[2012年8月11日]
横並びで全員が成功したのは、バブル時代のことです。日本経済全体に勢いがあったので、何をするにも多数派にいてみんなと同じ道を歩めば、みんなで幸せになれた時代でした。しかし、それはもう20年も前の昔々のことで、バブル時代を知らない世代が社会に増え始めています。日本全体が自信を失い続けている時代を生きているので、彼らの多くが何をするにしても悲観的で、無気力世代と形容されることもあります。
今の時代、一人勝ちの時代という表現もありますが、これについても考えてみたいと思います。
需要と供給のバランスが崩れ、供給過多の経済のサイクルは、供給量が多いだけに、それだけ選択肢が多岐にわたります。選択の数が多いということは、人々の好みが分散され、多様化の社会になるかと思えば、実は選択肢が多いことで、人間はかえって迷います。選択に迷うとどうなるかというと、思考は停止し、一番売れている商品に飛びつこうとします。これが市場において、一人勝ちになる理由のひとつです。
そして、一人勝ちのこの時代は、ひとりわが道を歩まなければ、この厳しい競争に勝てません。残念ながら、みんなと同じことをやっていたら、みんなと同じように失敗の道を歩みます。
学生たちもまた、みんながそうだから、というレベルで、行動するなら、今の時代、多数派の憂き目を味わう可能性が高まります。
どうか、みんなが今やらないなら、自分ひとりが今やってみる勇気を持ってください。
何も一人だけ抜け駆けをしてください、と言っているのではありません。もしもひとりでも前へ踏み出す人間が増えるなら、この国の未来に希望が持てます。だから、不特定多数のあなたに、問いかけるのです。今こそひとり前へ踏み出すそのときではないですか?
もしもあなたが学生ならば、今、誰よりも先んじて学ぶときです。
そして、他の生き物とは異なり、考えるゆえに人であるなら、学びを通し、知への真の楽しみ方を存分に堪能してください。