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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年1月2日]

塾・市川市本八幡の学習塾:財政の崖問題と危機突破

【本八幡教室情報 受験対策月間
過去問対策学習会スタート!


 昨日のニュースになりますが、江ノ電・極楽寺駅そばでがけ崩れが発生し、一部区間不通になったと言います。幸い、けが人はなかったそうですが、がけといえば、財政の崖fiscal cliffが最も世界の関心を集めていると言ってもよいかもしれません。

 元をたどると、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が使ったと言われる言葉で、まさに財政の崖に立たされた米国財政の深刻な状況を表わしています。

 アメリカでは、2008年のリーマンショックを受けて、一時的な減税措置をとってきましたが、この結果当然財政赤字が積み重なったため、政府の歳出を大幅削減することを決めました。

 ところが、2012年末に、減税措置が期限を迎え、大幅増税に切り替わると同時に、ともすると、民主・共和両党の間で、「歳出削減案が合意しなかった場合には、今年1月から強制的に、10年で1.2兆ドルの政府支出削減を実行する」と約束していたので、さあ、大変です。

 増税と歳出削減のこのダブル・パンチが、アメリカ経済を打ちのめしかねません。ある予測では、株価の3割程度が消え、アメリカ国内総生産(GDP)も3から4%低下するとも言います。

 この財政の崖問題については、度々、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が議会へ改善を求めてきました。また国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も財政再建計画を強く要求し、積極的手立てを講じなければ、2013年の米経済成長は「0になる」とまで警告しています。

 これを受けて、オバマ大統領は、富裕層の所得税率引き上げなど具体論を議会へ働きかけてきたわけですが、そして1月1日、どうにかまずは上院で、「崖」の回避関連法案を可決させ、下院でも可決が予想され、崖からの大転落を回避できる見通しだと報道されています。年収45万ドル(約3900万円)以下の世帯に対する所得税など減税維持し、財政緊縮を回避することができましたので、当面景気の失速に歯止めがかけられそうです。ただそうは言っても、自動的な歳出削減発動について、2か月先送りしたということでもあるので、根本治癒に至ったわけではありません

 さて、日本では、これより先に安倍総理が、「国家国民のために危機突破内閣を組織した」と表明し、経済再生を最優先とした早急の改善を約束しました。株価の低迷については、自民党政権の期待値から、持ち直しを見せているものの、2008年のリーマンショック以来、米国、ヨーロッパに比べて、信じられないほどの打撃を続けています。この間、4割もの株価の価値を毀損したことを考えれば、日本の一人負け状況となっているといえます。

 したがって景気の問題については、米国よりもずっと深刻度が高く、また歳出の問題となると、世界一の借金大国に陥っている事実があり、今は国内に国債の引き取り手がいるものの、ひとつ間違えば、日本国債の大暴落を起こしかねません。

 まさに、安倍総理が覚悟を決めたように、この危機を突破する決意なくして、この難局を乗り越えることはできないはずです。同時に、すべてを国のリーダーに委ねてしまうとしたら、あまりに民度が低く、だからこそ、ここまで日本の成長力を貶めてきたとも言えます。いったん社会へ出たのなら、社会という枠組みを創るのは、やはり一人一人の大人たちです。今すぐにでも社会への依存度の高さを解消し、社会を創造する担い手として、その責任者として、言わば全員野球を目指すべきではないでしょうか。

 もちろん、経済政策においては、マクロ的観点は不可欠ですから、そこは国のリーダーが専門家とともに、デザインするとして、景気の動向は、実質的に経済を循環させる働き手たち、消費者たちのアクションにかかってきます。一人一人がクリエイティビティを発揮しながらよく働き、魅力ある商品、サービスをイノベートするなら、ひいては、その結果、消費行動を活発化させることにつながるのではないでしょうか。

 そして、教育はまさに、大人たち自身が求められる役割や責任のバトンを、いつか子供たちにしっかりと手渡さなくてはなりません。そのためにも、我々大人たちには、子供たちへ手本となるべき行動が求められるのではないでしょうか。まさしく、「危機突破」は、内閣にのみ課されるのではなく、我々一人一人、社会の枠組みを創るべき者達に、ずっしりと突きつけられた課題です。