[2013年10月26日]
その男はとても見た目がみすぼらしく、年はすでに50代。糖尿病と甲状腺機能不全を患っていて、胆嚢のない体でした。どう見ても、人生順風満帆にいっているようには思えないその人は、あるとき、マクドナルド兄弟が経営する飲食店に魅了されます。この出会いが、彼の人生を一変させ、飲食業界世界一の経営者として、その名を残すことになります。
まだ当時無名のその男は、すぐにマクドナルド兄弟から、「マクドナルドという名称と回転率の高いシステム」を売り込むフランチャイズビジネスの権利を得て、アメリカ全土で売り歩きます。その後、マクドナルド兄弟から商権を買収し、世界的に有名なマクドナルドチェーンを展開します。
この人物、マクドナルドコーポレーション創業者レイ・クロックは、世界の誰もが知る世界最大のファストフードチェーンを誕生させました。確かにマクドナルドの店舗名と、運営システムの基礎を創ったのは、マクドナルド兄弟だったかもしれませんが、レイ・クロックの情熱と手腕なくして、今のマクドナルドはなかったはずです。
さて、今受験期にある学生たちは、思いがけぬスランプに入り、もがき苦しむこともあるかもしれません。とかく多くの偉人たちだって、我々のように人生うまくいかない時期というものがあります。レイ・クロックの人生を振り返るなら、50代前半まで大した功績をのこすことはなく、弱り果てた体から、誰も後の彼の偉業を予想すらしなかったはずです。
しかし、人生どう切り替わるかわかりません。どう突き抜けるかわかりません。きっとはたから眺めている人間たちにはわからなくても、レイ・クロック自身は、人生の成功を信じてやまなかったはずです。未来へコネクトする強い意志を力として、創意工夫の努力を続けた結果、大きく道は開けたのではないでしょうか。
そして等しく同じ生き物のカテゴリの中で進化を遂げてきたのなら、その人間のメンタリティと思考力次第で、誰もが、まさにレイ・クロックのような人生を歩む可能性があるのだと強く信じます。