[2013年9月9日]
社会心理学に、「確証バイアス」という言葉があります。
どうしても、人間は自分の目線が強く、自己中心的です。多くの場合、自分の都合のよい情報ばかり集め、判断が偏ってしまいがちです。
またより正しい判断をするなら、反対の意見にも耳を貸し、それが正しいか論拠を分析する必要がありますが、なかなか反対意見を根拠づける材料など探そうとはしません。むしろ、自分にとって、有利に働く情報ばかり集めようと企てるものです。
つまり、「確証バイアス」とは──自分が見たいものだけを都合よく見て、信じたいものだけを信じる、偏ったものの見方のことです。
もちろん、自分は特別な存在で、他人とは違う。自分の判断は他人の判断よりもずっと優れている──という自己愛は、特殊な心理ではなく、誰もが持ちがちです。
時には、向こう見ずな根拠のない自信が、途轍もない活力を生み、成功のステップへと踏み出させることもありますが、他人を思いやる精神や、他人との絆なくして、社会生活を円滑に営むことはできません。
もしも何をするにも、いわゆる独り相撲が過ぎると、生産性が落ちるので、目標とした帰結点へ到着することもないでしょうし、その結果、周囲と達成の喜びを分かち合うこともないでしょう。
では、確証バイアスを防ぎ、正しい判断を獲得するためにはどうすればよいか、その解決策ですが、鍵はやはり、学習です。
大人へ成長する過程のなかで、学習がそこにあるのなら、確実に改善されていきます。他者とのコミュニケーションを重ねることも必要でしょうし、学問の支えがあってこそ、思考豊かな人間となり、人と人とが結びつくことができます。
徐々に、学問の経験、出会いの経験を踏み、他者への感情移入、他者への関心、協力関係の育み方を覚えていけば、確証バイアスの罠から逃れられるはずです。