[2012年6月11日]
いち早くスティーブ・ジョブズは、その当時専門家でしか扱えなかったコンピュータに対して、誰もが使うことが当たり前の時代が到来すると信じ、そして本当に彼が育てたアップルという会社は、コンピュータをまさにパーソナル化することに成功します。
今では、このパーソナルコンピュータは我々のライフスタイルの一部となり、コンピュータを使わない生活などありえないほどに日常に溶け込んでいます。
またジェフ・ベソスはインターネットが普及し始めた頃に、これからはeコマースの時代がやってくると読み切り、ヘッジファンドの副社長の座を投げ出しました。その事業の始まりが家のガレージというあたり、ジョブズのアップル創業によく似ています。思いきった先行投資を繰り返し、赤字は雪だるま式に増えましたが、一度切り返すと、彼の読み通り、圧倒的な顧客数を誇るようになり、今では、総売上げ4兆円の企業となっています。
たとえばネットショッピングに欠かせないカスタマーレビューという手法など、世に優れた発明を生み出したことでも知られていますが、この会社こそ、世界の誰もが知るアマゾンです。
あまりに偉大な人物と比べると、自分の矮小さを思い知ることになります。きっとこれから先、どんなに頑張ったって、ジョブズやベソスのような優秀なビジョナリー(先を見通す力を持つ人)に追い付くことはないのでしょう。
しかしながら、どんなにスケールが小さくても、些細なまねごと程度なら、おそらく誰にだってできるはずです。
眼の前に人生の道筋が伸びている限り、決して足踏みすることなく、仮にも日常の単調さに埋没することなく、何かを変え、ちょっとくらいは広がる世界観をたのしめたら、どんなに幸せなことでしょう。
一方でその逆をいくとしたら、見える世界はどのようなものでしょう。人生には多くの時間があるというのに、全く何かを試みないとすれば、じっと檻に閉じこもっているようなものでしょう。自ら自由を剥奪し、精神を束縛するような選択などあってはなりません。
何も子供たちにばかり、ジョブズやベソスを目指そうと働きかけているわけではなく、彼らに比べて多くの時間を消化したとしても、1年でも2年でも時間があるのなら、大人たちこそ、自分の可能性にかけてみない手はありません。
多くを子供たちに望むなら、そっくりその思いを大人たち自身が自らへぶつけ、この心身を成長させることです。一番の教育とは、教育者自らが手本となり、見える形でやり方を示し、さあ、まねをしてごらん、と伝えてあげることです。
そして、本当に未来を描くイマジネーションが現実のものとなるように、率先垂範、実行するのみです。