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学研CAIスクール
中村橋教室

【その1】 そもそも 「小論文」 って何だ?

いったい 「小論文」 とは何なのか?

感覚的に何となくわかっているようで、実のところ中身はよく知らない。
“大変そう” 、“難しそう” 、と漠然と捉えている人が少なくないと思います。
また、小論文は中学生にとって、学習が取っ掛かりにくく、練習の仕方もよくわからない学習ではないでしょうか。

「小論文っていったいどんなものなの?」 「作文とはどう違うのだろうか?」 「いったい何をどう書けばいいのだろうか?」 などと悩んでいる受験生は少なくないでしょう。

そこで、まずは “敵を知る” ところから始めようと思います。
何はともあれ、“「小論文」とは一体何なんだろう”、と誰しも最初に抱く素朴な疑問に、少しでも答えていきたいと思います。


これから、小論文を書けるようにしようとがんばっている、あるいはこれから取り掛かろうとしている受験生の一助になれば幸いです。


        ***** 目次 *****

  ◆都立高校推薦入試の検査科目
  ◆なぜ「小論文」が課されるのか?
  ◆「作文」と「小論文」の違い 
  ◆どんな「小論文」が出されているか
  ◆ 1 最もノーマルな「本格小論文型」
  ◆ 2 教科の知識も問われる「学科試験型」
  ◆ 3 名前は小論文だが、実質「作文型」
  ◆ 入試での実態
  ◆ 「小論文」は何がどう評価されるのか
  実は、書き方よりも肝心なことは・・・


→ 関連コース 『思考力・表現力・作文・小論文コース』 の案内はこちらをご覧ください。

→ 「作文・小論文を要する入試の実績」 はこちらをご覧ください。

レベル
目的
対象中学生
科目小論文攻略法
期間
授業形態
実施曜日
実施時間
クラス編成
教材

◆ 都立高校推薦入試の検査科目

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1.推薦で上位校を狙うなら攻略必至

都立高校入試の小論文は、主に推薦入試で行われています。 (一般入試では、国際高校のバカロレアとエンカレッジスクール3校で実施)
現在の都立高校入試 (推薦に基づく入試) において、ほとんどの学校で 「作文」 を実施しています。
さらに、上位校では 「小論文」 を実施しています。 (平成28年度入試では、高専
 (東京都立産業技術高等専門学校) 1校も含め、全33校が小論文を実施  ※全体の約2割)

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2.小論文にはさまざまなタイプがある         

この小論文は、端的に言うと、社会の様々な問題について自分なりに考えて、それを論理的に書く能力を評価するために採用されています。

しかし、小論文問題と言っても、さまざまなタイプがあります。大学入試と同じようなレベルの小論文を書くことが求められる問題もあります。小論文という名称になっていながら、作文と同じような文章を求める問題もあります。課題文を読ませたうえで書かせる問題やグラフを読み取り、書かせる問題もあります。

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3.すぐ書けるようになるものではなく、一定量の練習が必要     

このように、高校入試において学科の学力とは異なる能力を要求されるにもかかわらず、現在の中学校の国語の授業では、文章を書く練習があまりにも少ないのが実情です。
そもそも、作文や小論文は、一つ二つ書いたところで、上手に書けるようになるような代物ではなく、継続的に一定量の小論文を書く練習が必要です。

◆ なぜ 「小論文」 が課されるのか?

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1.高校が本当に欲しい生徒を見極める              

推薦入試では学力検査(学科試験)が行われません。このため、受験生の学力・能力を知るには、内申書(調査書)に書かれて各教科の成績が主な資料となります。
しかし、内申書の成績だけでは、高校が本当に欲しいと思っている生徒かどうかを見極めるのは難しいのです。そこで登場してきたものが「小論文」なのです。

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2.受験生の思考力や発想力などをみる              

都立高校の推薦入試では、学力以外の能力・適性・意欲などを多面的に評価するために、内申書(調査書)に書かれた各教科の成績と、集団討論・個人面接によって思考力・判断力・表現力・コミュニケーション能力などを評価します。
そして調査書や面接だけでははかることができない分析力・思考力・論理性・発想力・表現力・専門学科の適性などを小論文・作文や実技検査でみようとしています。

この様に、これからの社会にあって生徒たちに必要となる力を評価し、個々の学校の期待する生徒像に合致した生徒を選抜したい、という高校の思いが 「小論文」 のテーマに詰まっています。

