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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年8月22日]

市川市本八幡の進学塾:適性検査の感動と本物の学習効果

 昨日のブログでは、大人気の「公立中高一貫校対策」をテーマとしましたが、これに関連して、実際に行った授業を切り取ります。先週実施しました「夏期限定:過去問対策講座(本年度はすでに終了)」では、武蔵高等学校附属中学校と、大泉高等学校附属中学校、小石川中等教育学校等の適性検査問題を厳選し、講義素材としました。どれもこれも、思わず脱帽する良問です。

 何より、作問担当者の教育にかける志に共感するとともに、その問題を見るに、つくづく知性と学識の高さに感服いたします。ただこちらも教育者の一人です。本物を見極められなければ、エセですから、優れた問題に触れることでとことん触発されます。

 たとえば、武蔵20年度の適性検査のなかに、ヒバリの繁殖地域を扱った問題がありますが、これは必見です。私は、これを「ヒバリ問題」と言って愛着を持ちながら、授業の素材として活用させていただいております。この問題の解説をする度に、こちらも存分に知的好奇心に刺激を受け、突き抜けるくらいに知性への感動に浸ります。ただ本物を感受する力は子供たちも負けていません。教室全体で、この問題の論点に合致した答えの見事さを知ったときの、感動の増幅といったらありません。

 ここで仮に波紋というと、次々と周囲に動揺を与えるときに使う言葉ですが、しかし、目に見える答えが、それぞれの心の中にぽとりと一つ落ちた時に、まさに波紋のように、幾重にも輪を広げながら、感動が大きくなっていくような、そんなイメージが描かれます。

 さて、問題の方ですが、若干ふれます。問題の中に説明書きがあるように、基本事項として、ヒバリの習性から、その生息地域は、山間の森林地帯ではなく、農地や、原っぱです。かつて東京の中央部には、農地が広がっていたので、ここを中心にヒバリの住処がありました。

 ところが、時代を経て、東京都では都市化が進んだことで、農地が激減します。その結果、ある地域に生息場所が限定されるのですが、その形が、ふた筋の線のように見えます。一体どのような場所がヒバリの住む場所になったのか──という問いですが、実に見事、実に納得です。

 ついつい答えを明かしてしまたくなりますが、歯がゆい思いを押し殺し、本日はここまでとしたいと思いますが──何はともあれ、適性検査問題については、たいへん奥が深く、人間の備える知的好奇心をぐりぐりと刺激し、あふれるくらいに、人へ考える力を与えてくれます。

 ただ脈略もなく、暗記をする、あるいは計算をするたぐいの学習ではありません。設問の論点を明確にし、豊富な資料のデータ解析をする中、ひとつひとつの道筋をつくります。左脳の論理思考力を駆使しながら、ひとつひとつをつなげ、整理していくことで、右脳のひらめきが誘発されます。この時思わず「見えた!」と叫びたくなるような場面がとても感動的です。しかもなるほど納得の感動がありながら、脳科学的に申し上げると、脳に回路がつくられます。これこそが、本物の学習効果ではないでしょうか。