[2013年8月24日]
いみじくもブレーズ・パスカル(フランス17世紀の数学者・思想家)は、「人間は考える葦」と言いました。川辺のひとくきの葦のように、自然の猛威を前にすれば、か弱い存在です。風に吹かれ、雨に打たれることがあるなら、あまりにもみじめな限りです。
しかし、このひとくきの葦は、考えることのできる葦です。この考える力はとても壮大で、際限なく広げることのできる人間の思想は、大宇宙まで包み込むエネルギーを持っています。考えるからこそ、人は、尊厳ある人間であり続けます。
ただ、考えるにも、技術があります。パスカルが暮らした時代から、350年ほどを経ているわけですから、それなりに思考技術の進化があるはずです。
たとえば、アスリートの世界では、超一流選手には、戦術や技術強化の指導者、フィジカルコーチ、栄養面のサポートスタッフなどがつきます。一人の選手がチームマネジメントによって支えられます。その中でも、心理学や脳科学のエキスパートであるメンタルトレーナーが重要な役割を担います。
実に、スポーツ科学の進歩はめざましいものがあり、すでに脳のコンディションまで最大限高めることで、いかに成果を上げていくか試みられています。
当然、人間の脳そのものを成長させることにかけては、教育の出番となりますが、教育にしてもまた、心理学や脳科学を駆使する時代です。
ひとつ申し上げると、成果を生み出す脳の在り方において、ポジティブであるか、ネガティブであるかという論があります。あまりに楽観主義がいきすぎれば、努力を怠るかもしれません。かといって、危機意識ばかり募らせれば、精神的に病んで、ますます苦境に陥るリスクを伴います。
さて、プラス思考か、マイナス思考か、はたまたどのように解釈するのがベストかというと、ヒントは、時間軸に力点を置くことです。現在においては、ことさら危機意識を持ち、今自分にたらない力を、事実ベースで把握しなければなりません。しかし、この危機意識に基づく事実分析は、未来において改善・解決するために、認識しているのですから、未来においては、ポジティブに、それを克服するイマジネーションを持てるかどうかが成功のカギです。
したがって、今大学受験の最中にあるのでしたら、第一志望校に合格するために、現状一体何がたらないのか事実ベースで判断しなければなりません。そのうえで、合格点に達するために整えた戦略をとことん信じ、このプロセスの先に、必ず目標を達成できると、プラス思考を働かせるべきです。
いかに現在においては、危機意識を抱き、しかしながら、未来においては必ず克服できるとプラスイメージを持ちつつ、どれほどその学習に夢中になれるか──まさに、メンタル面のトレイニング法も、大いなる効果を発揮してくれるに違いありません。