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3.絶対評価の盲点を補う                    

現在、公立中学校の内申点は絶対評価でつけられています。かつての相対評価に比べて、本人の努力度を重視する絶対評価だと、成績が多少よくつくという傾向が指摘されており、小論文を導入することで、内申点の比重を低くさせるという狙いの学校もあるようです。

※調査書、集団討論・面接、小論文の評価の比重は、学校裁量によりそれぞれ異なります。
  小論文の比重は17%〜30%です。

◆ 「作文」 と 「小論文」 の違い

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1.「作文」 は感想を中心に書く                  

体験したことや感想を書いて、読む人にも同じように感じさせようとするのが 「作文」 です。
また、作文はふつう自分の意見を真正面から書いたりしません。読み手に追体験をさせて、気持ちを分かってもらおうとするのが作文です。

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2.「小論文」は手順を踏んで意見を書き、相手を納得させる  

「小論文」 とは、簡単に言えば、社会問題などについて「意見」を書いて、それが正しいことをきちんと読む人に納得させようとするものです。

単なる感想ではなく、論理的に書かれていることが大事です。
「論理的」 というのは、要するに、筋道を立てて考えを述べるという 「手順」 を守っている、ということです。

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3.「作文」 ではなく 「小論文」 が書ける人が求められる理由     

このように、 「作文」 と 「小論文」 では、求められているものが全く異なります。
小論文は作文ほど簡単ではありませんし、実は誰にでも書けるというものでもありません。
従って、入試においても “いい小論文” と “よくない小論文” の差がはっきり出てしまいます。

高校入試において小論文が採用された背景には、作文のように 「入学への意欲」 や 「中学校でのがんばり」 を知る道具としてではなく、論理的に筋道を考え、表現できる人を選ぶための道具が必要になってきたから、と考えられます。

◆ どんな 「小論文」 が出されているか

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1.主流は、課題文や表・写真をもとに論じるもの         

都立高校入試の小論文で多いのは、評論文や科学的論説文を読んで、自分の意見を述べるタイプです。また、文章を読むのではなく、中高生の意識調査や世論調査、白書・統計資料などのグラフや表を見て論じたり、新聞記事・イラスト・写真などを見て論じたりするという課題もあります。
近年は、社会問題をテーマにしたものが多い傾向にあります。

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2.学科試験や作文のようなタイプもある             

また、一部には一般入試の学科試験 (学力試験) の記述問題のような出題もあります。内容は、国語・数学・理科・社会などの問題に近いものです。
このほかに、小論文という名称ですが、作文のようなタイプを出題する高校もあります。
字数は少ないもので40字 (1校 )で、ほとんどが最大600字程度です。


このように、都立高校入試では、様々な 「小論文」 が出題されています。
これらを以下の3つのタイプに大きく分類して、以降それぞれの傾向についてご紹介します。

? 本格小論文型:大学入試などに出る一般的な意味での 「小論文」
? 学科試験型 :一般入試の学科試験にある記述式問題に近いもの
? 作文型    :入試科目名小論文だが、実質は作文


◆ 1 最もノーマルな 「本格小論文型」

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1.ほとんどがこのタイプ                    

「小論文」 という名前のついている入試科目の半分以上 (平成27年度は6割強) が、このタイプと考えていでしょう。特に上位校にこのタイプの出題をするところが多いのが特徴です。

課題文やグラフなどの資料が与えられて、それを読み取ったうえで、それについて意見を書くタイプの文章です。
今、世の中で自然破壊、グローバル化、国際紛争、少子高齢、言葉の乱れなど様々なことが起こっています。そうした事柄についてどう考えるか、これからの社会、これからの人間はどうあるべきなのか、などについて考えることが中学生にも求められています。そうしたことを書くのがこのタイプの小論文です。

何はともあれ、 「小論文」 という科目が課される高校を受験しようとしている人は、このタイプの問題の対策をしっかり取っておくことが必要です。

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2.例えば、こんな問題・・・・・               

◎「総人口と高齢化率の推移」グラフから課題を3点読み取り、解決のための取り組みを述べる。
   <420字〜550字> (h27隅田川)

◎2011年における二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人あたりの排出量を比較した
  グラフから、読み取れることを記述する。 <200字> (h27東)

◎国際比較から見た日本の高校生についてのデータを読み取り、自分の考えを文章にまとめる。
  <解答欄枠内> (h27千早)

◎児童労働問題に関するデータを読み取り、課題を文章にまとめる。
  <260字〜300字> (h27竹台)

