[2012年11月13日]
おそらく、人類の歴史において、多くの人々を魅了した伝説的なスピーチといえば、3つ挙げられます。
ひとつは、エイブラハム・リンカーンが語った言葉です。時は1863年11月19日。南北戦争の激戦地となったゲティスバーグへ訪れ、戦没者を祀る国立墓地の開所式で述べたもので、たった3分足らずの短い挨拶だったといわれています。おそらく知らない人がいないくらいにあまりに有名です。いわゆる、ゲディスバーグ演説です。
「人民の人民による人民のための政治government of the people, by the people, for the people」
もうひとつは、同じくアメリカ大統領ジョン・F・ケネディの大統領就任演説です。アメリカ人の自尊心をくすぐることで、社会をひとつにまとめあげる機運を、大いに盛り上げたスピーチだとされています。
「アメリカ市民の方々、アメリカという国があなたたちに何をしてくれるかではなく、あなたたち自身が、アメリカに何ができるかを考えてください。my fellow Americans: ask not what your country can do for you-- ask what you can do for your country.」
そして、最後に公民権運動で知られる、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの演説です。英語の学校教科書でも採用されることが多い名文で、きっと一度は耳にしたことがあるはずです。差別撤廃を願う清らかで美しき精神が言葉のリズムに表れており、世界一感動できるスピーチといってもよいかもしれません。
「私には夢がある。その夢とは、いつかジョージアの赤土の丘の上で、かつての奴隷の子孫たちとかつての奴隷所有者の子孫が、兄弟としてともに同じテーブルにつくことができるというものです。I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.
〜〜私には夢がある。その夢とは、私の四人の幼い子ども達が、いつか肌の色ではなく人格そのものによって評価される国に住めるようになるというものです。I have a dream that my four little children will one day live in a nation where they will not be judged by the color of their skin but by the content of their character.」
その語り手の崇高な魂を感じさせる言葉は、心奥深くまで人を魅了し、人へ生きる力を与えます。もちろん、言葉の調べやレトリックの妙もあるでしょうが、言語を織りなす人間が、どのような歴史を持ち、どのような人間形成を果たしてきたかが、最大の感動の要因ではないでしょうか。
しかしながら、スピーチの力は、偉人たちの人生のみについてまわるわけではなく、時として、我々一般の人間たちも、言語による表現が求められることがあります。
まさに、就職の面接では、スピーチ力が問われるでしょうし、その手前の、大学入試でも、推薦入試、AO入試では、大方、書類選考や、小論文、面接試験等があり、言葉による彩豊かな表現が、選考対象のメインとなります。
言わずもがな、上手に言語を扱うには、技術がものを言いますが、技術だけでは、人を魅了することができない理由については、リンカーン大統領やケネディ大統領、キング牧師の歩んできた道へ、イマジネーションを働かせばこそ、理解できるはずです。
丹念に言葉で編みあげられるスピーチに、どれほど誇るべき、人生があるかどうか──この一点が、表現の最大の決め手となります。
あっぷの成績向上プロジェクト 成績優秀者
金賞:Sくん (本八幡校)
銀賞:Hくん (西葛西校)
銅賞:Mさん (船堀校)
*当塾成績向上委員会が、教室推薦を受けた生徒の成績を判断材料とし、厳正な審査の下、決定致しました。また学習の一助となることを願い、当塾代表より表彰し、図書券を贈呈します。