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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年3月2日]

市川市本八幡の学習塾:本物の読書

【本八幡教室情報 受験対策期間
2月の入試対策学習会(中3)
いよいよ新学年先取り学習スタート!
4月から新中学3年生理科社会コース開講!



姉妹校西葛西駅前教室のある授業のいち場面です。

「君たちは、読書をしたことがあるだろうか」

 生徒達は一斉に、本を読んだことがあると答えます。

「それは本当に読書と呼べるものだろうか」

 生徒達は、自分たちが本を読んできたという経験を信じます。

「では、どんな本が一番だろう、これまで読んできた本の中で」

 その途端、生徒達の顔はこわばります。これというのが、なかなか見つかりません。かろうじて、何人かが、思い思いに作品名を言います。

「そんなに面白かった、感動したというのなら、当然どんなストーリーか説明できるはずだが、ぜひ説明してほしい」

 一気に子供たちは自信を失い、おとなしくなってしまいます。
 そして、とどめと言わんばかりに、こう言います。

「もう一度聴きましょう、君たちは、本当に読書をしたことがあるだろうか。私が聴いているのは、見せかけなんかではなく、本物の読書をしたことがあるかどうかだが、どうだろう」

 誰ひとりとして、本物の読書をした経験がないことが判明します。

 そこで、ひとつ作品を挙げて、そのストーリーをこちらが手本として説明します。正しく情報を伝える技術を教えることなくして、その技術を獲得できるはずがありません。「読書百篇意自ずから通ず」という言葉を信じていたら、あまりに時間がかかり過ぎてしまうでしょうし、「習うより慣れろ」では、学問的ではありません。

 ということで、ひとつのあらすじ技術を披露することになります。ですが、これが本物の読書であるかと言えば、ノーです。本物の読書にはまだ次の段階があります。
 
 読むということは、まずどっぷりとある人間が創ったその創作世界へ入り、支配されなくてはなりません。とても奴隷的、隷属的な立場を経験しなければなりません。この創作の世界から逸脱して妄想に走るとしたら、それは本物の読書とは呼べないでしょう。

 さて、決して妄想に踊ることなく、作者の創った世界に入り込み、その醍醐味を知り、堪能したとして、しかしそれもまた、これでは読書と言えません。

 さあ、この先です。完全に創作物の世界観に支配されきったら、今度はこちらの番です。アタックです。作者が創った世界を今度はこっちが支配することです。自分の思考の中に、彼らの創作物を取り込んで、すっぽり飲み込んで支配してしまうのです。

 我々の思考の部品の一部とし、すでに支配下にある他の作品と比較するのもよいでしょうし、またこれから生きていく上で、本物の読書の経験は、大いなるヒントとなるはずです。

 やはり、読書による疑似体験が、リアルの世界で、役に立ったのなら、読書の価値は突き抜けます。あるいは、誰かに対して、何かの説明を求められるとき、これまでに読んだ著作を引用することで、表現を豊かにし、わかりやすく面白く仕立てることだって可能でしょう。

 たとえば、パスカルの「考える葦」やソクラテスの「無知の知」など、多くの著作物から引用することで、ある結論を導くとしたら、強力な論拠となりえます。

 これこそ、本物の読書であり、子供たちには国語の授業を通し、本物の読み手になってほしいと願います。そのためにも、当塾の国語の授業こそ、本物であるべきですが、こちらもまた子供たち以上に技術の伝え方の工夫を磨くことです。

 子供たちに負けず、子供たちとともに、日々精進です。そして、どこまでも、精一杯、学ぶ愉しさを、子供たちと分かち合うことに尽きます。




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