パソコン版を見る

個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年5月21日]

市川市本八幡の進学塾:達成感という感動を

 昔話になりますが、かつての私は、それこそ少年時代のよくある通過儀式のように、反発心の塊でした。とくにその稚拙な勢いは最も自分に近い人間へ向かうことが多く、かたぶつの父親のようにはなりたくありませんでしたし、学のない母親のようになりたくないとムキになっていました。

 しかし、ある時期のことです。20代の後半ごろだったでしょうか。ようやく社会の荒波にもまれ、それなりに大人としてどうにか仕事というものが少しばかり分かってきた頃──自分の過去の経験が、子供の時分に見えていたものとは、明らかに異なる世界のように映るようになりました

 母親から何も学んでいないと思い込んでいましたが、実は多くを、いえ、精神の根っこのようなものを母親から学んだことに気づきました

 そのひとつですが、たとえば、こうです。母親に連れられて買い物へいきます。私には姉と妹がいますが、みんなとてもお行儀がよい子供たちでした。電車にのると、周りにははしゃぎまわる子供たちが見られる中、いつだって3人の子供たちはシートに静かに座っていられました。スーパーに行ってあれがほしいと駄々をこねて、床にひっくり返ることはありませんでした。

 時には、家の中では、テレビのチャンネル争いをするなど、すさまじい兄弟げんかをしたものですが、公共の場では決して恥をさらすことはありません。外ヅラだけはよい、しつけのきいた子供たちでした。あるおまじないがあったからです。だから、外出先で母親に怒られたことは一度だってありません。

 いつも母親は外出するとき家を出る前に、幼い子供3人にこう言いました。これがおまじないです。
「お行儀よくできたら、おにぎりをつくってあげるよ」

 それはみそをまぶした甘辛い最高のおにぎりでした。いつだって何かの行動が始まる前何かを与えることはしません。物を与えてから行動させるような、へまをする母親ではありませんでした。必ず願いを込めて、何かトラブルが起きないように、約束事というおまじないを使いこなすのが、母でした

 小さなことでもきちんと達成できたら、本当にちっちゃくてささやかなご褒美が待っています。実はご褒美が嬉しいのではなく、何かをきちんと終えたという感動を母が演出してくれていたのでしょう。

 私の精神の根っこをつくった母の教えとは、どれほど達成感が人へ感動を与えるか──ということです。何かを成し遂げたという自信は、確かに前へ進む力を与えてくれます。

 だから今も、自分が好きな仕事の取り組み方といえば、常に何か目標を掲げ、つたなく不器用ながらも、スケジュールに沿って全力で推進することです。その目標を達成したときの喜びは格別です。

 そして今こうして、何を差し置いても、教育の仕事に夢中になっている中、ぜひ、子供たちには、目標を抱いてほしいと思います。定期テストの成績向上という目標、志望校合格という目標、できるなら将来の夢を大きく掲げ、どうか、志高く、事を成す人間となってください

 まずはたった一つでもよいです。ひとつでも達成感を得る経験をすれば、それは立派な成功体験です大いにその人間に感動を与え、膨大な成長力とその先の推進力を生み出してくれるはずです

 もはや社会を牽引する世代である以上、何かをきちんと終えたという達成感を演出するのは、私自身の番です。このあっぷ指導会という学び舎を舞台装置とし、本年度一年、子供たちの人生の分だけ、一つ一つの、何より貴重な感動物語を紡いでいきたい──と強く願います。