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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年5月17日]

市川市本八幡の進学塾:視点の切り替え

 先ごろ、本ブログで、物理現象を通し、立ち位置を変える──視点を切り替えることによって、物の見え方に大きな変化が現れます。しかし、どちらも事実──しかし、どちらも相いれない事実です。

 こうした多元的に物事を判断する力は、これからのグローバリズムの社会では求められます。日本人の考え方が必ずしも正しいとは限らないことを知りながら、一方で、この日本のローカリズムへの認識も含め、そうすると、そのことは他国、他民族のローカリズムを尊重しなければなりません。一元化を捨て、多視点で判断、分析し、正しい事実を包み込む視野の大きさを磨いていく時代なのでしょう。

 そうすると、子供の時の教育でもいっそう工夫が必要だと言うことでしょうが、都立中高一貫校の桜修館の適性検査問題は必見です。

 本年度入試において、定例の作文問題で、世界地図3枚が並びました。一番上が、通常よく見る日本を中心とした世界地図です。そして真ん中が、それを逆さにした地図です。さらに3枚目、一番下の地図がヨーロッパを中心にした地図で、日本は東方の端っこに位置しています

 資料にはいろいろな世界地図と補足説明があり、設問の文は、「次の資料から、あなたが考えたことを分かりやすく書きましょう。字数は5百字以上、6百字以内とします」としています。

 なかなかの良問ですが、視点の切り替えによって、物の見方が全く異なるという思考の技術はかなり高度です。どうしても日本は島国なので、多文化との交流が少ないことが災いし、一視点でとらえがちなのが日本人です

 言ってみれば、日常的に、自分の視点を疑い、別の視点に切り替えてみる思考習慣が少ないがために、様々な分析を取り入れて、帰結へ至る考え方が日本人は不得手のようです。しかも、また争い事を避けたがるのも日本人の特徴ですから、他人と相いれない考えた方に遭遇すると、判断をあいまいにして、その場を収めがちです。

 この日本人的社会性が通用した時代なら、いざ知らず、今は世界とつながる多様化のご時世です。したがって、我々日本人は、もはや習慣的に、それこそ、地図を一視点にせず、様々な角度から見つめるように、別の事象においても、同じ思考力が求められるのでしょう。そう考えると、子供のときから、視点を切り替えて発想する力を育てるべきだとする、桜修館の作文問題にしのばせた主張は、とても好感を抱けます。