[2012年8月2日]
アレクサンドロス大王の先生といえば、ギリシアの哲学者で、古代において最大の学問体系を樹立したアリストテレスです。ここで念のためにアレクサンドロスの確認をしますが、紀元前4世紀のマケドニアの王で、一大版図を築き東西文化の融合を図った人物です。
もっとさかのぼれば、アリストテレスには、西洋哲学の源流をつくったプラトンという師がおり、プラトンの先生は、「無知の知」で知られるソクラテスです。
ちなみに、ハーバード大学の政治哲学の講義で人気を博するマイケル・サンデル教授は、ソクラテス・メソッドと呼ばれる講義方式をとりいれ、授業を展開します。
ソクラテス・メソッドとは、講師による一方的な情報の伝達ではなく、学生と闊達に対話しながら、論を進める方式です。ソクラテス得意の対話術だったことから、その名がついたようです。
わき道に逸れましたので、戻します。
アレクサンドロスの東方遠征に将軍として従軍したプトレマイオスは、アレクサンドロスの死後、エジプトにプトレマイオス朝をつくります。そしてこのプトレマイオスにも、ユークリッド(エウクレイデス)という師がいたことは有名です。ユークリッドというと、「幾何学の父」と呼ばれる大数学者で、彼もまた前述のプラトンの下で学んでいます。
では、日本に移りましょう。日本の初代総理大臣、伊藤博文や、幕末の志士、高杉晋作 は長州の松下村塾出身で、彼らを教育した師は、指導者として有名な吉田松陰です。
直接の師弟関係ではありませんが、今年10月に亡くなったアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は、ソニーの創業者の一人、故盛田昭夫氏を尊敬していたと言いますし、そのジョブズ氏に対して、日頃より尊敬の意を表明しているのは、ソフトバンクの孫正義社長です。
孫氏はまた、「薩長同盟を成立させ、大政奉還へ導いた坂本龍馬」を尊敬し、しばしば、小説「竜馬がゆく」(司馬遼太郎/文春文庫)にある「世に生を得るには事を成すにあり」という言葉を引用し、情報革命の未来像を魅力的に語ります。
いつの時代も、有能な人材には、優れた指導者、目指すべき人間の存在があります。人が世に出て活躍するならば、それまでに学問を修め、「明晰に判断しきっぱりと決断する力」を手に入れなければなりません。したがって、やはり指導者の手腕が問われるところです。また視線の先に憧れの対象がいることは、大いなるモチベーションの効果となります。
さて、学習塾として、本校西葛西校の進むべき道ですが、教育者としての矜持あるのなら、将来において雄大なビジョンを持つことです。
それこそ龍馬がごとき「事を成す」人材を、世に輩出したいと願うなら、我々こそが、魅力ある人物と成し、教育において、事を成さなければなりません。
今まさに志高く、事を成せ──