◎人工知能についての資料を読んで、 「コンピューターが知性を持つ日が来ることは、人類にとってまた、
  あなたの未来にとってどんな意味を持つのか」 <600字> (h27小金井東 男子)

◎留学中の学生と国際結婚した夫婦の2つの事例から共通点を論じ、グローバル化した世界に生きる上で
  大切なことを述べる。 <500字〜600字> (h27小平)

◎「男女共同参画社会」 及び 「仕事と生活の調和」 に関する資料等を読み、その内容を説明する。
  <180字〜200字>
  資料から読み取ったことをもとに、 「仕事と生活の調和」 をはかりながら 「男女共同参画社会」 を進
  めていくための、今後の取り組みに関する考えを説明する。 <360字〜400字> (h26日比谷)

◎外山滋比古 「思考の整理学」 より 「グライダー」 の一節を読み、グライダー人間と飛行機人間の違い
  とは何かを明確にした上で、グライダーにエンジンを搭載する方法を具体例を挙げて述べる。
  <500字〜600字> (h27井草)

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3.テーマのキーワードは・・・・・               

平成25年度から平成27年度の3年間の入試に出題された課題のキーワードを拾ってみました。ランダムにご紹介します。

【平成27年度】
観光、人口ピラミッド、外国人就労者、二酸化炭素排出量、マナー、高齢化、環境問題、幸福度、国際平和、国際比較、児童労働問題、二酸化炭素濃度、社会的成熟、干潟の保全・再生、グローバリゼーション、人工知能、国際結婚、人口減少、食糧問題

【平成26年度】
男女共同参画社会、情報社会、開発途上国、貧困、科学技術、世論調査、ノーベル平和賞、メディア、電子マネー、インターネット依存、地球環境・資源、ゴミの排出量、サマータイム、生物多様性・自然保護、ガラパゴス化、食品ロス、国際化、世界青年意識調査、読書活動、漁業就業者数

【平成25年度】
食料自給率、観光白書、昼夜間人口比率、科学技術、月別電力使用量、メディア、留学、警視庁交通部、福祉、コミュニケーション、言葉、グローバリゼーション、ガソリン・バイオエタノール、ヒートアイランド現象、英語の公用化、OECD「より良い暮らし指標」、海洋と国際

◆ 2 教科知識も問われる「学科試験型」

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1.知識をまとめることが求められる               

小論文という名前はついているが、一般入試の学科試験で出される記述式問題に近い問題です。中には、理科や社会科の知識を問う学校もあります。

これらの問題では、意見が問われているわけではありません。例えば、 「産業の空洞化について説明せよ」 「実験内容について説明せよ」 「○○とは何かを200字以内で述べよ」 というように、200字前後で、知識をまとめることが求められます。

また、前述の 「本格小論文型」 の設問の一つとして、 「課題文を○○字で要約せよ」 という問題も増加傾向にあります。

これらのタイプの出題は、全体の2割程度ですが、難関校の一部でこのような問題が出題される傾向にあります。小論文の論理性と同時に教科内容の学力が十分身に付いているかどうかを試す出題と言えます。

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2.例えば、こんな問題・・・・・               

◎光の進み方についての解説文を読み、問1・問2に答える
  問1 光の進み方 (反射) に関する内容の作図とその説明を書く
  問2 光の進み方 (屈折) の考え方をたとえ話にした設問。 理由を説明する <A4 1枚> (h25国立)

◎江戸時代初期の 「鎖国」 体制下の対外関係について説明する。 <200字〜250字> (h27戸山)

◎齋藤孝 「1分で大切なことを伝える技術」 の一部分を読み要約する。 <40字〜50字> (h27隅田川)

◎「グローバリゼーションの中の江戸」という著作物の抜粋を読み要約する。 <300字〜400字> (h27成瀬)

◎連帯について書かれた文章の内容を読み取り要約する。 <200字> (h27町田)

◎高島俊男氏の著書 『漢字と日本人』 の一節を引用した文章を読み、 「漢語」 についての問いに答え
  る。
  問 本文の内容を踏まえて、 「漢語」 の長所と短所についてまとめる。 <A4 1枚> (h27国立)

◎ガラパゴス化をどう理解すべきか。 <540〜600字> (h26小金井北 男子)

◎外来種の駆除を推進すべきか。 <540〜600字> (h26小金井北 女子)

