[2012年8月20日]
当塾市川市本八幡校の生徒達の姿を見るに、人生すべてうまくいってほしいと望みながらも、なかなか歯車がかみ合わないのが人生です。多くの人生模様と向き合うなら、順風満帆に行くことの方が珍しいかもしれません。
仮に何かうまくいかないと、それを環境のせいだと言う人がいます。確かに、環境を変えることで、才能を開花させる例はあります。
過去に本ブログでも取り上げましたが、漢の三傑の一人、韓信などがまさにそうでしょう。楚の国では要職に就けませんでしたが、漢へ移ると大将軍に任じられ、楚を倒し、漢の王朝を開く偉業をなす一人となります。
一方で日本の政治家によくあるように、所属する党を転々としてはみるものの、目覚ましい成果を出すことはあまりありません。むしろ居場所だけではなく、簡単に志操まで変更してしまうような人物が多く、政治に生きるはずの者、本当に志があって、国家の大事業をなさんと思っているのか甚だ疑問です。
やはり、困難にぶつかり、スランプに陥るケースとして、環境要因もあるでしょうが、それ以上に本人自身の問題です。自分にまず刃を突き付けるべきです。
そもそも資質、能力があるか、確固とした目指すべき道があるか、あるいは自分の器を大きくすることを望む向上心があるかどうか。きっと韓信のような国士無双の大人物は、前提条件をクリアしているからこそ、後は環境ひとつで突き抜けた才腕を発揮するのだと思います。
さて、まだ学業を修める途上にある子供であれば、何かにつまずいたとき、自分のことは棚に上げて、一所懸命周囲に原因を見つけようとします。そうやって自己の精神衛生のケアに努めるものです。
しかし、いつか、成長の度合いによって時期は異なりますが、誰もが気づかなくてはなりません。確実に大人になれば、取り巻く環境はただ与えられるものではなく、その環境を創る人間がいます。
学生時代が終わり、大人の仲間入りをしたとき、もはや親の庇護は受けられません。いつまでも親に寄生するパラサイトであり続けることはできません。もしも自立のときが訪れたのなら、「人の力によって象られる環境」を創造する側へ回り、自分より未熟な者たちへ与える役割を担います。
決しておそれることはありません。なぜなら、社会という環境、職場という環境、コミュニティーという環境、家庭という環境を生み出すことほど、壮大な取り組みはないからです。
もちろん、すべてうまくいくわけがなく、そこには必ず困難が付きまとうでしょう。しかし跳ね返すべき逆境があるからこそ、振り幅の分だけその達成感は爽快です。大人として生きる一番の幸せは、自分を取り巻く環境を、周囲と協力して創造することにあります。
だから、未来に生きる若者たちは、大いに学んでください。学ぶたのしみをどこまでも広げてください。きっと未来に、しっかり準備をしてきた者だけが、快適な環境を創る、深い味わいを享受し、その幸福に浸ることができるのではないでしょうか。