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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年8月9日]

市川市本八幡の進学塾:キングのモデル

 ちょっとしたうんちく問題です。
 トランプのキング4枚に、それぞれモデルがいるってご存知でしょうか。

 スペードが、古代のイスラエルの国王ダビデ王です。旧約聖書に登場し、ミケランジェロ作のダビデ像のモデルでもあります。

 そして、ダイヤが古代ローマのカエサルです。「賽は投げられた」「ブルータスお前もか」という台詞でも有名な政治家で、彼の死後、カエサルというと、ヨーロッパでは「皇帝」を意味する称号として用いられます。

 さて、クラブですが、マケドニア国王のアレクサンドロスです。東西文化の融合を図りヘレニズム文化の基礎をつくった──と世界史の教科書では紹介されています。ちなみに彼の家庭教師もまた有名で、ギリシアの哲学者アリストテレスです。オリヴァー・ストーン監督の映画「アレキサンダー」でも登場しますが、ご存知の方もいるかもしれません。

 それでは、最後になりますが、ハートのキングのモデルが誰かを答えるのが一番難しいかもしれません。それであえて最後に持ってくることとしましたが、いかがでしょう。

 ヨーロッパ中世史上、最も重要な出来事のひとつが、800年の「カールの戴冠」です──といって、気づいた方は世界史の学習の経験者のはずです。教皇レオ3世から西ローマ皇帝の冠を授けられたこの人物こそ、何を隠そう、ハートのキングのモデル、フランク国王カール大帝(シャルルマーニュ)です。

 東のビザンツ帝国に対し、当時の西方は民族大移動以来混乱期にありましたが、カールの治世により、政治勢力がひとつになります。この西方の秩序の回復を機にビザンツ皇帝を首長とするギリシア正教会と、ローマ教皇を頂点とするカトリック教会は完全分立しますが、要するにカトリック教徒にとって、カール大帝の果たした役割は大きいといえます。

 もっと世界を見渡せば、他にも有名な王がいるだけに、確かにカトリック史観に偏ったモデルの選考ともいえますが、カール大帝が偉大なのには変わりません。ゲルマン文化、ローマ文化、キリスト教文化が融合し、今の西ヨーロッパ文化の基礎をつくった功績もまた補足しておかなければなりません。

 さあ、4つの答えが出そろいました。果たして何人答えられたでしょうか。
 さすがにカール大帝はなかなか出てこないでしょう、と決めつけたいところです。
 ところが、当教室のある中3生が、4人のうち、アレクサンドロスとカール大帝を当ててしまいました。

 まさか知らないだろうと高をくくっていましたが、本当にお見逸れいたしました、の一言です。
 その子は世界史の本を趣味で読みあさっているらしいのですが、まさに後生畏るべしです。