◎棒磁石を束にしたときの状態と、太陽系に存在する元素の量 (存在比) に関する対話文を読み、問1、
  問2に答える。
  問1 磁石の分かれ方の法則性とその理由について述べなさい。また、それと先生が見せた表との関連
     性について気が付いたことを述べなさい。
  問2 風船などに使われるヘリウムは、地球では希少な元素の部類に属します。宇宙 (太陽系内) に
     おけるヘリウムの存在量と窒素の存在量の比を計算し、なぜ地球では窒素に比べてヘリウムが少
     ないのか、その理由について述べなさい。 <A4 1枚> (h26国立 女子)

◆ 3 名前は小論文だが、実質「作文型」

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1.体験や経験からの考察                    

入試科目が小論文という名前はついているが、実際は小論文ではなく、むしろ内容としては 「作文」 に近いタイプです。
社会問題などについての意見ではなく、個人的な体験や経験、発想などを書くことが求められます。
形式は、課題が与えられるだけの問題もありますし、課題文が付く場合もあります。

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2.例えば、こんな問題・・・・・               

◎学校のスローガンの 「集い、鍛え、伸ばす」 の 「集い」 にかかわって、学校という場で集団で学習す
  ることが有利な点について、自分の経験に絡めて述べる。 <500字> (h27蒲田)

◎学ぶ楽しさについてあなたの考えを書きなさい。 <400字〜600字> (h27大山)

◎文章を読み、感じたことを指定した三つの語句を使用して記述する。 <600字>(h27秋留台)

◎ 「本校の期待する生徒の姿」 を示し、4項目目の 「学校に誇りを持って、学校行事、生徒会活動、委員
  会活動、部活動に積極的に取り組める生徒」 について、受検生が取り組もうとしている高校生の在り方
  を具体的な例や経験等を示しながら記述する。 <500字>(h26蒲田)

◎本校で実施した修学旅行のアンケート結果と実際に修学旅行に参加した生徒の感想文を照らし合わせ、
  そこから読み取り指摘できることを述べなさい。 <80字> (h26小平南)

◎生徒がこの修学旅行を通じ、どのようなことを学んでいったかを述べなさい。 <100字> (h26小平南)

◎この修学旅行の目的と意義を、自信の様々な経験を踏まえて述べなさい。 <400字> (h26小平南)

◎ 「チームワーク」 という言葉からあなたが考えることを、具体的な事例を交えて作文しなさい。
  <600字〜800字> (h26保谷)

◎次の文を読んで、 「あいさつ」 について、あなたの考えを600字以内で述べなさい。 
 「『あいさつ』 は、人と出会ったときや、別れるときの定まった言葉や動作、身ぶりだとされています。
  そして、そこには人間関係を滑らかにしたり、人との気持ちの隔たりを近づけたりするなどの働きがあると
 されています」
  そこで、あなた自身の今までの体験を踏まえて、具体的な体験の例を挙げ、 『あいさつ』 に対するあな
  たの考えを述べなさい」 <600字> (h25竹台)

◆ 入試での実態

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1.字数・制限時間等                     

出題形式 (タイプ) は、前述のように大きく分けて3タイプあり、その内容 (テーマや課題) は実に様々です。
最も多い 「本格小論文型」 の場合、字数は比較的少なく、150字〜300字程度のものが多い。字数が多くても600字です。
「学科試験型」 も同じような形態が多いようです。 「作文型」 は、ほぼ500字〜600字が主流です。

また、解答用紙は、必ずしも原稿用紙が用いられるわけではなく、横書きのレポート用紙のような解答用紙が配布される高校もあります。

制限時間はほとんどが50分で、60分という高校もあります。

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2.課題内容と学校の入試の難易度との相関関係          

3タイプの小論文がどんな学校で出されているかをみると、入試での難易度にほぼ対応しているという見方ができます。
小論文を課す学校は、比較的レベルの高い学校が多い傾向が見られます。中でも、「学科試験型」は、その地域の高校の一番手やある分野に特化した特色のある学校など、難関校と言われる学校で出ることが多いようです。

「本格小論文型」 も上位の学校が多く、 「作文型」 は中堅校に多く見られます。
また、エンカレッジスクールも5校のうち3校が 「作文型」 で出題していますが、 「作文」 ではなく敢えて 「小論文」 とすることにより、受検生に対して自分のしっかりした意見や考えを記述することを求めようとする意思の表れだと思われます。

