[2013年5月20日]
本日は少々数字を並べてみます。
日本のGDP(国民総生産)は世界で第3位を誇る経済大国であるにもかかわらず、実は世界の年間自殺率(人口10万人あたりの自殺者者数)は上から5番目と最悪です。自殺の原因の1位は健康面、2位が経済的問題、3位が家庭問題となっています。
昨年は3万人を切ったようですが、おおよそ年間約3万人規模で自殺する国です。交通事故死は年々低下し、5千人といわれています。東日本大震災で行方不明者含め亡くなった方は1万9千人といいますから、日本の自殺者数は、あまり悲惨な数字を示していることがわかります。
また英国シンクタンク「ニュー・エコノミクス財団(nef)」の、「世界幸福度指数 (HPI: The Happy Planet Index)」2012年版報告書(151カ国対象)によれば、1位コスタリカ、2位ベトナム、3位コロンビアで、日本は45位です。経済的な豊かさや長寿の国である割には、希望を失い、自殺する人間が多いことを考えると、概ね日本の幸福感は希薄なのかもしれません。
しかし、物事は見方を変えれば、がらりと異なる景色になります。とかく人は、あれがほしい、これがほしいと望み、あるいは、あれが不満、これが不満と考え、はけ口を求めがちです。幼い子ほどこの傾向は顕著だといえます。本当は、その解決の糸口は案外、身近にあるにもかかわらず、外へ外へと逃げ道をつくろうとします。
えてして多くの場合、問題は自分自身にあります。心理学的に言うなら、問題の解決法も、自分の無意識に隠されているものです。どうしても、社会のせい、他人のせいにして、自分の精神的負担を軽減しようと、心理作用が働きがちですが、自分の内奥にある未知の可能性と向き合えるかどうかで、成長の程度に違いが生じます。
いわゆる、「自己実現欲求」を持てるどうかによって、弱い自分と対峙できるかが決まります。言ってしまえば、他人との比較のなかで自分の立場を認識することなど小さなことです。どれだけ自分の世界観を広げられるかに関心がいくなら、大した成長です。
ここに、幸福感を膨らませる秘訣が、あるのではないでしょうか。
いかに未来ある子供たちの「自己実現欲求」を育んであげられるかも、教育の大いなる課題であることを意識し、本日よりまた今週の授業が始まります。