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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年9月30日]

市川市本八幡の進学塾:0次元から4次元的思考へ

 ただこの人が嫌いだという1点から身動きがとれないとすれば、それは点なので、ゼロ次元の思考です。同じように、国語が嫌い、英語が嫌い、数学が嫌いの1点をつくることで、それ以上思考を働かせないのであれば、明らかに勉強などできるようになりません。

 この好きだとか、嫌いだとかいう、いわゆる感性、情動、直感は、右脳の働きです。イマジネーションやインスピレーションなどを駆使する脳なので、才能の脳という言い方ができるかもしれません。ただし、この感性を1点に集約するとしたらあまりに愚かです。

 せめて、この点を引き延ばして、線にすることで、一本の座標軸にしてしまわないと、もはやその人間は思考を停止してしまっています。先にも挙げた以外に、この才能の塊は、瞬時に経験則を取り出すこともできますし、子供たちが内在的に所有する善悪の判断もこの座標軸に委ねられます。世界のビジネスを例に出せば、グーグルという会社が、「Don’t be evil.(邪悪になるな)」という言葉を社是のように使いますが、右脳の感性はきちんと働くのなら、大活躍します。

 ただし、右脳の能力値をプラス方向へ最大限発揮することが、学習の成果というもうひとつの座標に影響を与えると判断するのでしたら、早計です。それでは万遍なく必要十分条件を満たしません。

 言うにおよばず、成果に与える座標軸はもうひとつあります。論理や理性、抽象能力、自己管理能力、マネジメント力などを司る、左脳の働きです。右脳が天才肌で、現在の脳と呼ばれるのに対して、左脳はとても実直で理屈屋で冷静です。とにもかくにも現在の欲望に走らないので、過去と未来の脳という言い方をします。

 要するに、学習の成果のZ座標の最大値化を目指すのなら、右脳のX座標だけではなく、左脳のY座標を最大値化することです。

 とりわけ、事実ベースで過程の一つ一つを正しく追いかけていく自制の力、すなわち綿密に事実のプロセスを組み立てるファクトベース力は、ビジネスの世界では、アマゾンCEOジェフ・ベゾスが評価する仕事力のひとつです。ベゾスが尊重する思考の中には、日本人が好みがちな本音と建前を分ける思想などありません。

 さて、端的に申し上げると、左脳は天才脳の短所にブレーキを踏み、その長所に対してはアクセルペダルを踏み込みます。たとえば、ノートやファイルで学習管理するのも、セルフコントロールの範疇です。またタイムマネジメントに配慮し、試験日までの学習計画をきめ細かく設定するなどという学習術も、左の脳の制御力に含まれます。

 さて、さらにもうひとつの座標を忘れてはなりません。三次元に対して、時間軸を加える必要があります。過去と今と未来とでは、右脳的能力の座標と左脳的能力の座標、そして成果の座標が変化します。当然、時代とともに、科学技術が進化し、生活様式や社会が変化すれば、物差しもまた基準が変わります。

 もちろん人を思いやる気持ちや社会全体の幸せを求める精神に変化がないことを祈りますが、えてして、その時代その時代において、価値判断が変わるのなら、やはり、時間を跳び越えることのできる、過去と未来の脳の出番です。

 何にしても、学習にしても、仕事にしても、いっそうセルフコントロール力がより求められていく時代なのではないでしょうか