[2013年8月14日]
「東南アジア以上の猛暑」などとニュースの見出しに出ていますが、とにもかくにも、連日の猛暑です。ついつい、暑い、暑いと愚痴ってばかりいないで、ここは建設的に、入試へからませてみましょう。ひとつの傾向として中学受験では、おおよそ85%の学校で、その年のニュースにからむ時事問題が出題されると言われています。
そうなると、きたる入試の出題で狙い撃ちされそうなのは、やはりこの暑さです。理科なら、猛暑にからませて、天気図の読み取りや、雲の発生、飽和水蒸気量は要注意です。天体ですと、太陽関連と地球の自転、公転などは出来る限りおさえてべきでしょう。社会にしても、地球温暖化に関連した環境問題や、天候の変動がもたらす飢饉の歴史などが狙われる可能性があります。
さて、今回の猛暑の原因は、太平洋高気圧と中国からのチベット高気圧が二つ重なったからだと言われています。高気圧というと、その名もずばり、気圧が高いわけですが、二つの気圧のかたまりが重なっているから、この圧迫感といったらありません。
たとえるなら、自転車のタイヤチューブに空気を目いっぱい入れている状態です。ぐっと空気を入れ、圧力がかかることでチューブに熱が発生します。これと同じ現象がまさに、日本列島で起こっているということです。二つの気圧の勢力が重なり、上から押し下げる空気の圧によって、温度の急上昇をもたらしています。
ここまでの解説を踏まえたとして、では、では、問題です。山の頂上と山の麓ではどちらが暖かいでしょうか。太陽に近いという理由で、山の頂上の方が気温が高いと答えるとしたら間違いです。確かに日差しは強いかもしれませんが、気温となると別です。
また暖かい空気は軽いので上空にのぼるという現象もあります。空気中の水蒸気は上空へのぼります。これが上昇気流です。ですが、上空で水蒸気が冷えるからこそ、液体の水や固体の氷へと変化し、雲を形作ります(雲は水蒸気ではなく、水と氷です)。上昇気流によって、本来地球に引っ張られて落ちるはずの水と氷が密集したまま、雲は上空で浮かんでいられます。ただ上昇気流が弱くなれば、ついに下からの支えを失い、雨となって落ちます。
ということで、脱線しましたが、本線へ戻ります。どうして上空にいくと、水蒸気が雲に変化するように、温度を急激に押し下げるのかということですが、さきほど申し上げましたように、「空気に圧力がかかると、気温が高くなる論」です。要するに、空気の圧が少なければ、気温は急降下します。
ですから、富士山の山頂を思い浮かべれば思い当たるでしょうが、雪が残るのは山頂付近です。山頂付近では空気が薄く、空気の圧が弱いということで、気温は急激に低くなります。まとめますと、空気の圧力の関係が温度の違いをもたらすというのが、答えの理由です。
ちなみに、山頂と麓に人が生活したとき、どちらが年をとるのが早いでしょうか。アインシュタインの一般相対性理論に従えば、重力がかかればかるほど、時間はゆっくり進むので、重力の強い麓の方が時間の進みは遅く、山頂の方が、年をとるのが早いということになります。もちろんそれは人の一生を考えたとして、ごく微量の差でしかないので、重力場の低いところで生活していても、全く気にすることはありません。
ただし、カーナビが位置情報を得るために活躍するGPS衛星の場合、誤差では済まされません。微量であろうと誤差をたださないと、車の現在地の判断が狂ってしまいます。そういうことで、地球上を高度2万キロの辺りで猛スピードでまわるGPS衛星については、時間の進みを精密に調整しなければなりません。
したがって、運動の影響(運動するものは時間が遅れるという、こちらは特殊相対性理論)と、重力の影響とを計算し、地上より時間が速く進む状況を補正するため、GPS衛星の時計は、毎秒100億分の4.45秒遅く進む設計となっています。余談でした。