[2013年6月3日]
ギーク(geek)という言葉があります。数年前までは、コンピュータなどに詳しい風変わりな「オタク」という意味合いで使われた、蔑視の言葉です。
ところが、今米国では、ギークがリーダーとなる時代です。たとえば、ギークリーダーというと、アップルのスティーブ・ジョブズが当てはまります。グーグルのラリー・ページも、フェイスブックのマーク・ザッカバーグもギークリーダーです。
言うまでもなく、ICT(information and communication(s) technologies情報通信技術)が、世界の産業を突き動かす時代において、もはや、これまでの社会とは大きく異なります。人から揶揄される変わり者から、世界をリードする立場になったことで、その言葉の響きも変わりました。
最近では、ICTの知識を持つだけではなく、優れたクリエイティビティを持ち、未来を見通すビジョナリーであり、そしてコミュニケーション能力に長けた人物であり、世界にイノベーションを巻き起こす希有な人間こそが──ギークリーダーです。
さて、今生きる子供たちは、まさにこの社会のうねりの中を泳いでいるわけです。かつての価値感と今の価値感が異なることは、ギークの言葉の変遷を知れば、よく分かります。おそらく、日本人が陥りがちな安定や現状維持が通用しない時代の中で、強い個性、主体的な行動力が問われていきます。
そうすると、教育もまた今変革の時代です。産業の変化に合わせ、当然求められる人材の質も変わるわけですから、人材を育成する教育も、現状維持は許されません。常に世の変化に合わせ、世に優れた人材を送り出すためにも、ただちに我々教育者もまた意識変革を果たさなければなりません。