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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2012年8月14日]

塾・市川市本八幡の学習塾:大学への進学

 本日は「大学への進学」について、お話ししたいと思います。

 仮に学校の先生になろうと思うなら、大学の教育学部へ進学すべきでしょう。裁判官になりたいと思えば法学部でしょうし、医者になりたいならやはり医学部でしょう。

 では、漠然と大学へ行ってみたい。よくわからないけれど、有名な大学に進学したら、人生どうにかなるかもしれないと考えるのは、正しいことなのでしょうか。

 極論を申し上げれば、本当は大学などへ進学する必要はありません。
 社会に出て、いっぱしに活躍できる力が備わっているのなら、何もわざわざ大学で学ぶこともないからです

 ここで、建築家の安藤忠雄氏の例を取り上げたいと思います。
 同氏は、大阪の工業高校卒業後、独学で建築士試験に合格し、その後放浪の旅を経て、建築事務所を設立したと言います。

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 そしてそれからの活躍が実に華々しく、数々の世界的な建築の賞を受賞し、建築における、「コンクリート打ちっぱなしを主体的に表現した、幾何学的フォルム」は、その独自性が高く評価され、世界的な賞賛を浴びるに至りました。

 決して一流の大学は出ておりませんが、安藤氏は、アメリカのイェール大学客員教授になったのを皮切りに、コロンビアやハーバードでも教鞭をふるい、東大教授を経て、現在同大名誉教授の職に就き、今なおその辣腕ぶりは健在です。

 もう一度繰り返しますが、彼は工業高校出身で、自分の力で建築学を修めました。独学です。大学という学びの場を頼っていません。むしろ、自分でその道を切り開き、そこで研鑽した方法論を、学識化することで、彼の方が、教える側に回り、数々の有名大学のエリートたちを前に、講義を行っています

 本当にその人に生きる力があるのなら、安藤氏のように、大学で学ぶこと自体、意味がないことでしょう。

 したがって、我々凡人は、実は、力がないから、大学という場所を頼るのです。大学に行けば、学歴を得ることは可能しょうし、大学でしか得られない環境の中で、人間形成が果たされるでしょうし、就職や資格取得に有利な情報を得られるかもしれません。いったん、いずれかの学部に入った上で、また新たな道を選び直せるのも、大学という場所です。

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 私自身も大卒ですが、今思うと能力がない人間だから、大学への進学を果たしたのだと思います。そして、その経験は、確かに生きる上での肥やしとなり、今の自分の一部分を作り上げています。

 大多数の若者たちは、かつて私がそうだったように(今もそうかもしれませんが)、自信がありません。社会に船出するにはひ弱の身なのは当然です。あまりに経験値が乏しいからです。

 本当ならば、冒頭に上げたように、教育者になりたいから、大学の教育学部へ、弁護士になりたいから、法学部へというように、将来への道筋をつけながら、一歩ずつ階段を上り詰めていったほうが得策でしょう。

 しかし万人が万人、確固とした将来像を固められるものではありません。それよりも、道に惑う学生たちの数のほうが、現実的には、ずっと多いに違いありません。だとしたら、いっそ大学進学を選ぶもうひとつの選択肢として、大学へ入ってから、新たな自分の可能性を模索してみるのはいかがでしょう。言うなれば、大学進学という選択は、仮決定のようなものです。

 もちろん大学とは社会に出るまでの最後の猶予期間ですので、その時期に、確実に自己責任による英断が待っています。ぜひとも大学で学びを深め、学びによってもたらされる情報をもとに、いつか自分の生きる道を決めてください