプレッシャー、目標が定まらないこと など) を程度の差こそあれ子どもは何らかの精神的不安定要素を常に抱えています。
神経の図太い子どもや、楽観的で切り替えの上手な子どもでない限り、精神面を自ら安定させて勉強に自分を向かわせることは容易ではありません。
● 心の不安定要因を取り除く
不安定要因を全て解決することは不可能ですが、成績が振るわず頑張れないときこそ、発破をかけるのではなく、学習面から目を転じて、心の安定を阻害している何かを一つでも解決しようとするスタンスになることが重要です。