[2013年7月3日]
たとえば、かけっこをしている途中で、競走をやめてしまう少年がいるとしましょう。その少年はこう言うかもしれません。
「もしも本気を出したら、こんなもんじゃないのだけれど」
何か行動する度に、全力から逃げます。いつだって、自分が傷つくのをおそれているからです。そしてどんな時も、決め台詞はこうです。
「本当は、自分はやればできるのだけれど、やる気が起きないだけなんだ」
ずっとこの忌むべき呪文を唱え、いつの間にか大人になり、きっと大人になっても同じ呪文を唱え続けるかもしれません。
学業についても同じです。
「もしも本気になったら、もっと成績が上がるのに」――と言って、いつまでも本気を出さない子供が、この日本にはたくさんいます。
いつか本気になれば、とてつもないレベルに達することができるのだけれど、今は本気を出していないから、低迷しているのだと、言い訳ばかりを考えるでしょう。
残念ながら、自分の才能にたいして、思い切り自分でブレーキを踏んでいる例は、決して珍しくはありません。
まずは本気、全力で挑むことから始めるべきです。どのくらい自分にポテンシャルがあるのか知るためには、何と言っても手加減なしの正々堂々の勝負に挑むことです。
仮にこのとき、チャレンジの末に、自分の力はここまでかと絶望感にうちひしがれたとしたら、この失敗こそが、本物の価値です。
どうにもうまくいかず、自分の無知、自分の非力を知り、存分に傷ついたとき、自分に何が必要か、何を学ぶべきか、ようやく考え至ります。このように自分を客観的にとらえられるようになったとき、本物の学びがスタートします。
そうすると、これまですべて、幻想の世界で暮らしていたのも同然で、大いなる挫折感を知った者は、がらりと自分の生き方そのものを切り返し、リアルの学びの世界へ移り住むことができます。
同じ人間でありながら、生き方のスタンスを変えた者は全く別の人生を歩み始めます。あれこれ思考を駆使し、種々の方法を採用しながら、改善、解決を果たしていくことで、本当の脳の成長が促されていきます。