これは、学校の入試難易度によって差があるというのではなく、受検してくる層に合わせた出題をすると、このような結果になる、と考えるのが妥当でしょう。

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3. 「作文」 でありながら、実際は 「小論文」            

「小論文」 という名称で作文型の仮題が出ている一方で、入試科目は 「作文」 でありながら、、実際は 「小論文」 が求められているケースもあります。

H27北園高校では、
情報化社会に関するデータを参考にして、具体例を挙げ自分の考えを示す。
<500字〜600字>

H27日野台高校では
近年、 「幸福度」 という概念が注目されています。文化的な背景や経済的な背景などの違いにより様々な考え方がある中で、 「幸福度」 は、社会福祉、心身の健康、人とのつながりなど、様々な視点から研究されています。昨年度、国連が発表した 「世界幸福度報告書」 の国別幸福度のランキングでは、日本は、回答のあった156カ国中、43位でした。あなたが、これから日本国内で生きていくと仮定して、自分や周りの人々の 「幸福度」 を高めるためには、どのようなことが必要だと考えますか。高齢化、情報化、国際化の中からテーマを一つ以上選び、あなたの考えとそのように考える根拠を示しながら、650字以上、800字以内で作文しなさい

◆ 「小論文」 は何がどう評価されるのか

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1.ココが評価のポイント                    

小論文の評価で、まず挙げられるのは、 「表現力」 (原稿用紙の使い方、誤字・脱字がない、わかりやすい文章かなど) です。
また、論じている内容が筋道を立てて述べられているか、文章に矛盾がないかといった 「論理性」 も重要なポイントです。

このほか、課題に対して適切に対応しているか (制限字数を守っている、出題の意図を外れていない)、主張が具体的で説得力があるか (自分の経験などに基づいているかなど) 、着眼点などに独創性があるか、などを評価の項目に加えている学校が少なくありません。

その中で、何を重視するかは学校のカラーで大きく異なりますが、共通している点は次にあげる事柄です。

   ? 論理的に書かれているか
  ? 課題に対し適切に書かれているか
  ? 課題文の内容を的確に読み取っているか
  ? わかり易い表現で書かれているか
  ? オリジナリティ(独創性)があるか
  ? 具体例を踏まえているか



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1.評価が一気に下がってしまう小論文とは             

実際の高校の小論文採点担当者が指摘する注意点をご紹介します。

▼自分勝手に書かない
論理展開があまりにも独りよがりなものは、人に納得させることが難しくなります。独創性と自分勝手は違います。

▼借りてきた言葉は使わない
自分で消化しきれていない概念や用語を使って論述すると、語弊が生じ論理性が失われてしまうことがあります。

▼明らかな字数稼ぎをしない
具体例を多く述べたり、同じ内容を繰り返したりしないこと。
そもそも、このような小論文は、問題提起や結論が明確ではなく、論旨がはっきりしていません。

▼準備していたものをそのまま書かない
考えてきたことをそのまま書こうとするあまりに、問題の意味や意図するところとずれが生じてしまう場合があります。

▼誤字・脱字や未熟な表現は大きなマイナス
段落構成や内容が良くても、誤字・脱字があると、せっかくの小論文が台無しになってしまいます。
また、 「すばらしいです」 「悲しいです」 など 「形容詞+です」 や、 「やっぱり」 など口語表現はNGワードです。

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今回の“その1”では、 「小論文」 がどんなものなのかを見てきました。
いかがでしたでしょうか。
スポーツで言えば、次回の対戦相手を視察したところです。
相手は手ごわかったでしょうか、それとも、十分勝ち目はありそうでしょうか。
技を磨き、戦略を練れば、勝てる相手です。

次の “その2” では、さらに勝ちを確実にするため、実際の攻略法をご紹介します。
3つの型 (タイプ) 毎に、書き方をご紹介します。

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実は、書き方よりも肝心なことは・・・

「与えられた課題についての知識」 の有無です。
小論文の出来不出来は、この 「与えられた課題や関連分野についての知識の深さ」 が勝負を分けます。
いくら優れた文章を書こうとしても、知識がないと論じることが難しくなりますし、的外れの主張になりかねません。

また、知識の量が少ないと、その範囲内でしか論じることができません。
そして、苦し紛れに、字数を増やすために同じ内容を繰り返してしまったり、問題を深く掘り下げることができず表面的なことしか書けなかったりなどしてしまいます。
これらは、書けないときの典型的なパターンです。

よい小論文を書くためには、日頃から新聞やさまざまな分野の書籍を読むことが何より必要です。
あなたの引き出しに、たくさんの知識を詰め込んでください。そして、それで終わらせるのではなく、それらを取り出して多様な問題意識を持ち、自分なりの考察を深めてください。




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