[2012年9月12日]
子供は無菌室で育たない──
という言葉があります。
特に、受験生たちの様子を見ると、まさに「子供は無菌室で育たない」という言葉は偽りではないと実感します。
やはり人生とは決して一筋縄でいくものではありません。誰かが敷設した安全なレールをただまっすぐ快適に進む人生だとしたら、本当にその子は健全に育つでしょうか。安全安心の世界で繰り広げられる人生が、たとえば、ひとつの映画で展開するとしたら、そこに登場する主人公は、果たして魅力的でしょうか。
確かに親御様の立場からすれば、子供が人生を歩むにあたり、見ていて痛々しい思いにさせたくないと考えるのも親心からもしれません。しかし、長い人生を考えたとき、おそらく人生のつらさ、社会のけがれを知らずして育てば、一気に免疫力が低下します。ちょっとでもばい菌が付着した程度で、体も心も病み、自分で歩む力を失ってしまうでしょう。
だからこそ、受験期の子供たちの学習風景を目に留める度、苦難や迷い、葛藤の価値を確信します。この障害をひとつひとつ克服することで、自ら判断し、自ら歩む推進力を勝ち取ることができます。もちろん、入試において、志望校の合格を得る効果もありますが、これから社会へ出ていくための推進力を獲得できることにこそ、大いなる価値を見出せます。