[2012年4月12日]
かつて世界に、衝撃を与える3つの出来事がありました。人間の固定観念そのものを粉々に破壊し、人類は、新たな枠組みに従わざるをえない事態となりました。
あまりにも大きなこの3つの衝撃を、学問的に解き明かしたのは、精神分析の祖フロイトです。
フロイトの言葉を借りれば、人間の自己愛、すなわち自らを中心としたナルシスティックな世界観、人間が信奉する人間ありきの世界の絶対ルールが、3つの発見によって、打ちのめされてしまったのです。
では、この3つとは何か。
一つは、地動説です。コペルニクスが世に伝えたこの新たな説は、これまでの人間中心主義からすれば当然だった天動説を覆します。
太陽も星も、万物の基礎であったはずの地球を中心として、軌道を描いていたのではなく、我々自身が踏みしめるこの地、愛すべき地球がまさか太陽を中心として、他の惑星とともに回っていたのです。人間こそ中心という世界観が、天文学的、物理学的に一変した歴史上の事例です。
続いて二つ目は、ダーウィンの進化論です。キリスト教圏では、神につくられ、特別な存在と認められた人間は、程度の低い獣とはっきりと区別され、動物世界の中心的立場にいました。
ところが、進化論に従えば、下等な猿から進化し、今の人間となったというのです。生物学的な意味合いにおいて、人間中心主義はもろくも崩れ去らなければなりませんでした。
そして最後、三つ目です。フロイト自身の発見です。かつて人は、自分の意識こそが、精神世界の中心だと思い込んでいたわけです。自分のことは、自分なのだから、誰よりも自分を知るのは自分であると意識できているはずだと。
ところが、自分の精神の中には、無意識という自己制御できない自分というものがいると、フロイトが提唱します。今では自分の重苦しい感情がどうにもコントロールできず、メンタルヘルスの専門家に診てもらうことは決して珍しくありません。自分の精神なのに、自分ではどうにもできない無意識という領域が確かに存在しており、だからこそ、専門家の助けが必要となってくるわけです。
このフロイトによる無意識の発見によって、精神世界もまた人間の優越性が大打撃を被り、人間の自己愛は破綻をきたすことになります。
学問的解析によって、フロイトが、「人間の自己愛という枠組み」への破壊を、三つのくくりで示したわけですが、思わずうなりたくなるような知的感動があります。やはり学問という力は、無知なる我々人間に、きらびやかな叡智を運び、どこまでも我々の思考を豊かにしてくれます。
本ブログにて、すでにお伝えしておりますが、人にとって、学問こそが、最良のソウルメイト(魂の友)であると信じます。この知に酔いしれる感動をぜひとも、子供たちに伝えられる教室にしたいと願い、日々精進、日々改善です。