[2013年8月21日]
本日のブログテーマは、大人気の公立中高一貫校対策です。
文系の問題にしても、理系の問題にしても、公立受検の適性検査では、複数の資料を読み取る力が求められます。しかしそうはいっても、いきなり適性検査に触れると、あまりに資料の情報量が多いので、ともすると思考がパンクしてしまいかねません。
さて、そうすると、どのように自分の脳で判断していくのかということになりますが、まず設問が何より重要であって、漠然と目に留めてはいけません。意外とたくさんの資料にばかり気を取られ、肝心な設問をお粗末にしか目を通していないため、得点できない子供たちがいるようです。
ただし、ただ単純に設問をしっかり読みましょう、というのでは、あまりに教える技術として工夫が足りません。言うなれば、設問には、作問担当者がこれを答えてほしいという意志があります。これを論点と言います。一体どんな答えを求めているのか、論点を抑えた上で、その主旨に沿って、資料を分析することになります。そして資料の分析については、勝手に自分の偏見でその情報を歪曲することなく、客観的判断に基づかなければいけません。
ここで、客観的分析を貫いたなら、次は、自分の経験です。設問の多くが、自分の意見を尋ねる形式になっていますから、飽くまで客観的なデータ解析を終えた上で、設問の論点からずれることなく、自分の脳の引き出しにしまわれている体験を取りだすことになります。自分の過去の経験とコネクトし、豊かにイマジネーションを膨らませる作業の質が問われます。
「書くより、イマジネーションです」
このような記述問題の場合、大学受験生も含めて、皆さん、とにかく、書かなければいけないという制約に思考が縛られるため、小さな世界観で本当にちっぽけな味気ない答えに仕上げがちです。
人は書こうと思えば思うほど、そのプレッシャーに負けて、結局つまらない内容を書くのに落ち着く──というジレンマに陥ります。
だから、書こうと思わず、豊かにイマジネーションを働かせてください。この方法は実は脳科学的にも理にかなっています。書く作業は言葉を紡ぐ作業ですから、左脳の管轄です。この左脳は理性の人ですから、かなりの堅物で、魅力的に語るのがへたなタイプです。そうすると、言葉の定義づけや論理的構成力などは任せるとして、ようやく真打ち、右脳の出番です。
この右脳は、インスピレーション、イマジネーション、クリエイティビティーに長けた天才タイプで、なかなかのアイデアマンです。この人の力を上手に活かした上で、書記係の左脳に情報を流すことにくれぐれも留意することです。後は、出来上がった発想力豊かな画を、文字化する段取りとなります。
ということで、仕上げに近づくわけですが、シンプルに申し上げると、一論点に対して、一帰結です。しっかり一論点と一帰結点を連結させるのが、論証です。
繰り返しますが、設問が要求する論点から決してずれることがあってはなりません。そして、客観的なデータ分析を介して、自分の経験をそこへつなぐことで、この論証という過程を経て──その上で、自分オリジナルの解釈力をもって、美しく帰結できるかどうかにかかってきます。